北沢尾根からの南駒ヶ岳、空木岳 厳冬期縦走

山行日
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山域、ルート
北沢尾根からの南駒ヶ岳、空木岳
活動内容
厳冬期縦走
メンバー
O会長、N.O、U、M、T.I、I(記)

北沢尾根からの南駒ヶ岳、空木岳 厳冬期縦走の山行記録

今年の冬山はどうしようか・・・。
O会長が、新人向けの本冬山を計画していたので便乗させていただく。
参加者は、最終的に6名がエントリー。
大寒波の襲来で、南駒ヶ岳登頂も危ういところであったが、奇跡的な?快晴の中、皆で協力して計画通り空木岳までをトレースすることができた。
北沢尾根 南駒ヶ岳 空木岳 厳冬期縦走 DSCN7729

12月29日(土)『期待』 曇り時々雪

2台の車で恵那峡SAに集合し、早朝、登山口へと向かう。
伊奈川ダムへ向かう林道へ入るが、思った以上に積雪が少ない。
これは、意外と行けるかも!との希望的観測が頭をよぎる。
ダム下にある橋のゲートが閉まっていたため、手前の空きスペースに駐車して、準備する。
ここから北沢登山口まで長~い林道約7kmを徐々に高度を上げながら、ひたすら歩く。
北沢尾根 南駒ヶ岳 空木岳 厳冬期縦走 DSCN7529

ダムの湖面が凍り、また沢が氷瀑となっていることから、寒さが窺い知れる。
途中、何度か休憩を挟みながら、2時間20分程で、北沢尾根登山口に着く。
辺りは小雪が舞い、強い風が吹き抜けていく。
登山口からトラバース道に入るのだが、少し進むと豪雨の影響か川沿いの登山道が崩壊していた。
北沢尾根 南駒ヶ岳 空木岳 厳冬期縦走 DSCN7532
最初の核心を四苦八苦しながら越え、トラバース道から北側の尾根に乗り、九十九折れの登りに入る。
所々、凍っているので、ストックを使いながら慎重に登って行く。
北沢尾根 南駒ヶ岳 空木岳 厳冬期縦走 DSCN7535
標高1,900mを越えた辺りから、徐々に膝下のラッセルとなり、歩みが鈍り始める。
標高2,060m付近に広いスペースがあり、O会長の指示で、ここをC1とする。
もう少し進んでおきたい思いがあったので、空荷で上部を偵察に行ったが積雪も多く、また暫く平坦地もなかったので、よい判断だったと思う。

夜は、とにかくよく冷え込んだ。

コースタイム:Pスペース0850~1035越百山登山口分岐~1105北沢尾根登山口~1410標高2,060mC1
平面距離:8.46km、累積標高:(登り)1,635m

12月30日(日)『極寒』 曇りのち晴れ

この日は、特に冷え込んでいた。
プラティパスの水があっという間に氷る寒さだ。
テントを片付け、『最強』と呼び声の高い?新兵器のスノーシューを装着して歩き出す。
しかし、強烈な寒さで、過去に凍傷を負った指先が半端なく痛む。
痛みを堪えながら、先行するT.I君を追うが、どうも登りに集中できず、差は開く一方だった。
調子の上がらない体調に凹みながら、樹林帯の中トレースを黙々と辿る。
結局、一人で先行ラッセルを続ける元気一杯のT.I君に追いついたのは、標高2,411mピークだった。
ここから、ラッセルを交代するが、スノーシューでも結構足が沈んで、思った以上に進まない。
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樹林帯の合間から漸く目標とする2,591mピークが見えた。
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交代でラッセルしながら、稜線沿いを進む。
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2,591mピークへの登りも雪が深いため、稜線沿いを強引に抜ける。
同ピーク上は台地になっており、展望もよくテント適地だ。
しかし、風がまだ強かったため、下のコルを整地してC2とする。
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ここから、トレースを付けに空荷で出かける。
自分は、未だ暫くラッセルが続くと踏み、岩稜帯までのトレースならと、スノーシューで進む。
稜線北面の深い雪の中をトラバース気味に進み、小岩峰に出る。
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壺足なら所々、太腿まで潜る積雪だったので、スノーシューの威力は抜群だった。
小岩峰から2箇所短いナイフリッジを越えると、標高2,712mピークの登りに入る。
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急斜面を登り切ると標高2,700mの標識がある。今日のトレースはここまで。
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O会長達は、2,712mピークまで登り、周囲の景色を見に行ったが、自分は明日の楽しみにとっておく。
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C2に戻ると、風は強いものの徐々に太陽が出始め、明日の好天を期待させてくれるのだった。
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コースタイム:C10640~0810標高2,411m~0955標高2,591m~1000標高2,580mC21150~1310標高2,700m~1345C2
平面距離:2.35km、累積標高(登り)678m

12月31日(月)『晴天』  晴れ

テントから出ると風は収まり、寒さも幾らか和らいだように感じた。
アイゼンを装着し、ヘッドラを点けて、先行する若手を追う。
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見上げる空は、若干の薄い雲がかかるも、昨日までとは打って変わって穏やかだ。
標高2,700mから先頭を交代し、ピークの右をコルに向かってトラバースして行く。
コルからは、巨岩の連なる岩稜帯が始まる。
左手は切れ落ちているので、右手斜面のトラバースを交えつつ、岩場を縫うように越えて行く。
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標高2,700mから見えていたピークの裏側は小ギャップになって切れ落ちている。
ここは、O会長が慎重にステップ切ってくれる。
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先のコルからは、M君が先頭に立ち、稜線沿いの巨岩を縫うようにトレースを付けて行く。
振り返れば、朝陽に浮かぶ御嶽山と乗鞍岳が見える。
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北方向には空木岳へ続く稜線、宝剣岳が凍てつく空に浮かび上がる。
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そして巨岩上に輝く太陽に向けてトレースを辿ると、そこは南駒ヶ岳のピークだった。
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文句なしの360度の展望に、皆自然と顔が綻ぶ。
北沢尾根 南駒ヶ岳 空木岳 厳冬期縦走 DSCN7676北沢尾根 南駒ヶ岳 空木岳 厳冬期縦走 DSCN7678北沢尾根 南駒ヶ岳 空木岳 厳冬期縦走 DSCN7675

一休みして空木岳へ向かう。
稜線沿いの氷化した急斜面を慎重に下り、赤梛岳の登りに入る。
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所々膝下まで潜るが、先頭のT.I君はものともせず、ぐいぐい進んで行く。
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赤梛岳ピークで燃料を補給し、更に稜線を進む。
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この下りも氷化した急斜面である。
コルからは、ほぼ稜線沿いに先行するT.I君がトレースを付けていく。
夏道は、西側斜面のトラバースルートだが、雪が着くと結構な急斜面となり、滑れば谷底まで行きそうだ。
稜線沿いのルートとどちらを選択するかは、雪質、メンバーの力量等ケースバイケースだろう。
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T.I君のいう危険個所とは、赤梛岳の北側コルから最初に出てくる小岩峰帯だ。
空木岳手前のコルで待ってくれていた若手に漸く追い付く。
夏道をジグザグに辿り、遭難碑から急斜面を左上して行く。
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急斜面を登り切ると、傾斜は緩やかになり、目指すピークは目の前だ。
空木岳ピークでも勿論360度の展望、皆で記念撮影大会となる。
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帰りは、先頭で夏道トラバース沿いにルートを取る。
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南駒ヶ岳への登り返し、薄い雪の乗る氷化した急斜面での出来事だ。
アイゼンを前爪から斜面に平行気味に乗せ替えた時、爪のかかりが甘く、スリップする。
幸い直ぐ後ろに続いていた若手二人が、身体を支えて止めてくれ、事なきを得る。
冬山の登りでスリップしたのは初めてだったので、ヒヤリとした一瞬だった。気の緩みもあったと思う。
気合いを入れなおして、南駒ヶ岳ピークまで登り切る。
一通り景色を堪能して、若手は先に下山する。
O会長とともに暫く余韻を楽しみ、下山にとりかかる。
北沢尾根 南駒ヶ岳 空木岳 厳冬期縦走 DSCN7735北沢尾根 南駒ヶ岳 空木岳 厳冬期縦走 DSCN7738
南斜面は日差しが強くて風もなく、春山のような陽気で、暑くて消耗する。
標高2,700mで再び休憩を挟み、一人のんびり写真を撮りながらC2まで下る。
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この日は皆、大満足で眠りに着けたことだろう。

コースタイム:C20605~0635標高2,700m~0750南駒ヶ岳0800~0840赤梛岳0850~1010空木岳1030~1145赤梛岳1155~1240南駒ヶ岳1305~1415C2
平面距離:7.04km、累積標高(登り)922m、(下り)913m

1月1日(火)『年始』 晴れ

極寒だが、穏やかな年明けを迎える。
山で年を越すのは、何年ぶりだろう。
7年前に、SさんとT君とで木曽駒から檜尾岳まで縦走した時以来だろうか。
流石に2泊した後のテントのポール継ぎ目は固く凍り、撤収にも一苦労だ。
撤収後、見晴らしのいい標高2,591mピークで初日の出を待ったが寒すぎてギブアップ。
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苦労した登りも、北沢尾根登山口まで僅か2時間45分で、あっという間の快速下山だった。
登山口からは、再び長~い林道をトボトボと歩いて車まで。
北沢尾根 南駒ヶ岳 空木岳 厳冬期縦走 DSCN7754

帰りは、クアリゾート湯船沢で、暖かい温泉にほっこりしながら汗を流し、地元食材で腹を満たして帰路に着く。
思い出に残る年明けとなった。

コースタイム:C20630~0915北沢尾根登山口~1100Pスペース

久し振りの山岳会らしい多人数での冬山合宿となった。(※特に6テンでの冬山合宿)当初は、天候的に登頂は難しいかなと思っていたが、晴れ男のUさんとM君のご利益のおかげ?で快晴の雪山を満喫することができた。若干、若手の足手纏い気味ではあったが・・・。

同行してくれた皆さん、残念ながら同行できなかったものの、5人の山男たちの胃袋を存分に満たす?食料を計画準備してくれたYさん、ありがとうございました!!