Home > 山行報告 > 雪の旅〜大普賢岳










































雪の旅 〜大普賢岳  2004年03月06日〜07日
     
    岡島 滝口 森 橘(記)
 
 前月の集会では氷ノ山で雪上訓練のはずだったが、例のごとく参加者の不足とモチベーションの不足のため、大峰は大晋賢岳でお茶を濁すこととなった。
 しかし、季節外れの大雪となった大晋賢周辺は、なめて掛かろうとする岳人を容赦はしなかった。
 前夜9時研修所発。阪神高速の入り口を早速間違え、名神に乗ってしまい、青くなりながら運転していると幸運にもまた阪神高速に入ることができた。
(余計な金が500円もかかったが)
下市のスーパーオークワには10時半に到着し、11時まで営業中と看板に有るので残り物を買い出しに散らばった。焼鳥やコロッケが値札の半額で手に入ったので今後も活用したい。
 さて、今夜のねぐらはまだまだ山の奥だ。吉野川沿いをしばらく走り、川を跨いで大台へと進路を変えると次第に雪道となってきた。これが今年最後の雪道かと思うと感慨深い。この土日は寒波が来ているらしく、吹雪のような降り方だ。
前を走るとろい車をどんどんと抜き去り、凍結しかけた道をどんどん南下する。伯母峰トンネルを抜けた所で、右の林道に入り、和佐又山ヒュッテを目指す。
 後で思い返すとインターネットの情報でこの林道がなかなかのくせ者だと記載されていたのだが、このときは雪道を運転できるうれしさに心を奪われ、2トン超のミストラルは四駆にオールシーズンタイヤの装備でがんがんと高度を稼いでいた・・・のだが、途中でついに四輪のトラクションを失ってしまった。
 くそう、もうちょっとでヒュッテに着くはずだがと思う間もなく、今度は来た道をブレーキを踏んでいるにも関わらずバックで後退していた。「これはやばい!止まってくれい!」おそらく同乗していた四人が全員神に祈ったと思うが神に届いたか、ゆっくりと止まった。前進は無理なので後退して高度を下げようとギヤをRに入れて戻ろうとするがまた神に背中を引っ張られたように車の意志と反対にずるずるとハンドルの方向に関係なく重力の方向へと下ろされる。
 これはやばい、たばこを一服し、タイヤチェーンを付けるが片方のサイズが合わず、やむなくスリングで縛ってそろりそろり車を下ろす。適当な広い所で今夜のテントを張る。午前3時就寝。
 
 翌朝7時起床8時20分発。和佐又山ヒュッテ9時着。ヒュッテのおばちゃんに雪の情報を聞き出し、登山届けを出して大晋賢へと登り出す。それまでの春めいた天候で此の辺りには雪もほとんどなかったと思われるが、金曜の夜からこの土日であたりは一面の銀世界へと逆戻りしていた。聞けば、山の上部は締まった雪の上に新雪が積もった状態で悪いそうだ。歯を食いしばって歩くがどうしても身体に力が入らない。先週今週と土曜日仕事でその夜から山に入っている。やはり人間、中一日の休みが欲しいのうと愚痴をこぼしながら三人を追う。笹の窟などの奇岩が現れ、目を見張らす。途中四人組みパーティを追い越し、やっと着いたのは小晋賢だった。あれ?夏道と違うなあと思うが、このあたりは25000/1の地図でもなかなか地形が把握しにくい場所なので先行のトレースを重視して歩く。
 小晋賢から上は鎖、梯子、ブッシュは生えているがかなりな絶壁と、対応に大忙しだ。つかみ所のない新雪で足場の状態が非常に悪い。もし新人や初心者を連れてきた場合はザイルとハーネスが無いと確保の仕様がない。積雪期の大晋賢岳はなめてかかれない、大人の山であった。(小晋賢までなら危険個所は少ない)
 最後に東西南北もわからない状態で雪の樹林帯を登ると見覚えのある狭い山頂へ着いた。11時30分。熱いラーメンを作りたいという意見もあったが寒い上に燃料も乏しいのでウーロン茶をわかして飲む。十分にうまく、暖まった。
 下山路は身体にもオイルが浸透したか、動きも滑らかとなり、従来の動きを取り戻した(ような気になった)が相変わらず雪の状態は不安定で足場が決まらない。こんなふかふか雪では滑落停止も出来ず、所々50メートル以上は切れている箇所もあるので緊張する。特に小晋賢からの下山路ではすれ違ったパーティからはザイルを出してトレースを付けたので大丈夫だと聞かされたがトラバース道を行こうとすると足下から下はすっぱり切れ落ち、その下は奈落のような空間が広がっている。こんな所で事故を起こして死ぬのもつまらないので先行の滝口には戻ってもらい来た道通りに小晋賢のピークを経由して下山する。  
 和佐又口に到着し、2年前の謎のコの字下山の原因を検証しつつ、小屋に入って休憩する。大峰の地形は面白い。特に下山路は気合いを入れないととんでもない所へとたどり着いてしまう。

notes:
厳冬期の和佐又山林道は侮れない。特に地図上でヘアピンカーブの手前の斜面が傾斜がきつく、四駆のスタッドレスでも深夜に登下降するのは難しいのではと思われる。皆さん今後は早めにチェーンを巻いて慎重に行って下さい。
 大晋賢岳はアイゼン、ピッケルを要求される結構渋い山でした。


Home > 山行報告 > 雪の旅〜大普賢岳