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大峰奥駆順峯山行報告

2009年5月2日-5月7日  メンバー芝
大峰山と奥駆道の概要
大峰山脈は北は吉野山から南は熊野本宮に達し、近畿の最高峰「八経ヶ岳」(1914.9m)を頂点に1000m級の山々が連なっている。奥駆道は修験道の開祖といわれる役小角(えんのおずぬ)が開山した言われる熊野から吉野にかけての1300年の歴史を持つ山岳古道であり、修験道の根本道場と言われる。
奈良県の測定では86qあると言われる。この奥駆道は2004年7月に世界遺産に登録されている。熊野から吉野へ向かう行を順峰(じゅんぷ)と言い、逆に向かう行を逆峰(ぎゃくぷ)と言う。ほとんどの登山者は逆峰を取るが、今回は順峰でチャレンジしてみることにした。

第1日目 5月2日(土) 天候晴
神戸(6:44)…五条(9:02)…熊野本宮(14:40)〜七越峰(17:05)テントサイト

神戸から熊野に向かう。9時過ぎにJR五条駅に到着するが、いきなり地図を忘れる。幸い近くに本屋あったので購入、のっけから失敗、10:30に新宮行き超満員の奈良交通のバスに乗り込む。
このバスは、近鉄八木駅からJR新宮駅に向かう日本一長い路線バスである。延々5時間かけて新宮駅まで運行されている。NHKが取材に来ていた。席が確保できたのはとてもラッキーであった。4時間半かけて熊野本宮に到着、吉野から歩いてきた登山者が数人おり情報を分けてもらう。お参りしてコンビニで腹を満たす。食えるだけ食って16:30に最初のピークである七越峰を目指す。七越峰では水を得ることができた。今日はここまで、前鬼から歩いてきたおじさんがテントを張っていた。


第2日目 5月3日(日) 天候晴
七越峰(5:50)〜大黒天神岳(8:16)〜五大尊岳(10:17)〜大森山(11:46)〜玉置山(14:52)〜玉置山展望台(15:20)テントサイト

ぐっすりと眠ることができた。杉植林、桂に似た広葉樹の森の中を歩く、広葉樹の枯葉がよく滑る。荷物も重い、なかなかペースが上がらない。五大尊と玉置山の登りがきつかった。熊野に向かう登山者が意気揚々と下山していく。うらやましい限りだ。玉置山過ぎの展望台でテントを張る。天水であるが水がある。炊事に利用した。吉野に向かう青年が追いついてきて会話に花が咲いた。


第3日目 5月4日(月) 天候曇り
玉置山展望台(5:40)〜香精山(8:47)〜地蔵岳(9:55)〜笠捨山(11:15)〜行仙宿山小屋(12:10)〜行仙岳(13:15)〜倶利迦羅(くりから)岳(14:44)〜転法輪岳(15:33)〜平治の宿(15:50)〜持経の宿(16:50)テントサイト

緊張からあんまり眠れなかった。事前の情報では、かなりきついとのことを聞いていたコースである。いきなり300mほど下り、600mの登り返しとなる。しかし体調は良さそうである。杉林の急登で汗を掻く、ゴールデンウィークのちょうど真ん中でたくさんの登山客に出会った。笠捨山で昨日の青年、行仙の宿で同じく吉野を目指す2人のおじさんに追いついた。しかしアップダウンの多いコースだ。平治の宿で泊まろうかなとも考えたが持経の宿まで計画どおり延ばすことにした。水場の近くでテントを張る。


第4日目 5月5日(火) 天候雨
持経の宿(7:30)〜阿須迦利(あすかり)岳(8:02)〜証誠無漏(しょうじょうむろう)岳(8:34)〜涅槃岳(9:04)〜地蔵岳(10:25)〜奥森岳(11:09)〜石楠花岳(11:49)〜深仙小屋(12:40)〜釈迦ヶ岳(13:44)〜楊枝の宿小屋(16:05)

夜半から雨、小屋に泊まればよかったと昨日の判断に後悔が出る。とても眠かったので二度寝してしまう。出発時に小屋には誰もいなかった。雨に濡れるが体調は依然として好調だ。いきなりの登りも苦にはならなかった。標高が上がりトウヒ、シラベなどのマツ科の原生林になる。手入れがされていないので倒木が多く。進路をふさがれた。途中深仙の小屋で青年と2人のおじさんに追いつく、彼らはここに泊まるそうである。小屋が小さいので先を急ぐことにした。雨は断続的に降り続け、靴の中は金魚が飼える状態になってきた。深仙の小屋を出た後、急にペースが上がらなくなる。シラベにザックがよく引っかかり体力を奪われた。なんとか楊枝の小屋に到着、5名ほどの先客がいたが、もう寝ている人もいたので小屋はあきらめてテントを張る。キジを避けてテントを張るのに苦労した。


第5回目 5月6日(水) 天候雨
楊枝の宿小屋(6:30)〜八経ヶ岳(9:21)〜弥山(10:00)〜行者還小屋(12:49)〜行者還岳(13:18)〜大普賢岳(15:54)〜小笹の宿山小屋(16:50)

昨夜は寒さで何回も目が覚めた。寝袋もしっかり濡れてしまったようだ。入山時とは気温がかなり違う。早目に起きたつもりであるが、撤収に時間がかかってしまい、出発時に小屋には誰もいなかった。八経ヶ岳の登りはきつい。しかも滑りやすい。雨はやむ気配はない。弥山を越えたあたりから調子が良くなる。行者還小屋に意外に早く到着することができたので先を目指すことにした。大普賢の登りもかなりきつい。ここが頂上かと何回も勘違いさせられる。しかし道はかなり整備されている。靴はびしょぬれのまま歩くと音がする。女人結界を越えほうほうの体で小笹の宿に到着、先客が2名いたが、今日は小屋を利用させてもらうことにした。濡れていないものを探すのが難しい。


第6日目 5月7日(木) 天候雨
小笹の宿山小屋(8:00)〜山上ヶ岳(8:33)〜大天井岳(11:37)〜二蔵小屋(12:20)〜四寸岩山(13:44)〜青根ヶ峰(15:00)〜高城山(15:34)〜金峯山寺(16:20)〜近鉄吉野(17:00)

寒さで何度も目が覚める。着替えも濡れてしまった。止まない雨に嫌気がさして出発が遅れてしまう。山上ヶ岳で初めて行者さんにすれ違った。いままではすべて登山者である。大天井岳の登りはきつかった。これは疲れのせいもあると感じる。杉の植林が目立ってきた。雨は強いまま、二蔵小屋で5人の登山者に会う。これから前鬼に向かうとのことである。青根ヶ峰を越えた辺りから人家が現れ始める。どこかの喫茶店に寄りたい心境に駆られるが、びしょぬれで6日間も風呂に入っていないので迷惑だなと遠慮した。金峯山寺にお参りして、なんとかゴールの近鉄吉野駅に到着するが、土産物屋が閉まるところであった。閉めるのを待ってもらって、うどんと日本酒に舌鼓を打つ。この時間、近所に風呂に入れる所はないとのこと、また宅急便屋も閉まってしまったとのことなのでぬれた荷物を抱えて、仕方なく神戸に帰ることにする。周りの人たちがとてつもない匂いにしかめっ面をしているのに平静を装うのが少しつらかったのである。次に行くのなら逆峰だな〜熊野には少なくとも風呂はあるだろう。

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