鳳凰三山 厳冬期縦走

山行日
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山域、ルート
鳳凰三山
活動内容
厳冬期縦走
メンバー
崎間(L、記)、犬吉

鳳凰三山 厳冬期縦走 山行記録

12月29日(水)[晴れのち雪]

御座石鉱泉 9:00→旭岳 12:30→燕頭山 13:30→鳳凰小屋 17:00

年末に鳳凰三山へ向かった。予定はつぎのとおり。1日目:夜叉神峠→南御室小屋。2日目:南御室小屋→薬師・観音・地蔵岳→南御室小屋。3日目:南御室小屋→夜叉神峠。白根三山、甲斐駒・仙丈、富士山の大パノラマに期待を膨らませ、仕事納めの28日夜発で神戸を出発し中央道を車で走る。予定通り29日4:00前には夜叉神峠へ到着しそうだった。しかしだが、山の神へ向かう林道の途中で「通行止め」の看板を発見。無視して進むと橋が取り除かれている部分に到着してしまった。ああ、なんてことだ。登山口にたどり着けない。

鳳凰三山 厳冬期縦走
夜叉人峠へ向かう林道途中。写真右部分の橋が無くなっており、通行不可。

ここまで来て何もせず引き返すのもバカらしい。歩いて夜叉神峠まで行くのも難しそうだ。どうしよかとしばし協議した結果、鳳凰三山北側の登山口である御座石鉱泉から入山することにした。1日目:御座石鉱泉→鳳凰小屋、2日目:鳳凰小屋→地蔵・観音・薬師岳→鳳凰小屋、3日目:鳳凰小屋→御座石鉱泉、に予定変更。御座石鉱泉からのルートは良く知らないが、積雪も少なそうだし(根拠なし)、鳳凰小屋から地蔵岳へは数年前の夏に行ったことがあるのでまあ大丈夫だろう、と高を括り、進路変更。今思えば甘かった。

御座石鉱泉へは5:00頃到着。駐車場には一台も車がいない。適当に車を止め、後部座席を倒し、シュラフに包まり仮眠開始。6:30頃車の窓がバシバシと叩かれる音で起こされた。御座石鉱泉のおばあちゃんがやって来たのだ。寝ぼけていたので良く覚えていないが「車をあと3m前に動かすように」、「登る前に登山者名簿に記帳するように」など言っていた気がする。連日の仕事と予定外の運転で疲れ果てていたので、生返事をして二度寝する。再び7:30にバシバシと窓を叩くおばあちゃん再来。指令どおり車をあと3m前に動かし、ようやく目が覚めてきた。

準備を整えて出発。地図を見ると鳳凰小屋までの標高差は1300mくらいある。登山口の雪は少なく、トレースも付いていたのでワカンを置いて行った。燕頭山(つばくらあたまやま)までひたすら急登が続く。2泊分のテント宴会装備一式がぼくの肩と腰を痛めつける。雪は足首くらいまで。午前中は快晴だったのだが、燕頭山に着いた13:30にはガスがかかり、雪も舞い出した。急登が終わったので、ほっと一息。

鳳凰三山 厳冬期縦走
御座石鉱泉からの登り。燕頭山までの積雪は足首程度。

ここからはなだらかな稜線を快適に歩く予定だったのだが、積雪量が増え、遅々として進まない。途中何度かちょっと恐いトラバースもし、トレースが消えている部分でラッセルし、鳳凰小屋なんて本当に存在するのだろうかと薄暗い中心配になったころ、ようやく到着した。急いでテントを張って、食事の準備に取り掛かる。本日の入山者は、小屋の管理人2人、単独の40代男性、30代の男女ペア、ぼくら2人の計7人だ。テント泊はぼくらのみ。Iさん特製のモツなべと熱燗で温まり、就寝。テントの外から強くなった風の音が聞こえる。

12月30日(木)[雪]

鳳凰小屋 8:00→2600m付近 10:00→鳳凰小屋 10:30

夜明け前に目を覚ましてテントの外を覗くと曇り空に雪。天気はあまり良くなさそうだ。朝食のラーメンを食べ、テントの外で準備していると、昨日登って来た方々が下山して行くのが見えた。どうやら誰も地蔵岳へは向かわないらしい。8:00、意を決して尾根に取り付く。積雪は腰まである。トレースはない。夏道では尾根を少し登った後に谷沿いの道を賽の河原まで進んだと記憶しているが、新雪の谷へ向かうのは恐ろしいので尾根を直登する。所々藪があり進み辛い。素直に尾根を登っていると岩稜帯に着いてしまった。岩を避けながらだましだまし登って行くが、風と雪が強くなり視界も悪くなってきた。冬山暦2年目の二人だけでは心もとなく、協議(そんなたいそうなものではないけど)の結果、引き返すことにした。

鳳凰三山 厳冬期縦走
引き返した辺り。

2時間かけて200m程登った分を30分で下る。小屋のおにいさんと二言三言会話した後、テントに帰還。日本酒を飲んだり、鮭とばを焼いて食べたり、昼寝をしたりしてマッタリ過ごす。今日も一日が暮れて行く。降雪量が増え、テントに雪がたくさん載ってきたので、寝る前に一度雪かきをした。

鳳凰三山 厳冬期縦走
鳳凰小屋のテント場。Iさん雪かき中。

12月31日(金)[晴れ]

鳳凰小屋 7:40→燕頭山 10:10→御座石鉱泉 12:20

一晩中強風が吹いていた。4:00頃テントの外を覗くと満天の星空。昨日のラジオでは今日の悪天を告げていたが、どうやら回復に向かったらしい。地蔵岳をピストンして下山することも考えたが、まだ自分たちの力量でピストンと下山にどれくらい時間がかかるか想像できないため、大事をとって下山のみとする。というわけで小屋周辺で2010年最後のご来光を観賞した。鳳凰小屋には昨日数パーティーが新たにやって来ていたが、7:30までの時点でまだ誰も地蔵岳へ向かってはいなかった。

テントを撤収し、7:40頃小屋を出発。登りで苦しめられた道も下りでは楽だ。そして今日は展望が良い。この山行中、はじめて地蔵岳のオベリスクが見えた。いまあそこに登ったらどんな展望だろうか。後ろ髪を引かれる思いであったが、楽しみは次回に取っておくことにした。

鳳凰三山 厳冬期縦走
下山中に見上げる地蔵岳のオベリスク。

燕頭山、旭岳を経て順調に下山。樹林の切れ間に富士山、甲斐駒、八ヶ岳が望めた。御座石鉱泉には出発から4.5時間で到着。入山者のトレースもあったことで、思いのほか早く辿り着いた。御座石小屋の前を通ると、おばあちゃんと犬が出迎えてくれた。昨日、一昨日と天気が悪かったので、おばあちゃんはぼくらの事を心配してくれていたみたいだ。この小屋で温泉(1260円/人)に浸かって温まり、帰神。

鳳凰三山 厳冬期縦走
御座石鉱泉の犬。なぜか2匹中1匹のみが放し飼いされていた。

NOTES:

  • 夜叉神峠までの林道が通行止めでコース変更を余儀なくされた。アプローチに使う林道の状態は事前に確認しておくべきだった。
  • 積雪の量によって随分コースタイムが変わることを身を持って知った。次回からはもう少し正確に要する時間の予測をしたいと思う。