焼岳 上堀沢 山スキー
- 山行日
- 山域、ルート
- 焼岳 上堀沢
- 活動内容
- 山スキー
- メンバー
- 三浦x2
焼岳 上堀沢 スキー滑降 山行記録
焼岳の上堀沢左股をスキー滑降した。天候、雪質とも完璧で景色も素晴らしく記憶に残る山行になった。
1月14日(日)の好天予報を見てさっそく中の湯旅館を予約し、以前から狙っていた焼岳の上堀沢を滑降することにした。上堀沢を源頭から滑降するにはまず焼岳北峰へ登る必要がある。無雪期であれば南峰と北峰の間の谷の一般登山道を登れば良いが、厳冬期かつ前日までの降雪が予想されており、谷を登るのは雪崩のリスクが想定された。山スキーであれば南峰の尾根を登るルートもあるが、北峰に至るにはやはり雪崩のリスクのある南峰北峰間の谷を横断する必要がある。そこで北峰の南尾根、一般登山道の右岸尾根からダイレクトに北峰へ登る計画を立てた。
数年前、南峰の途中まで登り滑降した際に北峰南尾根を下見したところ、一部岩の露出する広めの尾根でさほど難易度は高くないように見えた。しかし地形図によれば上部は痩せた岩稜になっており、しかも下見では上部は見えなかったため、上部の難易度は未知である。北峰南尾根が登攀できない場合は一般登山道のある谷へのエスケープも想定した上で北峰南尾根登攀と上堀沢滑降に挑んだ。
14日朝、中の湯旅館で朝食をとり出発。最初は安房峠旧道をショートカットしながら登る。樹林の間から見える穂高連峰が美しい。やがてコルに到達し右側の尾根に取付き、登山道のトレースを使わせてもらい順調に高度を上げる。
1700mあたりから登山道よりもルートを左にとるとアップダウンが少なくなり登りやすい。トレースがないのでラッセルになるが、シール登高であればそれ程苦にならなかった。2000mあたりで傾斜が緩くなるとトレースと再び合流し、青空とのコントラストが美しい樹林の中をさらに登っていく。やがて台地状になり、樹林帯を抜けると正面に焼岳、右手に奥穂と前穂、吊尾根の素晴らしい展望を望むことができた。
台地を抜けた位置が北峰尾根取付きになる。南峰尾根に続くトレースを外れ、シールで登高開始したが、100m程度登ると雪は固くなりアイゼンに履き替えた。アイゼンで登高を続けると次第に尾根は痩せ、高度感が増していく。振り返ると絶景が広がっている。
次第に岩の露出も増えていく。岩のすぐ側は空洞になっており雪面を踏み抜くことが多いので、岩から離れた雪面を登った方が効率が良い。しかし、2350mを超えるとその雪面もなくなり痩せた岩と雪のナイフリッジとなる。ザックに固定したスキーが岩に引っかかり登るスピードが上がらない。時間があれば焼岳北峰山頂まで登ることも考えたが、2400mの広いコルで時間切れとなった。ここからであれば上堀沢左股が滑降可能なので登高終了、スキーに履き替えることにした。
上堀沢左股のエントリーポイントは、北峰南尾根2400mのコルから右手に見える小ピークを目指し東に100m程度の距離を降る必要がある。焼岳南峰の厳つい東面や霞沢岳の優雅な山容を堪能しつつ、上堀沢のエントリーポイント近くまで歩いてから滑走準備を行った。このあたりは所々噴出する蒸気が焼岳らしい。
滑走準備を整え、ドロップポイントに立つ。正面に霞沢岳を、遥か下には上高地大正池を望む素晴らしい展望である。気持ちを整え上堀沢にドロップ。完璧なパウダーだった。
調子良く滑っていくと2100m付近で2m弱の崖が出現した。ジャンプでも超えられそうだが、安全をとってクライムダウンすることとした。恐らく右から高巻きもできただろう。
クライムダウンを終え、スキーに履き替え滑降再開すると2000m付近で再び崖が出現した。ここは簡単に右に高巻きし、そのまま上堀沢右側の樹林帯を降ることにした。最後まで快適な滑降となった。傾斜が緩くなってから、大正池の下流側を目指して右寄りに滑っていき、橋を渡り上高地の車道に出た。標高差900mの素晴らしいパウダー滑降だった。
南部に位置し北アルプスにしては降雪の少ない焼岳にも関わらずパウダー、かつ好天、無風という最高の条件で狙っていた上堀沢が滑れて満足のいく山行となった。