黄蓮谷右俣 アルパインアイスクライミング
- 山行日
- -
- 山域、ルート
- 山梨県 南アルプス 甲斐駒ケ岳 黄蓮谷右俣
- 活動内容
- アルパインアイスクライミング
- メンバー
- 岩瀬た
黄蓮谷右俣 アルパインアイスクライミングの山行記録
こんにちは、岩瀬た、です。
甲斐駒ケ岳の黄蓮谷の右俣にアイスクライミングしに行ってきました。
夏の楽しい酔っ払い遡行の時から冬のことは想像していて、11月の中頃に計画をたて、じっと気温を眺め続ける日々でした。
以下、山行記録です。
装備
行程概要
12/7
22:00 大阪 出発(バス)
12/8
気温:-2℃→+5℃→-5℃
快晴
6:10 韮崎駅 到着
6:35 日野春駅 到着(電車)
7:10 竹宇駒ケ岳神社 到着(タクシー)
7:30 出発
13:00 五丈小屋跡 到着 テント設営
14:00 偵察出発
17:00 帰幕、夕食、就寝
2/9
気温:-10℃
快晴、夜中粉雪
3:00 起床、朝食
4:15 出発
6:20 黄蓮谷 沢床到着
6:45 坊主ノ滝
10:00 二俣
11:00 奥千丈ノ滝
14:30 奥ノ滝 左岸巻き開始
16:00 沢に復帰(奥ノ二俣?)
17:30 稜線
17:40 甲斐駒ケ岳 山頂
19:00 七丈小屋
20:30 五丈、テント帰着、夕食、就寝
12/10
晴れ
7:00 起床、朝食
8:30 出発
12:30 竹宇駒ケ岳神社、下山完了
行程詳細
12/8
バス、電車、タクシーを乗り継いで竹宇駒ケ岳神社の駐車場に降り立つ。予定より早く到着した。
着替えなど入れたデポ用のカバンを柵にくくりつけて鍵かけて、さあ出発!
ザックが重い。出だしは「まぁちょっと重いけど行ける行ける!」だったけれど、じわじわと「やばい。重すぎる。。。」とヒイヒイになる。
木々の間から時おり見える、甲斐駒ケ岳の内院とも言うべき懐を持った大きな姿に元気をもらいつつ、やっとこさ五丈小屋跡に到着。
テントを設営して、ギアを身につけて沢に降りる道の偵察に出発。
夏に登ってきた道を降りるだけと思っていたけれど、意外と迷う。
甲斐駒ケ岳、カッコいいなぁ。
明日、暗い中で降りるけど大丈夫かな。。。と思いつつ、GPSのログを確認して適当なところで折り返す。
結氷したナメの短い枝沢があったので、登攀の最終確認と思ってちょっと登ったりして、テントに戻って就寝。
雪は無かったので、その辺に生えていたツララを溶かして水にする。
12/9
映画“バットマン ダークナイト”に出てくるジョーカーからどうしても逃げられない夢を見て、あぁ!!と思ったところで目覚ましの音に起こしてもらい救われる。
アルファ米と豚汁の朝食を食べて、出発。
黄蓮谷の沢床まで1時間くらいと思っていたけど、ヘッドランプの明かりだけでは地形を見るのに混乱してしまい、迷った。何度か同じクラの周りを回った気がする。
どうにかこうにか見覚えのある五丈沢の姿を見つけて、6:30、ようやく黄蓮谷に降り立つ。夜も明けてきた。
最初の小滝は結氷無く、あっさり巻いてしばし進むと、この1週間で百回くらい写真で見た坊主ノ滝が現れた。
毎日毎日気温を確認して、凍ってると予測して入山したけど、正直なところ結氷してる自信があまり無かった。下降に迷ってる時なんて、弱気になってしまって「結氷してなかったので黄蓮谷は中止しました。」というオチまでなんとなく浮かんできてた始末。
しかし、目の前の坊主ノ滝は見事に結氷している。
マジでこの山行始まるのか。。。と、呆気にとられつつ、準備。
近づいて見ると、若干結氷甘く水が流れている部分もあるけれど、おおむね大丈夫そう。
傾斜が強くなる直前までフリーで登って、落ち着いて17cmスクリュー2本でアンカーを設置。
単独登攀の手順を入念に確認して、登攀開始。
アックスを打ち込む氷の継ぎ目も足の置き場もたくさんあって、中間支点もちゃんと取れる。
水が流れている部分を無難に避けつつ、1ピッチ目20m終了。
手元に残ったスクリュー3本で終了点を作って、「氷、割れないでください。」とビビりながら衝撃を与えないようにゆっくり懸垂下降の後、ギア回収しつつ登り返し、終了点まで戻ってくる。
2ピッチ目、出だしが水の流れる3mほどの立った氷。
周りはベルグラのスラブしかないので、ここ以外に登る場所も無い。まぁ大丈夫だろと思いつつも祈りながらスタートを切って、無事にのっこす。やれやれ。
ここから先、良い終了点にできそうな立木までベルグラのナメ。アックスは強く打ち込まず、フッキングでバランス取る程度にして足で登る。不動岩や堡塁岩でのドライの練習が役に立ったと思えた瞬間でした。
2ピッチ目の出だしから40mくらいで立木にたどり着いて、今度は余裕の懸垂下降でギア回収して坊主ノ滝の登攀終了。
散々読んでたガイドブックには、「坊主ノ滝を登ることができればこのルートの登攀は問題無い」と書いていたので、嬉しさもひとしお。
しかし、時間かかりすぎた。1個の滝登るのに3時間弱もかかってしまった。
奥千丈ノ滝に到着。
階段状だったのでフリーで取り付く。辺りはツララだらけで、見事な景観だ。
最初の滝をのっこすと、そこからは延々とナメが続く。すごい。
すごい景色だけど、氷に対して段々お腹いっぱいになってくる。ずっと蹴り込んでいるからか、ふくらはぎもパンパンになってきた。
ナメを歩きつつ、時おり小滝を巻いたりする。
出くわしたナメ滝。時間は14時。
登るならロープ出さないとなって感じだけど、時間に余裕が無くなってきたのと、単純にちょっと疲れてきていたので左岸巻きに入る。
この巻きの藪漕ぎが結構ひどくて、しかもなかなか沢に復帰できず、ハイマツ、シャクナゲ、ダケカンバの中を2時間弱も格闘した。
ようやく沢に復帰するころには16時。ヘッデン登山決定だな。
でも、良い景色だな。
沢に復帰すると、もう氷は終わっていて、スネ程度の積雪のなかを延々とラッセル。
ついに沢も終わり、稜線めがけてラストスパートってところで夜になり、月明かりの中を10歩進んでは息を整えるようなペースで進む。
17:30、ついに稜線の登山道に出て、眼下には伊那の街明かりがきらめいている。
甲斐駒ケ岳の山頂まで行って、暗くてなにかよくわからない写真を撮り、下山開始。
登山道、最高や!と思いながら降りるも、鎖場とか普通に怖い。気をつけつつ降りて、七丈小屋でビールを買って、五丈のテントに着いて、1人祝杯をあげました。
12/10
目覚ましかけずに寝たので、ばっちり寝坊する。
テントを片付けてザックを背負うと、食料も水も減ったはずだけどばっちり重い。
4時間かかって黒戸尾根をおりました。重いザックは登るのよりも降りの方がキツい。
竹宇駒ケ岳神社で山行を無事に終えることができたことを喜ぶ。
下山完了。
以上、山行報告でした。
難しい滝こそ無い黄蓮谷右俣ですが、とにかく長く、技術よりも体力勝負だと思って計画し、結氷なければ登れず、降雪があれば雪崩に埋まるので、今回は最高に条件の良いタイミングで入山できたと思います。
甲斐駒ケ岳には、他にもたくさんアイスクライミングのポイントがあるようなので、レベルアップしてまた来たいです!
1人で山行することでいつも会の方達に心配をかけてしまうことに、まだ僕自身答えが見えていませんが、見送ってくださるみなさんにありがとうございますといつも思います。
みなさん、いっしょにアイスクライミング行きましょう!!
良いアイスシーズンの幕開けでした!