六甲山 須磨 馬の背 北側の尾根 クライミング

山行日
山域、ルート
六甲山 須磨 馬の背 北側の尾根
活動内容
クライミング
メンバー
岩瀬た

六甲山 須磨 馬の背 北側の尾根 クライミングの山行記録

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こんにちは、岩瀬た、です。
年が明けてから天候その他諸々でほぼ山に行けずまんじりともしない鬱屈した日々を送ってしまっているのが悲しくて、六甲山に行ってきました。

以前からなんとなく気になっていた須磨の馬の背の北にある小さな岩尾根。
六甲山ということで計画書も作らず、一応Yさんに行き先だけ簡単に告げて、特筆することもないだろうと思いつつ取付きましたが、どうしてなかなかシビれる場所でした。
どこに行くにしても侮っちゃいけないな。

以下、山行記録です。


装備

50mロープx1
ハーケンx4
イボイノシシx2
カムx2
スリング 長め数本
(全て使えず)

行程

目的の岩尾根へのアプローチも楽しみたいなと思い、山と高原地図からは消えているが地理院地図には載っている沢沿いの道を選ぶ。
9時過ぎに山陽電鉄月見山駅に着き、住宅街を通り抜けて“天井川憩いの広場”に到着。
立派な案内板があり、それによるとアプローチする予定の沢筋は「探検コース」という道になってるみたいだ。山と高原地図に載っていないということは、道が崩れたりして廃れた登山道になっているのかなと思いながら進むと、トラロープで立ち入り禁止になっていた。
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ハーネスとヘルメットとバイルを装備して、入山。

廃れた登山道といえども、利用してる人は結構いるみたいで、踏み跡ははっきりしている。
上に建物が無いからか水も変な匂いはしないし久しぶりの沢の雰囲気に気分良く歩みを進める。

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1時間程度で馬の背のコルに到着。

改めて北側の岩尾根を観察して、鎖沿いに降りていく。
この鎖沿いの道も地図には載ってないけど、どうやら沢伝いに降りれば横尾の町に降りていけるみたい。

10時30分、めぼしをつけていた岩尾根末端付近のルンゼ(ルンゼと言うには大袈裟なほど小さいルンゼ)から取り付く。
わかっていたけど、ザレザレだ。
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ルンゼの行き止まりは5mほどの凹角になっている。
地面からニョキっと出てた松の木に気持ちばかりのセルフビレイをとって、トレッキングシューズからクライミングシューズに履き替えて、ロープやハーケンその他の装備を整える。
さて取り付こうと思うも、想像してた以上に触ったそばからボロボロ崩れていくので一歩も離陸できない。
しばらく迷って、なんや無理やん。辞めとこう。と思い元来た道を慎重にクライムダウン。
すると途中に、ここなら登れるんじゃないかと思える面があったので、しばし迷って、改めて取り付く。
どこもかしこも崩れそうに感じながら騙し騙し登って、リッジに出る。
「騙し騙し」という表現。
この時、僕が何を騙していたかというと、怖くなりそうな自分自身だ。
登り始めるまでに、思っていたよりも崩れやすい斜面を何度も壊して、あまり聞きたく無い、砂が流れていく音や石の塊が落ちていく音を聞くとやっぱり怖くなってくる。当たり前だけど、怖がると登れるものも登れない。
目の前の斜面は、あきらかに登れる斜度で、慎重にいけば問題ないのは見たらわかる。
でも、嫌な想像は当然脳裏に浮かぶ。
そんな自分を「慎重に行けば大丈夫。一点に荷重をかけないようにすれば、不確かな安定は安定してることのうちに入る。」
と、騙し騙し。

小さな立木まで行ってホッと一安心。
コルから確認してた尾根通しに抜けていくラインが見え隠れ。
進退極まりそうになったら、ところどころに点在している小さな立木か、もしくは大きな岩塊(小さなピナクルではピナクルごと崩れそう)で懸垂下降だなと思いながら進む。

2mほどの乗越をするにも、丁寧にザレを払ってスタンスを探して(探してというか作ってというか、、、)、できるだけ荷重を四肢に分散させて細かく刻んで這うように乗り上げる。
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そんなことを2、3回やって、口がカラカラになってきたところで、12時頃、ようやく樹林帯に逃げ込むことができました。


以上、記録です。

今回の小さな目標に、前調べせずに取り付くというのがありました。
普段はかなり前調べするタイプの僕ですが、今回は今までの経験がどれほど身についているか試してみたかったのと、前調べしないことで、できること/できないことを発見できたらと思いながらのトライでした。
水平距離たった100mの中で、安全確保するにはどうするべきか考えて(岩がボロボロでまともなプロテクションが取れないのと、仮に立木などでプロテクションを取ったとしても2、3歩のトラバースや水平移動が多くてロープ伝いに降りて回収・登り返しする方が危なくて結果的にノープロテクションになった)、かなり真剣なルートファインディングをしました。
振り返れば、判断を投げ出さず慎重にいけば簡単な登攀でしたが、メンタルが鍛えられたと思います。

良い経験だったけど、2回目は行かないし次はヤバイかもしれないと思える、自分自身としては珍しい感想を持った場所でした。ちょっと、人にはオススメできない感じでした。

スケールはかなり小さいけれど顕著でカッコイイ見た目の岩尾根で、樹林帯に逃げ込んでからは薄い踏み跡らしきものもあったので、誰か登ってるだろうと思い、家に帰ってから調べてみましたが登山大系にもインターネットにも記載が見られず、でも絶対登ってる人はいるはずなので、登ったよという方がいましたら、どんなだったか話してみたいなと思います。

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次からはこういうトライは会に計画書を出してから挑戦しようと思います。