大山北壁 弥山東稜ルート 厳冬期アルパインクライミング
- 山行日
- 山域、ルート
- 大山北壁 弥山東稜ルート
- 活動内容
- 厳冬期アルパインクライミング
- メンバー
- 石橋(記録)、谷川
大山北壁 弥山東稜ルート 厳冬期アルパインクライミングの山行記録
去年の秋からぼちぼち計画していた大山北壁。
一月末の予定は天候不良で流れ、二月初めは高温による雪崩のリスク回避のためまたもや延期。三度目の正直にかけて念願の北壁へ行ってまいりました。以下山行報告です。
前日夕方三ノ宮駅で待ち合わせして大山へ。僕は免許を持っていないのでレンタカーの手配と運転は谷川さんにすべてお願いしてしまった。ほんとに申し訳がない。長い休みに入ったら合宿で必ず取りに行くのでそれまではただ乗ってる人ですが許してください。手配と運転ありがとうございました。
そうこうしてるうちに大山登山口横の駐車場到着。外に出てみるとちっとも寒くない。本当に大丈夫なのだろうかと不安がよぎる。その日の山行記録をザーッと読んでみるととんでもない暴風だったらしい。大半のパーティーは登頂をあきらめたそうだ。そんな風がガスを飛ばしてくれたからだろうか、星がとてもきれいな夜だった。この日は22時頃就寝。
朝の4時起床。車中泊で体中が痛い。特に腰が起き上がれないぐらい痛い。二十歳にもならないうちから腰痛持ちだと山では苦労する。それに寒い。前日の夜に気を抜いて何も着ないで寝たが最後。寒さで何度も目が覚める。最後にはツェルトを被って車中ビバーク。車中でもシュラフはいるということにようやく気付いた。簡単な朝食を各々済ませ、5時出発。林道を歩いているとはるか上方にチラチラとご来光組の明かりが見える。避難小屋までは特に苦労することなく到着。この時点で6時前。いいペースだ。
ここからはラッセル覚悟できたが以外にも雪の締まりは良い。ワカンなしでもスイスイ行ける。行ける。行けるはず。もうちょっと…。結局バてた。たまにひざ下まで抜ける雪の登りがつらい。小屋から取り付きまでものの30分だがそれがつらい。「壁でかいですねえ」「別山も行きたいですねえ」といいながら白々しく休みながらまで到着。ここでちょうど日の出を迎える。
取り付きからはコンテで登る。谷川さんがダブルアックスでブッシュをかき分けていく。最初はうるさい程なので支点には困らない。1ピッチ程登るとブッシュも少なくなりナイフリッジが現れる。その後もランニングビレイを取りながらどんどん登る。弾切れ起こしたところでリード交代。気持ちの良い雪壁と稜線。適度な硬さで本当に登りやすい。
思い出話だが、僕が初めて雪山を登ったのは高1の時に来たこの大山。初めて買ったピッケル握りしめてKACの先輩から借りた冬靴とアイゼン履いてヨチヨチ登ったのが3年前のこと。大山に連れてきてもらってなかったらその後の自分の人生は全然違っていただろう。大山は自分を変えてくれた山。そんな山の山頂にまっすぐ抜ける稜線に立った時、本当に感無量だった。この山に会えてよかった。この会で山を学べてよかった。心の底からそう思えた瞬間だった。
山頂へのトップアウトは9時半。予想では昼に山頂の予定だったので意外と早いことに驚く。雪のコンディションがとても良くて気持ちよく、素早く登れすぎてしまったかもしれない。素晴らしいクライミングをさせてくれた大山にまたもや感謝。
その後は夏道で6合避難小屋まで下りてそこから元越谷へ。夏道は登山者であふれていてとてもじゃないがスムーズには下れない。関西の名峰の人気は凄まじい。しかし登ってくる人の中にはローカットシューズにチェーンスパイクの方やスノボ用のシューズの方も見受けられた。SNSで紹介されることで多くの人の注目を集める一方で、不十分といわざるを得ない人が多く入山しているのもまた事実。これでは防げる事故も防ぐことはできない。ぽかぽか陽気の道も地吹雪に変わる。ゆるんだ雪にスパイクでは止まらない。某登山道具店で靴選びをサポートさせていただいている身として、山の素晴らしさとともにもっと山のリスクと道具の重要性を伝えられるようにならなくてはと痛感した。
元越まではシリセードにチャレンジ。雪が緩すぎてうまくは滑れず。結局ほとんど歩きで元越避難小屋まで。振り返ると大山北壁がカッコいい。今シーズンはもう来ることはないだろうし、来シーズンからはしばらくの間僕は日本にいない。次に登れるのはいつか分からないけれど、その時も僕が大好きな美しく、雄大で、素晴らしい大山であってほしい。その姿を目に焼き付けて元越谷を後にした。
駐車場着が11時半。風呂に入って早々に帰宅の路につく。というのも僕も谷川さんも翌々日には焼岳で再びスキーの予定があるので早く体勢を立て直したかった。山行尽くしで忙しいけれど、忙しいほうが幸せだなーって山登ると感じるこの頃です。
画像資料少なめでごめんなさい。携帯落とすの怖くて全然撮れませんでした。
昨夏カメラ水没させて以来山行の時の写真が全然ないので頑張ってカメラ準備します。