涸沢岳西尾根 奥穂高岳 冬季アルパインクライミング
- 山行日
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- 山域、ルート
- 涸沢岳西尾根 奥穂高岳
- 活動内容
- 冬季アルパインクライミング
- メンバー
- 石橋(L)、長野(記録)
涸沢岳西尾根 奥穂高岳 冬季アルパインクライミングの山行記録
ルート
6日
新穂高温泉駅駐車場(7:20発)ー穂高平小屋(9:30)ー白出沢出合(10:30)ー2400m地点で幕営(15:10着)
7日
2400m地点(3:00発)ー蒲田富士(4:30)ー涸沢岳(6:30)ー穂高岳山荘(7:00)ー奥穂高岳山頂(8:00)ー穂高岳山荘(9:00)ー涸沢岳(9:30)ー蒲田富士(10:50)ー幕営地(13:00)ー白出沢出合(16:00)ー新穂高温泉駅駐車場(17:45着)
涸沢岳西尾根は冬期奥穂高岳へと登るに雪崩を避けるため多用される長大な尾根、今回二人でチャレンジしてきました。
計画を立て始めた日より、お互い天気データなどを取り始め、気温や天気図を参照に局地的な傾向を掴んでいく。蒲田富士から伸びるプラトーと呼ばれるリッジに発達する雪庇や奥穂高岳山頂周辺の間違い尾根への分岐への目印として旗竿を作って持っていく事にした。
3月5日
夕方に合流し、スーパーで食材を買い込み出発、合流直後より雨が降り出す中、新穂高温泉駅駐車場へと向かった。除雪はしっかりされている。24:00頃駐車地へ着き車中泊。
6日(曇)
6:00起床、雨の止む頃合を見て出発の準備、入山届を提出して入山。
蒲田川右俣林道に上がると雪の状態はあまり良くはなく、早速ワカンをつける。
白出沢を越え、夏道と尾根との合流地点より涸沢岳西尾根末端へ取り付く、テープも豊富で、踏み跡もついているが最初からなかなかの急登、所々踏み抜いたりしながら高度を上げていく。しんどい。。。。
石橋くんも「しんどいですー」と言っていたが、全くそんな風に見えなかった。
1800m付近からテントが張れそうな平坦地がありました。途中の急登ではフィックスロープも張ってありました。2100m付近より斜面が細い箇所も出始め、左側のブドウ谷方面に雪庇もついている。
15:10頃2400m地点まで登る。テントが2張りほどあったので、そこより少し高度を上げ、斜面の雪を掘ってテント設営。
丁度、笠ヶ岳が綺麗に見えていました!今回、各自ソロテントなので、食事の時だけテントで一緒に水を作ったり、キムチ鍋を作って食べた。締めはうどん。翌日は10時間超の長丁場なので楽しい話もしつつ、お菓子、つまみを食べたりして早めに就寝。
7日(晴)
1:30起床。外は晴天無風。お湯を作ったり、朝食を各自のテントで済ます。この日は僕はチキンラーメンに鯖の水煮缶を投入。残ったスープにサトウのごはんも投入して食す。
3:00テントは張ったまま、ロープ、アックス、アイゼン等の装備を整え出発、月明かりの中、まずは蒲田富士を目指す。
踏み跡もついているが、ヘッドライトで雪庇の位置も確認しながら進む。2600mにて南陵と合流、風も出てくる。右手には西穂の稜線が暗闇に浮かぶ。蒲田富士への上りは雪も付いており若干のミックスと凍ったハイマツ、雪の状態も良く締まっており、フィックスロープも張っているが、慎重にアックスとアイゼンを効かせて登っていく。
蒲田富士頂上から先のリッジとその雪庇の状態が気になっていたが、雪庇は北側だけに付いているように見え、蒲田富士から先のリッジには斜面の南側に踏み跡とフィックスロープが張られていた。どうやら前日見たテントの大学山岳部パーティーがフィックス工作をしていたみたいである。ありがたくその踏み跡を使わせて頂く、山行記録の写真では斜面の両雪庇を越すなどという話もあったが、雪庇には近付く気にもなれない。
そこからF沢のコルに降り小休止、そこから先は雪のついたルンゼ状地形かその左側のミックス帯を登るかというところだったが、左側のミックス帯を登った。岩稜の雪は良く締まっており、アイゼンは良く効く。所々に若干のトラバース気味の箇所もあった。この辺りは、条件次第ではガチガチに氷化することもあるらしい。途中、槍ヶ岳や北穂滝谷が見え、写真を撮る。涸沢岳山頂直下では山頂には寄らず前穂北尾根、奥穂高岳山頂のパノラマを写真に収めつつ、そのまま穂高岳山荘まで雪の急斜面を下る。
奥穂高山荘は半分雪に覆われていたので、掘り起こされていた冬季小屋入り口の影で小休止をとる。行動食とお湯が染みるひと時。
さあ、奥穂高山頂へ!過去に事故もあったと聞く梯子と鎖場も慎重にルートをとり登る、間違い尾根への分岐で持ってきた旗竿を立てる。下山時に確認した時、確かにここは西穂方面から進んできた時に涸沢岳方面への正規ルートが尾根の陰になって見えず逆にその先に道がないように感じる。そうやって視界不良の場合に間違い尾根方向に進んでしまうのかもなと思いました。
ゴーグルを外すと雲ひとつないという青空ではなかったけれど周囲の開けた展望と雪景色がキラキラしていた。
ここで山頂で先にソロできていた方に写真を撮って頂く。前日穂高岳山荘の避難小屋を二時間かけて掘り起こしたそうだ!
写真を撮ったのちそそくさと下山開始、下りも長い、少なくとも幕営地までは慎重に足を進めていきたい。個人的には、この日僕のゴーグルのレンズの色の関係か穂高岳山荘横の梯子場周辺の岩稜帯の下りが斜面の雪の凹凸が少し見えにくく若干慎重に降りてきました。穂高岳山荘から先は写真も取りつつゆっくりと下山、太陽も上がってきて、特に蒲田富士周辺のリッジからは白く映る穂高岳の稜線が美しく暫し写真タイム。蒲田富士直下の急な岩稜帯はバックステップも合わせつつ降りる。
12:00幕営地着
だらだらとテント撤収準備の後、13:00発で幕営地を後にする。「帰りの運転とかあるんでロープ持ちますよ」と石橋くんはロープを担いでサクサクと降りていく。急斜面では若干柔らかくなった雪が歩きにくい。僕はヘロヘロになりながら白出沢出合に到着。そこからワカンをつけて林道をサクサク進んでいく。穂高平から林道をショートカットしている時に二人共ワカンの紐の接続部分が外れたりとドタドタと駐車場まで帰ってきました。
今回、行動時、2400m地点で外気温-5度、3190m地点で-10度、風速10m前後といったところで天気も良く、トレースもついていたりと条件が良かったと思います。石橋くんの体力はやっぱりすごかった笑!山行の話が持ち上がってから毎日近所の団地の階段を歩荷していたが今後も続けていこうと思います。石橋くんありがとう!!