Mt. Rainier Disappointment Cleaver 登山
- 山行日
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- 山域、ルート
- Mt. Rainier Disappointment Cleaver
- 活動内容
- 登山
- メンバー
- 林、石橋
Mt. Rainier Disappointment Cleaver 登山の山行記録
ヨセミテに別れを告げて次に向かうは北へ1400km。カナダ国境に近いレーニア山へと向かう。
果てしないアメリカの大地。照りつける太陽。
寄り道しながら徐々に北へ北へと走ること4日。8月18日、いよいよマウントレーニア国立公園に入る。
この日はレンジャーステーションで入山許可を得たり、買い出しをしたりと諸々の準備を済ませ、近くのキャンプ場で早めの眠りにつく。夜の森で銃声が鳴り響くのもこの国ではよくあることだ。
翌朝8時半にParadiseの駐車場から山へ向かって歩き出す。
山へと続く階段にはジョン・ミューアの残した格言が。
“...the most luxuriant and the most extravagantly beautiful of all alpine gardens I ever behold in all my mountain-top wanderings."
「これまでの私の冒険の中で、最も豊かで飛びっきり美しい 高山の庭園である...」
なんてワクワクする言葉なのだろう。
道中にはたくさんの動物がいる。ライチョウにジリス、 シカにマーモット。
確かにここには高山のパラダイスがある!
最後の小川で水を補給するとそこから先は長い長い雪の斜面がつづく。
まだ曇りでよかった。日が差していたらレジ横のファミチキみたいになっていたかも。
13時、Camp Muirに到着。
氷河の端っこにテントを張ってほっと一息。
最近のOURブームであるツナマヨサンドを頬張ってお昼寝ターイムZZZ
目が覚めると日は西の空へと傾き始めていた。どうやら数時間は寝ていたようだ。
NPSのレンジャーが登山許可の確認にやって来た。テントまで一度来てくれたらしいが昼寝していたのでソッとしておいてくれたそうだ、ありがたや。
明日の天気やクレバスの状況も丁寧に教えてくれる。なんて親切なんだろう。
夕飯はインスタントのカトマンズカレー。 林プロはこの1ヶ月で完璧な湯量を体得したそうだ。
20時就寝。
0時45分起床。周りのテントが騒がしくてその前から何度も目が覚めてしまう。
テン場で静かにする。シンプルなことだけど、これが徹底されてる日本ってほんとに素晴らしい。。。
朝食はいつものオートミールをココアで流し込む。JMT中はこれでスイッチが入った、と林さんのパートナーが話していたけど、いつしか僕の体もそうなっていたようだ。やる気がどんどん湧いてくる。
2時。テントを出ていざサミットプッシュ。
テン場を出るとすぐにヒドゥンクレバスが何本も走っている。久しぶりの氷河だが、歩き出せばシャモニー仕込みの氷河の歩き方が蘇ってくる。どこを見るのか、何を気をつけるのか。大切なのは観察力と直観、そしてスピード。フランスの氷河で叱られ続けたことも今では大切な経験だ。
氷河をトラバースして尾根を乗っ越し、また氷河を登る。テントが何張りか張ってある場所を越えると斜度が増してアイスフォールを抜けるトラバース。頭上に迫っているのは一軒家ほどの大きさがあるセラック。これらは常にゆっくりと動いていて、その僅かな動きも見逃してはならない。急足で進みながら、セラックの形を頭に叩き込みながら、クレバスを飛び越えながら。この忙しさ、これこそが氷河歩きの面白さだ。しばらく岩のリッジを登ると今度は上部の氷河に出る。ここから斜度はさらにキツくなるが、これを越えればサミットだ。徐々に風とガスが出てくるが、トレースはしっかりしているので安心。
途中クレバスを渡る渋滞もあったが、7時に山頂付近に到達した。ホワイトアウトの為、本来の山頂へ向かうのは危険と判断。早々に下りに取り掛かる。
団体登山のグループがクレバスの通過に時間がかかってなかなか進まない。普通は後続に道を譲るだとか、一声かけるとかするもんだと思うが団体を率いるガイドはなんの配慮もない。それどころかクライアントに指示を出すこともない。なんのためのガイドであろうか。ロープをつけて後を追うだけなど赤子でも出来る。
「なぜロープを結び合うのか」かつて僕に沢山のことを与えてくれた師匠の言葉が頭によぎった。
シンプルだけど安全のために本当に必要な問いだ。
しばらく降りるとガスは次第に取れてきた。見上げると凄い勢いで山の上を雲が流れてゆく。 危ない雲だが、なんて美しい雲なんだろう。クレバスも、セラックも、言葉が出ないほど美しい。危ないけれど、僕は氷河という場所が大好きだ。
Camp Muirには11時着。テントを撤収してきた道を引き返す。
久しぶりの氷河の山でなんだかすっごく懐かしい気持ちになれた良い山でした。また来年登りに来たいな、渋滞は勘弁だけど。
途中いろんな中古ギアショップで装備を揃えてまで一緒に登ってくれた林さんに感謝です♪
下山後はシアトルの街で海鮮を食う。
テーブルの上でカニを叩き割って食べる豪快な食事。危うく脳みそがスパークするところでした。
そしていよいよ最後の山、Grand Tetonを目指します。