イブキ嵓谷 沢登り
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イブキ嵓谷 沢登りの山行記録 ~ドキドキの沢泊デビュー~

こんにちは、おせんです!
今回はイブキ嵓谷で、念願の『沢泊』を経験する事が出来ました。
約1年前、服部文祥さんのYouTube『楽園山旅』に憧れて『沢登りがしたいです🤤』と神戸山岳会の門を叩き、この度ようやく『楽園山旅』を叶えることが出来たのです。
楽園というより地獄でしたが、今まで培った登山の総合力を全力で発揮できる、自分にとって筋トレでいうところのオールアウトの様な登山でした。
メンバーは『めざせ!ザクロ谷』のOKDさん、岩瀬た君、そして私の3人。
行程の詳細は岩瀬君が書いているとおりなので、私は私なりに気づいた事を、徒然なるままに書いていこうと思います。
入渓から少し進むと『アメ止りの淵』
長い淵を泳ぎ進む。
右岸は30mの嵓が覆い被さるように聳り立つ。
手前から左岸を容易に巻くことも出来るものの、奥に見える2段10m滝を見に行く。
2段10m
行けそうだったので、釜を泳ぎ滝の左側からフリーで突破。
2段20m『桶側ノ滝』
この奇観を言葉で表現するのは難しい。
まず両岸とも大きく立ち、この写真の撮影地点は、50mの嵓が大きく侵食されて洞窟になっている。
一方向からでは、滝の全貌を掴むことが出来ず、滝の落下地点を確認する為、右側の暗い廊下を泳ぎ進む。
滝壺のリサーキュレーション、そこから廊下に向かう横方向の強烈な水圧が岩壁に衝突し、更に90度に屈曲する廊下、廊下の突き当たりはエディが出来て、流れがあまりにも複雑で危うく廊下の奥に吸い込まれるところでした。
岩瀬君がテラスの上に居た事で手を借り、引き上げてもらいましたが(命の恩人🙏)肝が冷えました。
見た目は綺麗ですが、まるで地獄の釜か、河童の群れが住んでいるのでは、という程です。
これが泳いで近付かないと分からない洞穴の死角にあり、気付いた時には手遅れで、いつ引き込まれてもおかしくない為、テラスまでも泳いで近づくのは止めた方が良いです。
しかしとても綺麗で、青の洞窟の様でした(見たことないけど)
桶側ノ滝は右岸から、岩瀬君リード。
先日メルカリで新調したクラシカルバランスライト(4,000円)一発目の荷上げで一気に男前に。
雨蓋に物入れ過ぎたかな?
またこの沢は、岩が脆く鋭利な部分もあって、登攀中、ウェアやザックの至る所が損耗しました。
アー○テリクスなんてもっての外!!
一見容易そうなナメ滝5m
滝の左から離陸し取り付くも、ホールドスタンス共に乏しく一筋縄でいかない。
釜にフォールし振り出し…
OKDさんは水流右から奮闘!
色々試行錯誤しましたが、少し寒くなって時間もかかっていたので、ここは大人しく左岸巻き、おせんリード。
ここもボロボロで気持ち悪かったです。
カラハッソウ谷との分岐を左にとり、いよいよイブキ嵓谷へ。
透明度の高い釜にかかる小滝、その奥に15m滝。
とても清涼な空間でもっと時間をかけて堪能したかったけど先を急ぐ。
ここは左岸のガリーを、おせんがリード。
取り付きは草付きで、その後左上、嵓と大きなフレークの間に身体を入れ、ワイドクラックばりに直上。
その際、ザックがあっては登れないので、その場にデポ、フォローに回収依頼。
スタンスやホールドは動いたり、動きそうだったり、動かないと見せかけて動いたり、結局動いたりと相当脆く悪い。
何とか40mロープいっぱい伸ばしてピッチを切る。
あまりに悪かったので『次は山頂で日の出を見ながらコーヒーを飲む、そんな優しい登山がしたいな』と現実逃避しながらセカンドビレイしました。
嵓とフレークの間にデポしたザックは、フォローの岩瀬君がメインロープに固定し引き上げ、その際、意思の疎通が上手くいかず、手間取りました。
事前に打ち合わせをしておくとか、もっと効率の良いシステムだとか、色々と反省点は多かった。
ただ、自分の中では会心の登攀でした!
三俣の本谷側30m
ここから一日目最後の大高巻きが始まる。
その前にヴルクシャーサナで精神統一。
大高巻きを終えて、ようやく幕営地にたどり着く。
随分かかってしまったが、まだ明るい内に野営の準備が出来て良かった。
沢でやりたかった事の一つ。
今まで飲んだプレモルの中で、ダントツで一番に美味しかったです。荷物は軽量化の為、シュラフ無し、マットは50㎝+ザック、登攀具はほとんどメンバーのお二人に持っていただきましたが、これだけは外せない!とザックに仕込んでおいて良かったです。すみません🙏
夜は中々の不整地に極小マットとザックを敷き、シュラカバにくるまる。
タープは『晴れてるからいらんやろ~』との神からのお達しで、夜空の下ごろ寝しているとパラパラと雨が。
雨は強くなったり弱まったり朝まで断続的に降り続け、その間シュラカバの入り口を小さくして、鼻と口だけ出して、耐える。
ほとんど眠れないまま朝を迎える。
4時半起床。
6時半に出発し、ゴーロ帯を抜けると、遂に黒滝が現れる。
『黒滝』
イブキ嵓谷と言えば黒滝。
落差80mを誇り、三段になって落下。
落ち口からの水が霧となって降り注ぐ。
まるで巨大な遺跡か、無骨な巨像のよう。
その左に聳り立つは『メオトグエ』
120mの大岩壁は天空を突き、ガスに姿を隠す。
黒滝登攀
1P目、岩瀬君リード。
黒滝が見える右のルンゼを登り、その後左のフェイスにトラバース、からの直上。
ホールド、スタンス共に乏しく、更に草付きや灌木も根が張っておらずズルズルで激しく悪い。
ここをリードでキッチリキメるメンタルが凄い。
しかし黒滝バックの登攀は映えるな~
ちなみにおせんはフォローの際、ルンゼからフェイスへのトラバースでフォール。
一気減りました。
1P目終了点から、黒滝登攀の可能性を探る岩瀬君『ここの凹角、行けそうですよ!』
俺は今すぐ温泉に行きたいかな( ^ω^ )
2P目おせんリード
黒滝から右にトラバースして開始。
前半ホールド乏しく、逆走で悪い。
そこを抜ければ容易なルンゼ、倒木でセルフを取ってビレイ解除。
最後の悪所25m滝の高巻きを終えて一息。
荷物切り詰め過ぎて、行動食を切らしてしまいOKDさんに分けてもらう。
ポテトチップスを砕いて、ナッツとドライフルーツを混ぜた行動食、とても美味でした!
次から自分もやってみよう。
一日目11時間行動
二日目15時間行動
自分自身、普段からそこそこ運動しており、体力はあると自負していましたが、結構ハードで完全燃焼でした!
沢経験豊富なOKDさんから沢泊のイロハを教えていただき、岩瀬君からは様々な場面でフォローしてもらいました。
このイブキ嵓谷を完全遡行出来たのは、お二人の力添えがあったからこそで、二人には感謝しかありません😌
ただ、自分の思っていた沢泊とちょっと違ったので、ザクロが終われば、次はちゃんと『楽園山旅』しませんか笑