称名川 ザクロ谷 沢登り

山行日
-
山域、ルート
称名川 ザクロ谷
活動内容
沢登り
メンバー
OKD(記録)、岩瀬た、おせん

称名川 ザクロ谷 沢登りの山行記録

特に印象に残った事を記す。

詳細は前述の岩瀬た君とおせん君の記録を見てください。

「ザクロ谷」

沢登りを始めて少し経った頃に手にした成瀬陽一さんの著書の表紙を飾るのがその谷だった。

その頃の僕は、紀伊半島の沢でようやくゴルジュや大滝登攀というものに触れ始めた頃で、その画に強烈な印象を与えられたことを覚えている。

以降、ザクロ谷は僕の憧れの沢として心に棲みつき、5年前に選りすぐりのメンバーでこの谷に入る計画が持ち上がり準備を整えたのだが、この時は天候不良で中止に終わった。

その後は自分の仕事やら当時のメンバーの生活環境の変化などで行く機会を逃したまま月日は流れた。

ただ「行きたい」という思いは心の片隅にこびりついていて、ふと僕が漏らした「ずっと前からザクロに行きたいんよなぁ」の一言を彼が覚えていたのかは定かではないが、今年に入って岩瀬た君と行った山行の途中に「今年、ザクロ行きますよね!」と言われた。

その時はまだ、一緒に行ってくれるメンバーが現れるなんて思ってもみなかったので「お、おぅ。行くよ。。。」と答えたものの内心「ほんまに行くんかいな」と半信半疑だった。

しかしそこからの彼はすごかった。まずザクロの予定日を決めると、ほぼ毎週末沢へ行く計画を立てて僕に送りつけてきた。いつ休むの?というくらいのまさしく地獄のロード。しかし、ザクロに行くからにはそれなりに準備は必要だし、それまでに練習として行っておくべき沢を話し合いながら決めた。途中でおせん君も志願兵としてメンバーに加わり、天候や流行病にかかったりで計画通りに進まない部分もあったけど、なんとかギリギリ準備は間に合った。

そしていよいよ当日を迎えたのである。

1日目

前夜21時におせん君が自宅まで迎えにきてくれ、そこから岩瀬た君をピックアップ、立山を目指す。

僕は夜勤明けであまり仮眠が取れなかったこともあり、初めはおせん君が運転を引き受けてくれた。

途中で運転を交代し後半は僕の運転で3時に桂台ゲートに到着した。その間、岩瀬た君は前日が仕事休みだったにもかかわらず後部座席で爆睡…コノヤロー!まぁこういうのも彼の憎めないところではあるんだけどね。

予定より少し早い時間ではあるが、さっさと準備を済ませて出発することにした。

ゲートを越え車道をトボトボと30分くらい歩くと称名川第二発電所の取水管が見えてきた。

辺りは暗くて先は見えず、ヘッデンの明かりを頼りに一歩一歩登っていく…が、一向に終わる気配はなく「六甲縦走の高倉の階段よりキツいやんけ」とか悪態をつきながら登っていくとようやく巡視路のトンネル入口に着いた。このトンネルには蝙蝠が生息していて何人もの沢ヤたちがビビらさられているらしいので、先を2人に譲ることにした。僕は大抵の虫や動物は大丈夫だけれど、鳥が羽ばたくのが少し苦手で、バタバタと羽ばたいた時に何か粒子のようなものが飛び散る気がしてその空気を吸い込むのが嫌なのだ。蝙蝠は鳥じゃないけれど。

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案の定、何度か蝙蝠の羽ばたきに見舞われ、その度に息を止めてやり過ごしながらトンネルを越え、雑穀谷に出た時には空も明るみ始めていた。

早速この日のために考えを巡らせたレイヤリングのウェアを着込み沢に浸かる。冷てぇーーー!!

覚悟はしていたがそれ以外の言葉が出ない。

その横でおせん君はボタボタと汗滴る身体をクールダウンさせるかのように涼しい顔をしていた。マグマのような男。
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ちなみに、この遡行に使った僕のレイヤリングを備忘録的に書いておく。

遡行中

ドライレイヤーウォーム上下(finetrack)
2.5mmネオプレンロングジョン
2.5mmネオプレンロングスリーブ(モンベル)
レインウェア上下(ワークマン)
ネオプレンソックス(モンベル)
サワタビ(モンベル)

ドライレイヤーウォーム上下(finetrack)
ドラウトポリゴン3(finetrack)
トレールアクションタイツ(モンベル)
シュラフ(スリーシーズン)
シュラフカバー

です。

水は冷たかったけど気温も高く、概ねこの装備で良かったと思う。

水冷たぃなぁ、ゴルジュで凍えるかなぁとか考えながら進んでいくと、急に谷の幅が狭くなった。

いよいよザクロ谷の出合である。

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5年越しでやっとここに立つことができた。

「やってやるぜ!」という高ぶる気持ちと「ほんまに遡行できるんか?」という不安な気持ちがない混ぜになったが、「必要な準備はしてきたはず」と自分を奮い立たせる。

ザクロ谷に入るといきなりF2が現れた。

ここは岩瀬た君のリード。

彼とはもう幾度も山行を共にしており、登攀中などは彼が意図していることは話さなくてもだいたい意思疎通できるし何より登攀技術、メンタルコントロール共に素晴らしい男で、彼には全幅の信頼を置いている。

いざ登攀にかかるが何度か水流に弾き返されていて、水温を考えると時間との戦いか。次は僕の番かなと心の準備をしていたが、粘りのアタックでとうとう離陸していった。さすがである。

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苦労した記録が多い荷上げもスムーズにこなし、後におせん君が続く。

おせん君はまだまだ沢の経験は少ないが、このザクロ計画に名乗りをあげ、それからのトレーニングではメキメキと力をつけた。

今回、大きめの滝はセカンドで登ってもらうことが多かったけれど、アッセンダーやアブミの使い方もとても上手になった。

そしてラストに僕が登ろうとした時、滝の上からザックが流れてきてドボンと手前の釜に落ちた。「え?なんで?」。

上では2人が「あぁ?」と悲鳴にも似た溜息をついていた。どうやら岩の上に置いたザックが何かの拍子で落ちてしまったらしい。

マジか…また荷上げやなと思っていると、おせん君が「これ背負って登れますよ」と一言。

むむむ…やってやろうじゃないか。俺を誰だと思ってるんだ。関西「滝の磨き屋OKD」とは俺のことや!

水をたっぷり含んだザックを背負い、ドドドと流れる水流に抗いながら必死に右壁のガバカチを掴み、「沢ヤの意地をみせてやる!」とばかり力一杯に側壁にステミングで立ち上がった。幸いにもフリクションはよく効いた。やれやれである。それにしてもその姿を見て嬉々としているこの2人は鬼か悪魔でしかない。

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続く2段目3段目(F3?)も順調にこなすと、すぐにかの有名なF4が現れた。

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緑一色の側壁の中心を流れ落ちる滝。滝はエロスであるが、これほどのエロスを感じさせる滝は今まで見たことはない。ここは僕がリードさせてもらう。

淵を泳いでいくと滝の手前で足がついた。そこから少し深くなっていよいよ滝に取り付き、なんとかステミングの体勢に持ち込んだ。

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「よし!いただき。」と思ったが、左壁は黒っぽいコケがついててまぁまぁヌメる。エロスにはヌメリが不可欠。いやむしろヌメっているからこそのエロスなのだ。

ジワジワと高さを上げ、右のポケットにスカイフックでアブミをかけて一安心。

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あとは一気に落口に乗っ越そうとしたけれど、ちょっとバランスが悪くて気持ち悪いので、左壁のリスにハーケンを打つことにしたのだが…どうもザクロ谷全般に言えることだが岩が柔らかく、ハーケンもバチ効きの手応えがない。心配なのでもう一枚打ち足し「まぁ落ちることはないだろう」と意を決して乗っ越した。

乗っ越した後で確認したら、先に打ったハーケンは抜けていた。

これで1日目の核心は終わった。と思ったが、そこからも小難しい滝の連続で、高さこそないが滝の下はほぼ釜になって深さがあるし側壁はツルツルですんなりとは越えられないものばかりだった。

ここでおせん君の力がフルに発揮される。

彼はうちの会では1番の大男でパワーも並大抵ではない。まさしく巨神兵である。

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ちょっとした小滝なら持ち前の身長とパワーで先に登ってお助け紐をくれるし、そうでないところはヒューマンリフターと化した彼のショルダーで楽々と越えていくことができた。彼をメンバーに加えてよかったとつくづく思った。この小滝群を僕と岩瀬た君だけで進んでいたら、疲労度は大きく時間もかかっただろう。
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その後も彼の独壇場は続き、いくつかの滝を越えて幕営地である「牛の首」に到着した。

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地形図を見る限りここから下山路の登山道までは50mほどで、来る時の車中では「2日目に使わない荷物はここにデポしよう」と提案していた。
すぐに幕営準備を済ませ、斜面を登って下山路までのルート確認に向かう。

斜面にはロープも架けられていて、登山道までは10分くらいで上がれた。

その後は持ってきていたウィスキーで1日目の無事を乾杯し、1日目の感想や下らない話をしながら各々河原で眠りについた。途中で目が覚めた時に見上げた空は満点の星空だった。

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2日目

朝4時に起きる。

朝食は昨晩と同じくアルファ米に味噌汁の素とウィンナーを放り込んだもの。美味い。

昨日確認した場所に荷物をデポして5時半出発。

すぐに手まり滝に着いた。

よく見ると登れそうな感じはしたが、すぐに着きすぎて身体もほぐれていないし、この先もまだまだあるねって事で定石通り右岸巻き。

まぁまぁの高さまで巻き上がり、早乙女沢出合の手前から歩いて下りられた。

上から確認したら手まり滝上は天然のウォータースライダーだった。

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そこからは緑の回廊が続く。

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しばらく進むとF25に着いた。この滝は右岸壁を登っての巻きで、今日の核心の一つだ。

僕はF4をリードしてなんだか満足気になってたので、誰かリードするかなって思ってたけど誰も言い出さなくて。痺れを切らせた岩瀬た君が「誰かリードしますか?」って聞いてきたので「ま、F4だけってのもなんだかな」と思い僕がリードすることにした。
1ピン目までが遠かったので、この日のためにおせん君にお願いしていた自作のチョンボ棒でクリップする。

初回おせん君のショルダーでクリップしようとしたけれど、足場が安定しなくてうまくいかず失敗。

続く岩瀬た君が水流横の一段上がったところから慎重に伸ばすとクリップに成功した。やったね!

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同じく水流の横からスタートし、ロープを伸ばす。

下からだと寝ているように見えた壁も登ってみるとそれなりに立っててスタンスも細かく、なおかつコケも生えててヌメる。

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「ヤベェなぁ」と思いながらもところどころ乗れるスタンスや残置もあり「足置く順番間違えると詰むな」とか考えながらタワシで磨き倒しつつ案外冷静に登れた。

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そこからトラバースするバンド手前の頑丈な木の根っこでピッチを切る。

おせん君、岩瀬た君の順番に迎え入れ、2ピッチ目は岩瀬た君にそのまま繋いでもらった。

2ピッチ目は若干藪漕ぎっぽいピッチだったけど、きっちり滝の落口に出られた。ナイスルーファイ!

その後、ちょっと広くなった河原で休憩した。

今回の山行は荷物を極力軽くしようということで、行動食も重量の割に高カロリーの物を考えて持参した。

僕は今回のとっておきにマヨネーズを選んだ。

大正解だった。およそ100gあたり660kcal。

カロリーもさることながら味が良かった。

山の食事ではあまり登場しない酸味と、程よい塩味、そしてほんのり卵の風味。

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普段の生活で僕はマヨネーズを使うことは少ないが、今まで口にしたマヨネーズの中で一番美味しいと感じたと言っても過言ではない(物はキューピーのマヨネーズだけれども)。一口で記憶の遠いところからすさまじい勢いでマヨ味が蘇ってきて脳天に電撃が走るほどの美味しさだった。おせん君なんかチャオチュールに魅せられた猫のようにその後休憩の度に「マヨチュッチュいいっすか?」とおねだりしてきた。
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休憩を終えてからの小滝も前日同様、おせん君のリードやショルダーでサクサクと超えていく。

たまに残置を使ったアブミ1段なんかもあったが、この頃になるとおせん君のアブミの技術も全く危なげなく、サクサクとルート工作してくれた。

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今日2つ目の核心F34。

ここは釜が巨大なポットホールになっていて、おまけにスーパーハングっている。

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1ピン目も遠く、ここでもおせん君のチョンボ棒が役に立った。
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リードは岩瀬た君が名乗りを上げる。ゴボウで水中から這い上がり、1ピン目にアブミをクリップ。そこから残置のリングボルトや、リングが切れたボルトの残骸なんかで順調にアブミを架け替えしてロープを伸ばす。見事である。

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彼は以前に撤退した池郷下部の帰りやその後の池郷中部でもアブミの架け替えを練習していた。練習したことをきっちり身につけてすぐさま本番に投入する。

練習してもすぐに忘れてしまう僕とはえらい違いだしほんと尊敬する。

最後は一歩が悪目のトラバースをこなし、無事に落口へ。ナイス!

2番手はおせん君に登ってもらい、最後は僕の番。

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回収は任せとけって感じで、必要なスリングアブミを少し付け足したりしながら、スムーズに回収作業できてF34もクリア。

その後、ニセF37と呼ばれる滝を越え、次のF37も僕がリードした。

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傾斜は緩くそれなりにスタンスもホールドもあったが、この辺りになると水流中でもヌメリが増してきて、なおかつ岩もボロくなってきたのでほとんどプロテクションが取れないままロープを伸ばすことになった。見ている2人には心配かけたかも。

F37を超えると徐々に沢の水も少なく、気づけば空も近い。

最後にF40があるはずで、岩瀬た君が先に確認しに行ってくれたけどホンマにあるんかな?と言った雰囲気。

でも少し進むと再び廊下が狭まって、最後のF40が現れた。

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あれ?思ってたより小さい滝やな。しかもロープかかってるやん。

この滝は過去の記録を見ると、ハンマー投げに苦労しているパーティもあり、ハンマーが届かずに右岸から巻いている記録も散見される。そのせいで僕の頭の中では10mくらいの滝を想像していたのだけれど、遡行図にもちゃんと6mって書いてあった。

その右岸の棚の上に岩瀬た君がいて「ハンマー投げ一発で成功しちゃいました。。へへっ。。」と嬉しくも半ばバツの悪そうな微妙な薄ら笑いでこちらを見ていた。

僕は「やったやん!」と思ったけれど、彼はここのハンマー投げでワチャワチャと盛り上がるつもりだったらしく、持て余した気持ちを払拭するかのように「ムロフシーッ!」と叫びながら釜に飛び込んでこちらに戻ってきた。

最後は今回の遡行で殊勲章ものの活躍を見せたおせん君がリードすることになった。

巨神兵がアブミとアッセンダーで登ると想像より小さかった滝がさらに小さく見えた。

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下が深い釜なので、ハンマーが外れて落ちたらそれはそれで絵的に面白いなとか内心思っていたのだけれど、岩に挟まったハンマーはバチ効きで、おせん君は城塞を越える巨神兵のようにズンズンと登って行った。僕と岩瀬た君もサクッと続いて難所はこれで終わり。

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F40を超えるとすぐに二股となった。

本流は左だけれど、辺りは源頭の雰囲気でそのうち水もなくなるだろうと水筒に水を汲んでから下山が短縮される右を選択。

途中で岩瀬た君がブルーベリーの実を見つけてくれて、食べてみたら甘酸っぱくて美味しかった。

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彼は以前に北アルプスの山小屋で働いていて、その時にブルーベリー摘みをしたことがあったのですぐにわかったらしい。

山中でブルーベリーを見つけて食べさせてくれるなんて、僕が乙女だったらキュンやな。

そんなことを考えながら歩いていると程なくして登山道の木道に合流し、大きな充実感の中に若干の名残惜しさを滲ませて僕らのザクロ谷は幕を閉じた。

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下山は約2時間半と思ってたよりも早く、ヘッデンになる前に桂台の駐車場に着いた。

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帰りに見た取水管の階段はなかなかの斜度で延々と先に続いていた。往路の登りが暗い時分で全貌が分からないうちに登れてよかったとつくづく思った。

あとがき

「俺たちのザクロ」計画が持ち上がり、それからのトレーニングでは毎週末のように沢の予定が入った。

途中少し食傷気味になったりもしたけれど、その度に岩瀬た君が課題を見つけてきてくれては議論するということを繰り返しながらモチベーションを保ち続け、準備できたことでこの遡行が成功したと言っても過言ではない。毎度のことながら彼には感謝している。

おせん君は途中から計画に参加することになった。色々考えた末、3人で遡行する方が尚よしということになり募集をかけたところ参加を表明してくれた。

彼は僕らに比べると経験も浅かったが、参加を表明してからは田岡谷、中御所本谷、イブキ嵓谷、池郷川中部という険谷の遡行を経験し、その度にメキメキと力をつけた。

まだまだ荒削りで心配な部分もあるけれど、今回の遡行では想像以上の大活躍で、今回の遡行がこんなにもスムーズに予定時間よりもはるかに短時間で終えられたのは彼のおかげである。ありがとう。

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5年越しの憧れだったザクロ谷は想像を遥かに超える素晴らしさで、僕らを迎え入れてくれた。

厳しくも美しく、清冽な流れの中で過ごした2日間は一言では言い表せない。

今回は天気、気温、水温、水量の全てに神様が味方してくれた。

先人達の残した記録、残置ボルトにも大いに助けられた。

そして何より仲間に恵まれた。

全てのものに感謝しかない!

ほんとうにありがとう!