中央アルプス 三ノ沢岳 滑川 奥三ノ沢左俣 アルパインアイスクライミング
- 山行日
- -
- 山域、ルート
- 中央アルプス 三ノ沢岳 滑川 奥三ノ沢左俣
- 活動内容
- アルパインアイスクライミング
- メンバー
- 岩瀬た
こんにちは、岩瀬た です。
年末山行に奥三ノ沢に行ってきました。
久しぶりの単独行。
2019年に黄蓮谷に行って以来、次に1人で行くのはオクサンだなと思っていて、3年越しに実行に移すことができました。
とはいえ、仕事の忙しさにかまけて体力トレーニングなどできていないまま入山してしまい、なかなかツラい山行となりました。
以下、山行記録です。
中央アルプス 三ノ沢岳 滑川 奥三ノ沢左俣 アルパインアイスクライミングの山行記録
装備
- 8.2mm 50mロープx1
- アイススクリューx11
- テント
- 寝袋
- 棒ラーメンx1袋、ウィンナーx6、予備食アルファ米x1袋、ミックスナッツ300g、チョコバーx2
- 他
行程概要
12/29
7:30 JR上松駅 到着 タクシー乗車
8:00上松A登山口 準備
8:30 出発
16:30 奥三ノ沢出合 泊
12/30
4:30 起床
7:00 出発
7:15 F1登攀開始
10:00 F1終了
10:15 F2登攀開始
12:00 F2終了
13:00 雄滝
15:30 ゴルジュ出口滝
16:30 高巻き開始
19:30 右岸尾根上 泊
12/31
4:30 起床
6:00 出発
12:00 稜線
16:00 稜線分岐
16:30 千畳敷駅
行程詳細
12/28
仕事を納め、挨拶などしながら定時ダッシュで家に帰り上松行きの電車に飛び乗る。新大阪から新幹線に乗って名古屋で下車するはずが、つい寝過ごしてしまい新横浜まで来てしまった。やっちまった!今日中に上松に着くのが無理になった。
車掌さんに相談すると、上松までは日を跨いでも追加料金無しでいけるとのこと。
名古屋まで戻り、中津川までは行けそうだったのでとりあえず中津川まで行き、いったん改札を出て、野宿。
12/29
中津川駅からまた電車に乗り、7:30ごろに上松駅に着いたら、ちょうどタクシーが来てくれた。おんたけタクシーは電話口では早朝対応してくれなくて8:30予定のはずだったけど、、、年末に朝早くからありがとうございます。
予定より少し早く登山口に着き、東屋で準備して出発。今日は奥三ノ沢F2の上まで行く予定だ。
滑川は砂防堰堤工事が進んでいて、結構奥まで林道が続いている。
最後の堰堤を過ぎたところから入渓となる。
ガイドブックでは奥三ノ沢出合まで4時間と書いてあったが、記録などを見ていると6時間くらいはかかりそう。
雪のついたゴーロ帯を、飛び石渡渉を何回も挟みながら進む。
できるだけ渡渉せずに行ってやろうと思っていたが、どうしても渡渉せざるをえないことが何回も続いて、そのうち「これ4時間は無理やで。っていうか6時間でも厳しいんちゃうか。となると、F2の上まで行くのも結構厳しいかも。。。」となってきた。
河原歩きはルートファインディングに気を使うし、飛び石渡渉もいちいち緊張する。まぁまぁの水量なので落ちたら笑えない。
それに加えて久々にテン泊装備とクライミングギア一式を背負ったので結構ツラい。トレーニング不足を痛感する。
4時間経った頃から、だんだん帰りたくなってくる。トレーニング不足は気持ちをも弱くするのだ。
河原歩きにもほとほと疲れ、「この計画は失敗や。出直した方が良いな。情けないけど引き返そうかな。」と思いながら進むと、ちらりと青白い光が見えた。
もう少し進んで滝の全貌を見ると、明らかにF1だ。
GPSで確認すると、ここが奥三ノ沢出合だった。
帰るつもりになってたのに、着いてしまったではないか。嬉しいやら悲しいやら。
これから滝を登っても途中で日が暮れてしまうので出合にて泊とする。
明日の自分に期待だ。
12/30
予定通り4:30に起きるが、若干ビビってたからか準備にいちいち時間をかけてしまい出足が遅れた。
7時出発となる。
早速F1の登攀開始。
滝の中央が傾斜が緩いので、そこを2ピッチで登ることにする。
結氷はまずまず。あまり不安なこともなくスムーズに登ってテラス状部分でピッチを切る。
いったん懸垂下降で降りると、急にお腹が、、、
急いでハーネスを外し、漏れる寸前で用を足せた。危なかった。
気を取り直して荷物を背負って登り返し。
2ピッチ目も順調に進んで灌木を終了点にする。
懸垂下降して、また荷物を背負って登り返し。
F1が終わるとすぐにF2だ。
中段までフリーで行って、そこからロープを出して1ピッチで抜けることにする。
これも中央のラインで行く。
F2が終わると小滝を交えながらのラッセル。
小滝は結氷が甘いことが多く、ドボンしないように気をつけて進む。
そうこうしているうちに二俣。
左が雄滝、右が雌滝。進むのは左だ。
雄滝、ロープ出しても良い高さだが、滝の左側の側壁とのコンタクトラインの傾斜がゆるいのでフリーで取り付くことにする。
時間も気になるところだ。できれば日があるうちに稜線まで出たい。稜線まで出れば、ヘッデンでも千畳敷駅まで行けるだろう。
雄滝を抜けて、ゴルジュ帯を延々と膝高のラッセル。出くわす小滝は相変わらず氷の下で水が轟々と流れる音が聞こえる。アックスを突き立てると水がピューと出てくることも何度か。やれやれだ。
そろそろゴルジュ帯が終わるというところで、両岸が狭まった小滝。
少し高さがあるが、これもそのまま越えようと思って滝にアックスを突き刺すと、あっさりと氷が崩れてポッカリと大きな穴が空いてしまった。
危ない危ないと思いながら、次は慎重に取り付くが、どんどん氷が崩れて、取り付けなくなってしまった。まじかー。
若干傾斜が緩い側壁の弱点っぽいところから越えようと草付きにアックスを叩き込みながら登るも、中段から上が思いの外難しく、落ちたら笑えない感じになってきて突っ込むこともできず慎重にクライムダウンして元の位置に戻る。
時間はもう16時だ。この滝を越えれないと進むことができない。
ここで引き返すのも正直かなりしんどい。各滝、立木で懸垂下降できれば良いが、そんなに都合良く立木は無かった気がする。貧弱な氷ではアバラコフ懸垂もできればしたく無い。それに出合に着いてもあの河原歩きは修行僧ですらきっと嫌がる苦行だ。
などと進退どうするか考えているうちに16:30になってしまった。おいおい、予定では今日の14:30には千畳敷駅でコーヒー飲みながら一服してるはずやぞ。全然じゃないか。
携帯の電波が入ったので遅くなりそうな旨下山連絡担当してもらっていたOKDさんと家族に連絡する。
もう疲れたし日も暮れるからとりあえずここで泊にするかと思って整地にとりかかるが、足元の雪の下を水が流れてると思うと落ち着くこともできない。
しばし地形図を見て、右岸の尾根に上がり切ったところに平坦地があるのでとりあえずそこまで行くことにする。
尾根に上がったら沢復帰はもう厳しい感じ。残念だが奥三ノ沢の遡行はここで終わり。
とはいえ、遡行の美味しいところは堪能できたのであまり未練も無い。あとは尾根通しに稜線まで出るとしよう。
うまくいけば日をまたぐまでに千畳敷駅までいけるかも。
そこからの高巻きがめちゃくちゃにしんどかった。延々と藪漕ぎの頭高ラッセルだ。
高巻き開始1時間で、今日中に千畳敷駅まで行くことは諦める。えらいこっちゃやで。この山行終わるんかいな。
少し大袈裟に言うと、しんどくてぶっ倒れそうになりながら(ぶっ倒れたら下まで落ちるので倒れることもできないが)ラッセルを続け、19:30ようやく平坦地に達して泊。
計画を立て直し、OKDさんに連絡。稜線直下、今いる尾根上部のルートファインディングに気をつけてと返信をもらい、予備食に持ってきていたアルファ米を食べて寝る。
12/31
4:30起床。6時出発。
昨日に引き続き延々ラッセル。
4時間くらいでようやく木が低くなってきて、空が広くなってくる。
それと同時に岩塊が見えてくる。
できるだけ岩塊を避けながら進みたいところではあるが、ラッセルに辟易していたので直登できるところはアックスを岩角に引っ掛けたり草付に刺したりダケカンバやハイマツの枝を掴みながら登る。
12時、ようやく稜線に出た。天気も良い。嬉しい。もしかしたら千畳敷ロープウェイの終電間に合うかも。
しばし休憩して、宝剣岳に続く稜線を目指す。
嬉しい気分になったのも束の間、稜線も結構踏み抜き多く、元々無い体力がどんどん削られていく。想像してた半分以下のペースでしか進めない。
最低コルのあたりからトレースがついていて、まさか四ノ沢から上がってきた人いるのかな?と思ったが、どうやらそうではなく、宝剣岳方面から三ノ沢岳に行こうとしたけど時間切れか何かで引き返した人の踏み跡だった。
昼過ぎからガスも出てきたので、これは助かる!とトレースを必死に追って、最後の方は腹筋か背筋かわからないけど、体幹がどうにかなってるんじゃ無いかと思うような痛みを感じつつ、10歩進んでは膝をついたり座り込んだりするようなペースになりながら、16:30、ようやく千畳敷駅に着きました。
もうロープウェイの終電は終わっていたので、千畳敷ホテルに素泊まりでチェックインして、山行終了。
あったかい風呂に入り、暑いくらいの部屋で紅白歌合戦とゆく年くる年を見ながら眠りに着きました。
1/1
初日の出を見て、8:55のロープウェイに乗車。
下山完了。
以上、山行報告です。
1泊2日の計画が、ホテル泊も含めて3泊4日になってしまって結構反省です。これは完璧に事前準備が不足していました。
天気が良かったのは良いことでした。稜線上が悪天だったら疲れていたので結構テンパってたと思います。余力を残して登山しないとなと思う山行でした。
とはいえ、どうにかやり切ることができて良かったです。
いろんな要素のある、2022年の良い締めになる山行でした!
以下、各滝の登攀ライン