宝剣岳 サギダル尾根 冬期アルパインクライミング 千畳敷カール バックカントリー山スキー
- 山行日
- 山域、ルート
- 宝剣岳 サギダル尾根 千畳敷カール
- 活動内容
- 冬期アルパインクライミング バックカントリー 山スキー
- メンバー
- 藤本、長谷川、三浦 (記録)
宝剣岳
宝剣岳は中央アルプス (木曽山脈) 主稜線上にある2931mの山である。冬でも雪を寄せ付けずに聳立する鋭い岩峰は千畳敷を代表する峰である。北側には木曽駒ヶ岳があり、宝剣岳の北側で東に分岐した稜線は伊那前岳に繋がる。この伊那前岳の稜線と主稜線が千畳敷カールを形成している。南側で分岐した主稜線は三沢岳へと繋がっている。
千畳敷カールとバックカントリースキー
駒ヶ岳ロープウェイによるアクセスの良さもあり、宝剣岳と伊那前岳を含む千畳敷カールは山スキーが盛んである。少し足を伸ばせば木曽駒ヶ岳1や三沢岳もあり、多彩なルートを描くことができる。いくつかのバックカントリールートは駒ヶ岳ロープウェイのウェブサイトで紹介されている。
サギダル尾根
サギダル尾根は信州駒ヶ岳神社を末端とし、宝剣岳の南側の主稜線に繋がる尾根である。冬季アルパインクライミングのルートとして人気があり、短めのルートで難易度も高くなく初心者向けバリエーションとしてガイドブックなどで紹介されている。登攀に時間がかかりすぎて21時間行動になってしまった昨年の奥穂南稜2の反省を踏まえて短めのクライミングルートということでサギダル尾根のクライム&ライドを計画した。
1月にサギダル尾根を登攀し千畳敷カールをスキー滑降するクライム&ライド計画がもちあがり、メンバーの都合を合わせて山行予定を2月とした。しかし、山行予定日の前日に大量の降雪が予想されたため、雪崩のリスクを考え延期とし、3月に再計画となった。
山行直前、駒ヶ岳ロープウェイのウェブサイトに、千畳敷カールの滑走は控えてください、との記載を見つけた。事前に問い合わせたところ、スキー滑降について制限はしておらず雪崩に気をつけて、とのことだった。駒ヶ岳ロープウェイが千畳敷カールをスキー場として管理する4月より前は、管理できないため口も出さないというスタンスらしい。千畳敷カールには1週間程度降雪がなく、雪崩のリスクは低いと判断し山行を決行した。
宝剣岳 サギダル尾根 冬期アルパインクライミング 千畳敷カール バックカントリー山スキーの山行記録
菅の台バスセンター駐車場からバスとロープウェイを乗り継いで、しらび平経由で千畳敷駅に行ける。混雑時は臨時バスが出るようでバスは3便目だった。次からはルートの渋滞を避けるため、早起きして並んで始発に乗った方が良さそうだ。
サギダル尾根の登攀は、千畳敷駅から信州駒ヶ岳神社の祠まで行きそこから左側に歩き始める。シールは使用せず最初からアイゼン登行した。最初の岩稜帯は左の雪原を登れば簡単にまける。まいた先に見える岩稜帯の末端がサギダル尾根の取り付きである。ハイマツを開始点とした。先行にいた3パーティの順番待ちは2時間近くかかった。朝は晴れていたが、順番待ちの間に少しずつ雲が出始めた。
1P 藤本
ハイマツのある尾根の先にある岩稜帯に向けて登った。岩稜帯に乗り上げるのが核心か。アイゼンやアックスをかける場所が少なくていやらしい。なんとか登りきり、その先のスラブ状の岩の上部にあったワイヤーでピッチを切った。
2P 長谷川
スラブ状の岩を馬乗りで乗っ越すと2mほどのナイフリッジの雪稜になる。ナイフリッジの先は、最初藪がうるさいがすぐに快適な雪壁になる。そのまま雪壁を登り高度を上げて行くとサギダル尾根の頭に到達した。終了点はハイマツでとった。
サギダル尾根の頭につくとすっかり天候は悪化し、雪がパラついてきた。最短で降りられる滑降ルートであるサギダル尾根の北側のルンゼを選択した。サギダル尾根の頭から右側の稜線を進み、最初に右手に見えるルンゼである。ドロップポイントは比較的広く滑走準備には支障ない。到着して思い出したが、このルンゼは2013年の木曽駒ヶ岳北面1の翌日に滑降したことがあった。
滑降準備を整えてルンゼにドロップする。雪はパックパウダーで安心しておりられた。最初の狭く急なところを抜けると千畳敷カールのボトムまでの滑降ラインが見通せるようになる。快適に飛ばしてあっという間に千畳敷駅に到着した。
無事山行を終えた達成感と安堵感で満たされつつ記念写真を撮影して、ロープウェイとバスで下山した。サギダル尾根も千畳敷の滑降もお手軽で短めのルートだが、満足できる山行だった。