槍 穂高滝谷 山スキー
- 山行日
- -
- 山域、ルート
- 槍 穂高滝谷
- 活動内容
- 山スキー
- メンバー
- 藤本 (L) (記)、三浦
槍,穂高滝谷へ山スキーに行ってきた
この計画を持ちかけてきたのは昨年からご一緒
させて頂いてる山岳会の三浦先輩
この人とは昨年のGW、奥穂高岳南稜にて壮絶な
山行をしたので危険な予感しかしない...
この時に果たせなかった1年越しの宿題
以前から滝谷で滑れそうなラインを温めていたそう
3日間行程の最終日に滝谷を滑る計画
「滝谷を滑る!?」クライミングの聖地でしょ?
やはりこの人はおかしい...
滝谷D沢
涸沢槍コル (標高 2,940m) からエントリー
標高差 約700mを滑降
模型で解説
紫ライン:登り
青ライン:滑降
滝谷A~F沢の出合 (標高 2,250m) から
F沢 を 蒲田富士コル (標高 2,750m) へ登り返し
荷継沢 を滑降して 白出沢 へ
以下、山行記録です
槍 穂高滝谷 山スキーの山行記録
装備 (主な物)
ザック (60L)
ウィペット
アイゼン
ハーネス
PAS
ビレイ器
ダブルロープ 8.5mm × 50m
ハンマー (アックスとしても使用)
ハーケン (懸垂用)
スリング (60cm、120cm、240cm)
捨縄
アプローチシューズ
※ 重量 スキー板、ブーツ等を含み 約18kg
行動詳細
5月2日
5:00 新穂高温泉 (1,090m) 入山
右俣林道を飛騨沢経由で槍ヶ岳へ
いつもならワンデイで山スキーに来ている事を
考えれば気楽だ
穂高平小屋
予想通り積雪なし
白出沢出合
この手前から雪が出てきてシール登行する予定が
積雪なし
最終日にこの沢を降りて来るので
アプローチシューズをデポしたかった
やはり今年はかなり雪が少ない
チビ沢
この辺りから雪が現れた
アプローチ用のチェーンアイゼンは軽量化の為に
持って来てないので慎重に渡る
滝谷出合
ガスが一瞬切れ現れたラスボス「滝谷ドーム」
やはり威圧感が凄まじい
その懐に入ると思うとゾクっとする
まだあと2日後と心配を先延ばしに
滝谷雄滝
数年前に滝谷出合から雄滝を突破してナメリ滝、
C沢、第4尾根を通り北穂高岳を目指した
1:30 新穂高温泉 入山
雄滝でルーファイミスをして壮絶な格闘
落口に辿り着いたのが夕方、その先でビバークを
するのは危険と判断をして懸垂で同下降
滝谷出合に戻れたのが 21:30
今秋にはリベンジする予定
10:00 槍平小屋
ここで漸くシールを張る
振返れば、
西穂、奥穂、そして滝谷
滝谷D沢 (中央の白いライン) が初めて見えた
恐怖でしかない...
飛騨沢最終コーナーを曲がれば飛騨乗越が見えてくるが
ここからが拷問の様に長い
14:00 槍ヶ岳山荘 (3,070m)累積標高 2,000m以上
行動時間 9時間
とりあえず初日は、やりました
ここに泊まるのは20年ぶり?
快適 ^^
5月3日
穏やかな朝
先輩は高山病で起きてこれない
まさかの敗退の心配...
頑張って!
頂きます
こんなに楽をして良いのか
今日の行程は短いので雪の緩み待ちをして
昼前にスタート予定
ちょっと槍の穂先へ散歩
以前にクライミングで登った小槍~大槍を
見て懐かしく思う
翌週に行く黒部五郎岳~北ノ俣岳
まだまだ雪が残ってそうで安心
振返れば穂高の稜線と滝谷
滝谷D沢 が微かに見える
写真を拡大しても滑走ラインが雪で繋がってるか
判断できない
11:00 滑降開始
初めての槍沢
小屋直下は傾斜がきついが少し落とせば快適
雪も緩んで最高!!
一気に 天狗池 (2,520m) まで
横尾尾根コル まで登り返し
道中、見上げれば大喰岳や中岳からの斜面
どこも楽しそうなライン
穂高は遊びが尽きないね
横尾尾根コル
右から北穂東稜、前穂北尾根、屏風岩
どれもクライミングで登った山を見ながらこの
横尾本谷 を落とすのは贅沢すぎる
たまらん!
涸沢本谷出合 まで雪が繋がっているのか?
最後は厳しいトラバースや懸垂になるのか?
とりあえず行こう
下部はこの通り
雪は?がっていた
スノーブリッジや石を避ける
これぞアドベンチャー
涸沢本谷出合登山者を横目に沢床を行く
このまま行くと登山道と合流する
14:30 涸沢ヒュッテ (2,309m)最短ルートの夏道で 8時間 かかるところを
たったの 3時間半 で着いた
山スキー の機動力は凄い
疲れてはないがお約束の名物おでんとビール
日が暮れてきた
いよいよ明日はあの稜線の向こう側へ行く...
豪勢だ
最後の晩餐にならない様に
先輩が地形図を見て最終確認
不安が拭えない
5月4日
文句なしの快晴
涸沢槍コルからの滑走開始をだきるだけ雪が
緩んだ時間にしたい
12:00 ドロップに設定
新穂高温泉 下山 21:00 予定
7:00 登行開始
前穂北尾根
北穂
涸沢槍 (写真右上) の左コルがドロップポイント
黙々と高度を上げて行く
穂高岳山荘 登攀具を装着して最終確認
滝谷D沢
標高差 700m を滑降
ルンゼ途中の喉は雪が繋がっているか不明
その場合にはハーケンかピナクルに支点を取り
懸垂で降りるが、果たしてその状況でモード
チェンジ (急峻な斜面でザックを下ろしスキー板を
担ぎアイゼンを装着) できるか?
先行者がフォローに状況を伝え支点を取り上から
ロープを垂らす
さもなければ詰んでしまう
涸沢岳 (3,103m)登山者の多くはここで引き返す
だが我々は先へと進む...
いよいよだ
涸沢槍コルへの登山道
無雪期でも難所
スキー板を歩荷してスキーブーツで降りるのは
更に怖い
FIXチェーンがあり一安心
PAS 2本を使い常時フリーにならない様に下降
コルが見えた
雪は繋がってそう
涸沢槍コル側壁からは頻繁に落石が崩れ落ちてくる
地響きの様な嫌な音だ
本当に滝谷に入るのか
ガレ場を数mクライムダウンして板を装着
エントリーポイントは50度近く
ルンゼはほぼ同じ斜度で遥か下まで続いている
ここに来た事を無性に後悔した...緊張すると余計に危険
呼吸する事、
耐える事、
そして信じる事
12:00
いざドロップ!
とは言えただの横滑り
静止できないくらいに切り立っている
ターンでこけると間違いなく加速して数百m
谷底に滑落する
恐ろしい
幸いに雪は適度に緩んでいる
数m先でリグループ
まだターンを入れられず、同じ向き
更に高度を下げるがまだ、同じ向き
このままの向きで 700m 降りる事になるのか!?
ルンゼを見上げる先輩
遥か上部で私が悶えている
100m 程高度を下げるとルンゼが広がった
ここで意を決して最初のターン!
超絶に怖いが「滝谷」に少し馴染めてきた
途中の喉 (幅5m) は辛うじて雪で繋がっていたので
ロープを出さずに通過
スイカ程の落石が加速しながらビュンと通り過ぎて
行く、当たれば一溜りもない
落石のルートが想定できる様になってくるが、
後ろを警戒しながらの滑走
ここは「飛ぶ鳥も通わぬ滝谷」
D沢 (写真右側) 滑走してきたルンゼ
C沢 (写真左側)
今年リベンジ予定の第4尾根へと繋がる
14:00 滝谷A~F沢の出合 (標高 2,250m)
降りてきた!
生きてる!
雄叫びをあげ続けた
F沢 を 蒲田富士コル (標高 2,750m) へ登り返し
荷継沢 を滑降して 白出沢 へ行く計画だが
荷継沢 も雪が?がっているか分からない上に、
数年前に大崩落している
ナメリ滝 を下降してその先の 滝谷雄滝 を懸垂で
降り 滝谷出合 に行く選択も
それならば上り返しがいらない
しかし落口まで行けたとしてもその先で詰まれば
同ルートを引き返さなければならない
その場合には間違いなく壮絶なヘッデン滑降で
翌朝下山
飛んでくる落石を避けながらの長い登り返し
14:00 蒲田富士コル (標高 2,750m)
登ってきた F沢 見返す
滝谷 さようなら
もう二度とスキーでは来ない
振返れば 荷継沢
何となく雪は繋がってそう
ゴーロとハイマツ帯を乗り越え雪を目指す
滝谷と比べ安心感は桁違い
楽しい
白出大滝 上部で 白出沢 と合流
ここでスキー板を歩荷してヘッデン装着
滝を巻き下部からはデブリ地獄を永遠に
ナイター滑走
白出沢出合 手前 (夏道1時間) の所が滑走限界
夏道に乗り上げようとするが見つからない
最後にきての藪漕ぎは辛い
23:00 新穂高温泉
16時間行動
先輩と悶絶のグータッチ!
あれ?デジャブ(笑)
参考記録
筆者が書いた関連記録
- 2022年12月28-30日
甲斐駒ヶ岳 黄蓮谷右俣 アルパインアイス - 2022年5月17-18日
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奥穂高岳 南稜
北穂高岳 東稜
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黒部川源流域 山スキー 釣行 - 2022年4月2日
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大山北壁 天狗沢 アルパインアイス - 2022年2月1日
錫杖岳前衛壁 3ルンゼ アルパインアイス - 2022年1月19日
御在所岳 1ルンゼ中又 アルパインアイス - 2021年9月13-15日
穂高岳 屏風岩 雲稜ルート
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アルパインクライミング - 2021年7月20-22日
穂高岳 滝谷 アルパインクライミング - 2020年9月29-30日
槍ヶ岳 アルパインクライミング