槍沢ババ平対岸 中央大滝 左俣大滝 沢登り
- 山行日
- -
- 山域、ルート
- 槍沢ババ平対岸 中央大滝 左俣大滝
- 活動内容
- 沢登り 遡行
- メンバー
- OKD、岩瀬た
某大阪履物系山岳会の書込みで見かけた槍沢ババ平の対岸に掛かる大滝。聞けば沢ヤのバイブル成瀬陽一さん著の「俺は沢ヤだ」に載っているらしい。それならば僕らも登ってみようということで、夏休みを利用して岩瀬た君と登ってきました。
槍沢ババ平対岸 中央大滝 左俣大滝 沢登りの山行記録
8月15日
前夜21時。台風の影響で天気予報がコロコロと変わる状況だが、とりあえず行ってみよかと大阪を出発、あかんだな駐車場に2時過ぎに到着した。
しばらく仮眠して上高地行きの始発バスに乗り、いざババ平に向けて上高地を出発。
ババ平までは平地だし、どうせ雨が降って濡れるだろうとの理由で岩瀬た君はサンダルに海パン、背中には巨大なザックというスタイルで出発したが、わずか明神館のあたりで足裏に水脹れができて悶絶していた。
ダラダラと長い道のりに飽きてきた頃、ようやく槍沢ロッヂに到着。ここでノマちゃんと再会。元気そうでなにより。
ロッヂではシェルパカレーとおつかレモネードをご馳走になり、これまでの疲れも吹っ飛びました。
12時30分頃、ババ平キャンプ場に到着。心配していた雨に当てられることもなくテント設営し、明日の登攀のために取り付きの偵察に出かける。
目的の滝は登山道からも明白で、アプローチは30分と掛からなかった。
今日の晩ご飯は、具材を家に忘れた「具なし豚汁」とアルファ米のおこわ(泣)早々に夕食を済ませ、ウトウトし始めた頃に大粒の雨が降ってきた。明日はどうなることやらと思いながら眠りについた。
8月16日「中央大滝」
6時にテント場を出発。天気は薄曇り。今日は三叉に掛かる大滝のうちの中央大滝を登る。3本のなかでは最も傾斜も強く難易度も高そう。
ゆるいスラブを登り、右岸側のテラスでクライミングシューズに履き替えて準備開始。
1ピッチ目(OKD)
階段状を登った後、フェイスを右上する。
フェイスは多少ボロくもあったが、探せばホールドもスタンスも豊富だ。ほぼ成瀬さんの「俺は沢ヤだ」のトポ通り。
フェイスを登りきった左上の立木でピッチを切る。
2ピッチ目(岩瀬た)核心
トポではブッシュを頼りに右上するとあるが…確かにブッシュはあるがどれも心許ない。
わずかに足を乗せられる外傾したスタンスを繋ぎ「楽じゃない凹角」へ至るが、ブッシュのセクションが悪すぎて凹角は「楽じゃないか!」と思えた。ナイスリード!
3ピッチ目(OKD)
ブッシュと岩とのコンタクトラインを登る。
プロテクションは灌木で自由に取れる感じ。
特に困難箇所は無かった。
4ピッチ目(岩瀬た)
トポでは「右のブッシュに回り込む」とあるが、ちょっと煩さそうなのでそのままコンタクトラインを進むことに。
最後は水流と戯れて落口にドンピシャの爽快なフィナーレだった。
下山
事前情報ではトポとは違う右俣大滝の左岸尾根を降りた方がいいのでは?と教えていただいたけれど、しばらく行ったり来たりして、結局右俣大滝を灌木を頼りに懸垂3回で基部に降り立つ。
14時30分テント場へ帰還。
岩瀬た君が担ぎ上げてくれたワインとサラミで祝杯!
早々に酔っ払って明日に備えて就寝 z z Z
8月17日「左俣大滝」
前日と同じく6時過ぎにテント場を出発する。天気は快晴。左俣大滝は中央大滝に比べると傾斜は緩いが大スラブと水流交えたフェイスで開放的な雰囲気だ。こちらもアプローチは容易。
1ピッチ目(OKD)
眼前に広がる大スラブを登る。
ロープは必要なさげに見えたので、安易にサワタビのままフリーソロで取り付くが、ワンポイント微妙な感じで躊躇する。途中でクライミングシューズに履き替え、ロープを下ろしてビレイしてもらうことに。
ハーケン1枚叩き込んで、左岸側ハング下までロープを伸ばした。
2ピッチ目(岩瀬た)
ハング滝の乗っ越し。
どこから越えようか少し迷ったが、滝身に1番近いブッシュをめがけてカムアブミ2つですんなりと越える。さすが。
回収はお任せあれと、2つ目のアブミを回収してハーネスのギアラックに掛けようとしたその瞬間、痛恨のミス??手から滑り落ち、カムごとアブミを落下させてしまった。。。
とりあえず岩瀬た君が待つビレイポイントまで登り、その旨伝えて帰りに拾おうかと提案するが「今から懸垂で取りに行きましょ」と即却下された。
内心「岩瀬た君が取りに行ってくれないかなぁ」と淡い期待を抱いたが、その期待も「ささ、どうぞ」という乾いた返事に即座に打ち砕かれた。
そらそうよね。落としたんは僕だし責任払いよね。。。
回収しながら、手順が少し雑になっていたなと反省。そそくさと回収し、ちょっとバテたので休憩する。
3ピッチ目&4ピッチ目(トポ上の3~5ピッチ?)
見ると階段状だったので、ロープをたたんで滝の右側を各々フリーで登る。
5ピッチ目(OKD)核心
水流右側からスタートし、すぐに滝身を横切り右岸側へ、そのままシャワーを浴びながら落口まで。
プロテクションは随所にカム、ハーケンが効くが、水が冷たすぎる。まるで氷水のようで時間をかけると手の感覚が無くなってくるので要注意。
存分に水を浴びて落口に到達。気持ちぇぇ~!!
岩瀬君も水を浴び浴び気持ちよさそうに登ってきた。
6ピッチ目
ロープをたたんでナメ状を登り源頭へ。
源頭は岩の隙間から冷水が噴出する不思議な光景で、「北アルプスの天然水や~」と顔ごと突っ込んでみたが、5秒と我慢できないくらいのキンキンの冷水だった。
下山
これまた事前情報では明瞭で歩いて降りられると聞いていた。確かに「ここを降りるしかないな」というルートで最後のスラブ部分以外はロープを出すことはなかったが、猛烈な薮をモンキーで下るという、決して「歩き」ではない下降路だった。
沢ヤのいう「歩き」は通常人が考えるような「歩き」ではないことをここに宣言しておきます。14時テント場へ帰還。
撤収~槍沢ロッヂ
テント場に着くと雨がパラつきだし、次第に大粒の雨に。雨の隙を縫ってビチャビチャに濡れたテントを撤収し、早々に槍沢ロッヂに駆け込む。
最終日のお宿は槍沢ロッヂでご褒美宿泊だ。
お風呂の時間にも間に合った。
3日間の汗を流し、スッキリしたところで生ビールで乾杯!沁みる?。
山小屋ではノマちゃんの計らいで、とても快適に過ごさせてもらえた。山小屋宿泊クセになりそう。
晩御飯を食べ、ノマちゃんを交えて近況報告などひとしきり笑い話をした後、明日の下山に備えてフカフカのお布団で眠りについた。
8月18日「槍沢ロッヂ~上高地」
朝4時半、フカフカのお布団に後ろ髪を引かれながら起床。天気は快晴。簡単な朝食を済ませて再度ザックの中身を整理し、6時にロッヂを出発。
ノマちゃんも休暇を利用して下山するということで、一緒に下山することに。
食料は全て消費し、荷物は少なくなったはずなのに、水を含んだロープやらテントやらで重量は増したか??ギシギシと肩に食い込むザックに悶絶しながら上高地に到着して11時のバスに乗り込んだ。
高山で恒例のキュルノンチュエに寄ってお土産も購入し、帰路についた。
あとがき
北アルプスの大滝を2本登れて、とても充実した夏休みを過ごすことができた。
右俣滝も激シャワーで面白そうなので、機会があれば登ってみたい。
ロケーションも素晴らしく、内容も充実しているので皆さん是非登ってみてください。
今回の登攀に向けてアドバイスいただいた某大阪履物系山岳会のSさん、宿泊諸々でとてもよくしてくれたノマちゃん、いつも快くザイルを繋いでくれる岩瀬た君、ありがとうございました!