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笠ヶ岳四の沢右又笠ヶ岳直登沢         1996.6.7 三瓶 修

 大阪駅で既に雨が降っている。
週の半ばには珍しく晴れた日が二日ほど続いたのだがこの週末はあいにく天気はもちそうにない。入山延期しようかともおもったのだが、北に中心をもつ高気圧が意外に頑張りを見せているのであした1日にかけて北国に乗る。このところの北国はなぜかいつも込み合っていて落ち着いて眠れない。

6.8 晴れ-曇り
 新穂高温泉を9時前に歩き始める。空は時折晴れ間が見える程度だがまだ視界はある。蒲田川左俣は砂防工事が進められておりかなり上のほうまでクレーン車が上がっている。林道を詰めて工事のための搬入路から穴毛谷に向かう。ちょうど、2の沢の出合いまで続いている。作りかけの堰堤を越えたところから、雪渓が始まる。見上げる2の沢奥壁は白い雪のうえにそびえ立っており、迫力がある。またそのうち練習してのぼりに来たいものだ。

 雪の状態は目論みどおり安定しているが、上部抜け口の様子が分からないので何とも言えない。そのまま沢を詰めて4の沢出合いにたどり着いたころからガスが降りて来た。見上げる4の沢は文献の記載通り、左股より右股のほうが岩がもろい様子で雪のうえに落ちている落石の量が歴然と違う。右股の上部には黒々とした落石の後が見える。二股の背後には正面壁と正面ルンゼが見えている。あいにくと抜け口の辺りは降りて来たガスに阻まれて見通す事ができない。

 確実に天気が悪くなって来ているので今日中にピークまで抜けるつもりで急いでのぼり始める。二股辺りまでは何とか視界があったが、だんだん見えなくなってくる。徐々に傾斜がきつくなるにつれて、デブリの跡が生々しくなり始めて、落石の量も増えてくる。側壁から落ちている小さなルンゼの出合いが大きなクレバスになっている。視界さえあればなんでもない雪だが見えないと怖い。ちょうど正面壁の出合い辺りまで上った辺りで完全に視界がなくなってしまった。

 4尾根側に雪渓を横断した辺りに、手頃な岩の出たところがあったので、天気待ちをすることにする。11:30から1時間ほど待ったろうか。あいにく天気は悪くなる一方で明日も天気は望めそうにない。せっかく来たのに残念だがここで敗退とする。

 今回は残念ながら上ることは出来なかったが、この時期を狙うのは間違っていないと思われる。梅雨が始まる前で、雪屁の崩壊に伴う全層雪崩が終わった後なら、今日の感じで歩ければ稜線まで沢の出合いから3、4時間で達することが出来るだろう。また来年も機会があれば挑戦したい。



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