Home > 山行報告 > 会報26号 > 甲斐駒ケ岳赤石沢奥壁



甲斐駒ケ岳赤石沢奥壁

 平成7年(1995年)12月29日〜平成8年(1996年)1月3日 青谷 晋行
メンバー CL 青谷 平木・山本 

コースタイム12月29日 2000 神戸発
 12月30日 甲斐駒神社 0800〜黒戸尾根5合目避難小屋 1500
 12月31日 〜8合目 1000 テント泊 取付まで偵察
 1月1日  甲斐駒ケ岳頂上往復
 1月2日  赤石沢奥壁中央稜取付 0640 4P終了 1100着〜
   稜線1500〜頂上 1515〜BC 1600      
 1月3日  黒戸尾根下山

 久しぶりの少人数による冬山となる。でも黒戸尾根は他のクライマーや登山者で大賑いだ。大粒の大汗をかきながらひたすら樹林帯を登る。荷物が重い。暑い。休憩のたびに水をよく飲む。初日のうちに8合目までと思うも吹雪が強くなり、時間も迫ってくるので5合目止まりとする。避難小屋の中にテントを張り快適に初日を暮らす。

 12月31日昼前に8合目に、B.C.を設営し、午後から取りつきまで偵察に行く。他のパーティの登攀を見学する。雪は思ったよりも少ない。のんびりとした大晦日を過ごす。

 1月1日。朝から前線の通過でどんより曇り空のお正月を迎える。登攀は明日に回し、頂上を往復する。ガスっていて視界は悪い。明日に備え、テントの中でゆっくりくつろぐ。待ちに待った、登攀のことを考えると、興奮してなかなか寝つけないうちに朝が来る。

 1月2日。夜明け前に出発。昨日のトレースをたどって取付へ。1P目のスクイズチムニーの中を私がリードするも、体中がうずうずして喜びこの上ない。やっぱり登攀は楽しい。正味登攀ピッチは4ピッチと短いが、クラックあり、フェースあり、緊張する草付きありと、変化に富んだ好ルートだ。平木・山本も上機嫌。上部は少しラッセルするくらいで一応確保しながら稜線まで抜ける。問題となる個所は特にない。しいて言えば、取りつきまでのトラバースと右ルンゼ上部からの雪崩に気をつけるくらいだろう。でも今回は前パーティが同ルートの雪払いをしていてくれたお陰で快適に登ることができた。夏の甲斐駒すら踏んだこともないのにいきなり冬の壁を登り、ピークに立った時の感動はとても大きい。登らせてくれた山に感謝すると共に、平木・山本もよく頑張った。ありがとう。次回は初トレースをねらって、もう一度チャレンジしてみたい気持ちを胸に、だんだんと甲斐駒が遠ざかって行く中、なごり惜しむ様に、長い黒戸尾根を下山して行くのであった。


Home > 山行報告 > 会報26号 > 甲斐駒ケ岳赤石沢奥壁