夏合宿 穂高継続登攀
平成8年(1996年)8月9日~12日 青谷 晋行
メンバー 青谷 山本
コースタイム
- 8月10日 上高地 0830発~横尾 1100着 テント泊
- 8月11日 0400発~T4尾根取付 0620~ 0740 T4着~屏風岩 蒼稜ルート終了点着~ 1600慶応稜~ 1700屏風の頭~1830最低コル
- 8月12日 0600発~0800 5、6のコル~1000 C沢出合~1100B沢への踏替点より約200M手前の雪渓上にて青谷滑落。~1230 C沢下降~1500 奥又白と徳沢への分岐点出発~徳沢 1730 1900 上高地着
久しぶりの二人だけの合宿となる。
冬のパチンコをねらっての夏季登攀だ。登攀具をぎっしりつめた一人20kgはあるだろうザックを担ぎ、上高地を後にする。すでに大汗をかいている。何せ、二人とも大汗かきで、水もよく飲む。とりあえず1日目は横尾にて休養を取る。
2日目は屏風岩は蒼稜ルートを行く。T4尾根基部で水の補給をする。T4までは思ったよりも早くつく。問題はその後だ。交代でリードするも、荷揚げにかなりの労力と時間を費やしてしまう。それに加えて、ピッチの途中でザイルの長さが不足するなど、時間のロスをしてしまう。又、勘違いで正規の終了点より早くピッチを終えてしまい、慶応稜へ出たのはもう夕方近くであった。最低コルで泊まるも、腹が減って死にそうだった。水も少なく節約する。遠く、涸沢テント村の灯りが恋しかった。
8月12日、朝から暑い中、北尾根を5、6のコルへとあるきだす。そこからは一旦奥又の方へ下り、C沢出合を目指して再び雪渓を登り出す。途中水がわき出ており、体内にそしてペットボトルに大補給する。C沢に入ると、傾斜も増し、落石も怒り始める。バイルを杖に一歩一歩登り出すも、あと200M程でB沢への踏み替え点という所で自分が滑落する。50Mほど雪渓上をすべり落ち、運よく途中のシュルンドに体がはまって停止する。あっという間のできごとだった。必死に起き上がろうとするが、思うように体勢を戻せない。そうこうしているうちに上からパートナーのY君が降りてくる。手に少し傷を負ったが他は大丈夫だ。とりあえず応急処置をして、同C沢を懸垂を交えて下降する。更に本谷雪渓をスタカットで奥又白側へトラバース気味に下降する。そのまま上高地へ下山、帰神する。やっぱり、継続登攀はまだ早過ぎたようだ。アイゼンを着用していなかったのが一番の原因だが、それ以外にいろいろなトレーニングや、アプローチルート、装備などの研究不足だったようだ。本当に運よく命があったものの、今後は二度とこのような恥ずかしく情けない失敗は繰り返したくないものだ。又、このような山行の報告をこれから先書くことのないよう最善の努力をして行きたい。皆様にとっても、私のような失敗をしてもらわないよう、啓蒙活動にも励んでゆきたいと思いました。