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穂高単独登攀の思いで     
        1997年(平成9年)9月19日〜22 青谷 晋行

 前回は北尾根を終わった前穂で悪天にやられ、今回は何とか滝谷まで進むことができた。

 9月20日(土) 車を沢渡に残置し、朝一のバスで上高地より歩き出す。パノラマ道は紅葉を見に来ている登山者がちらほら。1000、すでに大汗をかいて屏風のコルに出る。さすがにここから先では誰にも会わなかった。涸沢の紅葉、奥又の秋景色、右に左に景色にみとれながらも、一人、黙々と次々にピークを越えながら前穂へ前進していく。ザイル2本、登攀具一式、テントと食料、そして水。いいかげんザックが肩に食い込む。それでもすこしでも先をと思うも、前穂のてっぺんで1700。天気もいいので白出まで行くことにする。満点の星空の下、一人、奥穂から下り出す。秋風がつめたい。1940、やっと白出につき、テント場で設営する。寒いのでとりあえず、めったには持ってこない焼酎を一口すする。あっという間に体中に火がめぐっていく。おおごとだ! 酔っ払わないうちにディナーの用意にかかる。今日は一日疲れているので明日はゆっくり北穂まで行って、すこし休養して、翌日滝谷は3尾根へと予定を考えながらシュラフに入った。

 9月21日(日) 0600、出発。途中稲ちゃんの追悼をする。0800、北穂南稜、テント場に着く。とりあえず設営する。まだすこし体調不調なのですこし休む。目が覚めるともう昼前で、体も急に元気になり、天気もいいのでドーム北壁へ行くことにする。右ルートを登る。取付1200出、ドームの頭 1400着。わずか3ピッチであっとい間に終わってしまったって感じ。でも、クラックあり、チムニーからフェースと、とても楽しい登攀だった。ピンは適度にあるが、古いハーケンはけっこう悪いので注意が必要だ。ドーム直下は、大きな浮き岩がごろごろしていていやらしい。あとは北穂北峰へ行ったり、稜線をうろうろしていた。夕方天気図をとって、早めに飯を食って、寝ることにする。明日も何とか天気が持ちそうなので、メインの3尾根へと行くことにする。

 9月22日(月) 早朝、雨がテントをたたく音で目が覚める。ちぇっ!と思いながらとりあえず、朝飯を食いながら様子を見ることにする、でもしばらくは止みそうもないので、潔く下山することに決める。テントを撤収するころ、小雨になるも、一気に涸沢へ下りる。結局この日は一日中曇り時々雨だった。次回はもう少し、装備をきりつめてチャレンジしてみたい。 



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