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台高 池木屋山 宮川本谷〜ロクロ谷 2001.8.11〜13 岡島 大西 岩崎 橘(記) 日本の秘境、台高。大台ケ原は誰でも知っているが、その周りの山域は未知の部分が多い。今回、池木屋山周辺の沢へ行くことにした。 8/11(土)2100 JR西宮駅集合。私は昨日から若狭へファミリーキャンプに行った帰りで、海へ山へと大忙しだ。そのため、眠い眠いで、車に乗り込むとすぐ気を失ってしまった。気がついたら宮川本谷の蓮ダム出合いだった。そこから車で林道を上がり、車の腹が擦るので適当な原っぱで寝ることにする。 8/12(日)いきなりツエルトに侵入してきた大きなハチに起こされる。今回の山行を暗示しているようだ。車を林道終点まで上げて、登山道を歩きはじめる。道はしっかりしており、二股までは滝をめでながらの快適な歩きだった。高滝の巻きで少しいやらしくなり、固定ロープを掴んでの登りとなる。この辺りからアブやブヨが増え始め、顔中虫だらけとなる。いつ沢に入るのかとリーダに聞くがなかなか入らないのでイライラする。奥の二股の辺りからやっと沢に入る。しかし水量はすでに乏しく又、天気もすっきりしないため余り快適ではない。そのうちに大西さんの股間にヒルが張付く事件が有り、一同大騒動となる。 しばらく10M斜滝等を越えていくと倒木まみれの源流部に来た。ここから上には岩場がせりあがるように立ちはだかっているのでザイルを出してルートを探しながら登る。簡単そうな所を橘トップで行くが岩がボロボロで木も腐ってボロボロなので登るべきルートでないと判断して右へ約40Mトラバースするうちに尾根に出た。そこでピッチを切り、後続3人がトラバースするがピン(木)の間隔が遠いためトラバースも苦労させてしまった。2P目岡島リード。二級の斜面を30M登り、又ピッチを切る。3P目橘リード。二級の斜面を又30M登り稜線へ続くと見られる緩い斜面に出る。そこからは池木屋山へは一投足だった。沢とも歩きとも言えないルートを終え、山頂から焼け山の尾根を下山すべく探す。しかしなかなか下り口がわからない。30分程山頂付近をリングワンデリングして、やっと尾根へと導く道標を発見した。複雑な緩い尾根をトレースの赤テープを追いながら下りる。次第に尾根は角度を増し、ついにはザイルなしではためらうような角度までなってきた。赤テープはあるが傾斜もきついので、とうとうザイルを張ることにする。1ピッチ50Mで大和谷へと下りる河原に出た。(16:30)やれやれである。 しかし期待した大和谷は枯れ沢で、岩魚釣りどころではなかった。その上、両岸壁はコンクリや岩盤で覆われていて安心して幕営もできない。半ばビルマのインパールへ侵攻した帝国陸軍兵士のような気分でツエルトを設営し、たき火を集め、飯を作る。ここで又、大西さんの身体にヒルが3、4匹張付いているのがわかり慌てて摘み取る。ヒルは全部殺しておかないと夜中のツエルトで悲惨な目に会いかねない。飯を食い、酒を飲み、やっと一息つく。しかしこの辺りの毒虫の多さには参る。明日のロクロ谷はどんなであろうか。明日の天気を祈りながら、就寝(20:00) 1時頃、蒸し暑さとやぶ蚊の羽音で目が覚める。同時に雨が降ってきた。荷物を省略して、シュラカバなしで、ツエルトのフライもないので雨はきつそうだ。次第に雨は激しくなり、今まで枯れ沢と思っていたところにも水の流れる音がし始めた。こうなると寝ていられない。しかしテンバは増水を見越して避難できる岸に張ったので安心ではある。確実に登山道に上がれる側の岸にテントを張るのは非常に重要である。大粒の雨に濡れながらじっと夜明けを待つ。しかし個人的に夜明けを待つこの時間帯は好きである。ぼんやりとツエルトで雨音を聞いていると岡ちゃんのツエルトからホットコーヒーの差入れが来た。さすがである。 3:30起床。岩ちゃんの足の調子が悪いということで、エスケープルートを選択することにする。宮川ダムまで行くと車のデポ地まではかなり遠くなるが、電話や交通手段はあるはずなのでこのままロクロ谷を溯るか、焼け山の尾根を登り返すかよりはマシだろう。5:00出発。大和谷左岸の登山道を行くが地面からはヒルの総攻撃だ。5分歩いては岩や鉄柵道の上で足や首筋に付いたヒルをつまみ落とす。しかし既に何匹かは靴に侵入していて、しまいには背中からパンツの中まで来るのではとヒヤヒヤしながら歩く。次第にはヒルに吸い付かれて死んだ話も聞いた事がないので少しは足の血でも吸わせてやろうという寛大な心になって歩いていた。 8:00林道出合着。早速アスファルトの上で全員ヒルチェックを行なう。大西さんは全部で4、5個所程、岩崎君は1個所程吸い付かれ、橘・岡島は日頃の行いが良いためか無傷ですんだ。 10:00宮川ダム到着。そのままバス終点まで歩き、10:30の村営バスに乗り、栗谷口で降り、予約していた宮川タクシーに乗り宮の谷出合いまで約1時間、9200円でカーデポ地まで戻る。林道終点にはハイカー達の車で一杯だった。その中の一人の化粧の濃いおばちゃんに、池木屋山までは、ヒルで一杯ですよと言うとキョエーという顔をして怖がっていた。マムシとアブとブヨもてんこ盛りですわとも言おうと思ったが、可哀相なので行ってからのお楽しみとしておく。相変わらずの重たい天気の中、スメール温泉でドロまみれの服を着替え、臭いスメールを洗い流し、文明人に戻って神戸へと車を走らせた。 NOTES: ・今回山行の失敗の原因を考えると 1)天候不順。ちょうど低気圧の接近した時期に沢に入ってしまった。 大した雨ではなかったが原生林の中は薄暗く、8月の沢にあるはずの陽気な楽しさが全くなかった。 2)かなりのマイナーな山域。この時期に再訪する方は、様々な害虫に対する対策が必須です。虫除けスプレー程度ではほとんど役に立ちません。特に大和谷側は訪れる人も少なく、かなり楽しめます。 3)計画を欲張り過ぎた。池木屋山を乗っ越してまた登り返すというのはなかなかヘビーだった。(私の体調がイマイチだったことも有りますが)結局、原生林の中をヒルとアブと戦いながら登り降りしただけで終わってしまった。 4)大西さんの股間にヒルが侵入したのは無警戒に薮の中で大キジを撃ったためだそうです。皆さん気を付けましょう。 Home > 山行報告 > 台高 池木屋山 宮川本谷〜 ロクロ谷 |