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平成14年度 春合宿(穂高、岳沢) メンバー:岡島、松本、須川雄、滝口、石原、森、樺山、小林晋(記) (南稜パーティー:L須川、SL小林晋、滝口、森) (奥明神沢パーティー:L岡島、SL松本、石原、樺山) <記録:奥穂高岳南稜> 5月3日(金)晴れ。 昨晩22時にJR六甲道で待ち合わせをし、各パーティーごとに乗合して神戸を発ち、早朝平湯温泉あかんだな駐車場に着く。朝食を詰め込み、早々に身支度をする。バスに揺られる事40分、上高地に降り立つ。人、人、人だらけでうんざりするが岳沢への道は静かで心地よい。2時間程で岳沢に着き、早速整地をしてテントを張る。天気が良いので、ビールで乾杯といきたい所だが、後の楽しみに置いて行こう!ビールで乾杯といきたい所だが、後の楽しみに置いて行こう! 南稜パーティーは2班に分かれ、奥穂南稜、コブ尾根の取り付きを偵察に行く。私は滝口君と南稜の偵察に行く。岳沢を50分程つめると、南稜の末端に到達する。直前には、長さ30m程のシュルンドが口を開けており、気が抜けない。右手の岩稜帯を登り、大滝直下の雪渓をトラバースぎみに下降する。南稜取り付きから少し登って見るが問題は無い。帰りは扇沢側へトラバースし、シュルンドを巻いて下降する。後者の方が良さそうなので、明日のアプローチは扇沢側より巻くとしよう。BCまで駆け足で戻り、ビールに食らい着く。さあ、皆で宴会だ!本日の晩飯は、炊き込み御飯に豚汁、マーボー茄子である。 5月4日(土)雨。 2:00起床、3:30BC発。真っ暗な中をヘッドラの灯りを頼りに黙々と歩く。昨夜から降り続く雨で雪面はシャバシャバで歩きづらい。 4:20南稜直下、ガスが出て来た。扇沢に入り込んでしまいそうになり、コンパスで方向を確認して進路を修正する。間も無く南稜末端にぶち当たる。さあ!いよいよだ。雄さん、滝やん、森やん、そして俺、皆元気である。しばらく草付きの斜面を登ると雪面に出る。雪の状態も悪そうなので、岩稜越えを主張するが、リーダーの選択は雪面であった。雪面を登って行くと、トリコニーらしき岩が姿を見せた。時間的に早すぎると思い偵察するが、視界も悪く、トリコニーと思い込みザイルを出す。 何かがおかしい!3m程の岩を乗越すと、直ぐにハイ松帯の踏み後に出てしまった。ルートは間違いではないが、トリコニーではなかったのだ。今後の為、記しておこう。此処は、そのまま雪面を登り、ハイ松帯の上部へ回り込んでも良さそうだ。 ハイ松帯を抜けると、雪稜となる。トップを交代しながら黙々とトレースを延ばす。ガスの中から突然、岩稜が姿を見せた。トリコニーである!凹角を登った所で、ザイルを出した方が良いと考えるが、滝やんがスイスイ登ってしまうのでその気がなくなる。(雄さんが此処で、きじを撃った事を思い出に付け加えておこう!)左へトラバースし、狭いチムニーを登ると後は岩のナイフリッジとなる。 トリコニーの通過は特に問題無いが、天候やメンバーによっては、ザイルを出した方が安全であろう。後は雪稜を雪庇に気を付けながら登り、頭までは一投足である。南稜の頭までは約4時間を要した。(9:00)天候が良ければ、奥穂に突き上げる快適なバリエーションになるだろう。 頭付近は風雨が強く、体感温度はかなり低い。既に全身ずぶ濡れで、プラ靴の中で金魚が飼えそうである。止まっていると寒いので、行動食を分け合い、早々にガスに包まれた吊尾根を紀美子平へと急ぐ。 天候の悪化が予測される為、ピークは割愛した。(滝口君の心中を察する)雪渓のトラバースではルートが見えず、コンパスを頼りに須川Lと共に偵察しながら前進する。雪の状態も悪く、雪崩には注意が必要だ。無雪期は全く問題無いが、5月とは言え、積雪期は侮れない。 後で聞いた話だが、滝口君は私達の偵察中に、雪崩を警戒し、須川Lと私が流された時の事を考えて居たと言う。(ゴックン) 10:30、紀美子平に着く。天候雨、視界悪し!誰も登って来た気配はない。奥明神沢下降の計画を断念し、重太郎新道を下る事にする。二段梯子を下降後、そのまま尾根に入り、踏後をたどる。様子がおかしいので、コンパスを睨むと方向がそれている。梯子直下まで上り返し、方向を確認して下降する。 ルートを確認後、BCと交信する。(12:00)ほっとする瞬間だ!何度か腐った雪に足を取られ、滑り落ちてブルーになるが、結果的に歩くより早く、ラッキーだった。(笑)後は、一気に岳沢を滑り落ち、12:45BC着。 取付きから8時間の行程である。BCでは、停滞していた奥明神パーティーの皆が暖かく迎えてくれた。改めて「人ありき!」と実感する。この時飲んだ焼酎の味を忘れる事は無いだろう。お湯を沸かしてくれ、濡れた衣服を乾かしてくれた仲間に感謝する。 5月5日(日)雨のち晴。 2:00起床。7:00頃まで風雨が強く停滞する。行動時間を考慮し、コブ尾根は断念する。この決定により私の穂高は終わった。何故なら、明日の14:00迄に帰神しなければならない事情があり、今晩移動する為に、バスで上高地を出ねばならないからだ。天候の回復が予想されていたので、残念だが仕方ない。山は逃げないと言い聞かせ、気持ちを切り替える。雄さんと森やんは天候の回復を待って、奥明神沢パーティーのサポートに付き、私と滝やんは早々に下る事にする。 7:30、前穂アタック隊を見送り、身辺整理をして、8:40岳沢BCを後にする。 10:00上高地着、小梨平で友人の濱田家族がキャンプをしている事を知っていたので、カッパ橋で落ち合う。滝やんと共に昼食をご馳走になり、小宴会の後帰路に着く。(濱田家の皆さん、カレーライス!ご馳走様でした) バスターミナルでは、既に沢渡行バス待ちの行列が出来ており、ぞっとする。私達は平湯に駐車していたので問題は無かったのだが、友人の方は沢渡に車を止めていると言う。この行列では、2時間待ちは確実だ。4歳の子供には過酷すぎるので、一旦平湯迄戻り、沢渡まで送る事にする。快く協力してくれた滝口君には、大変感謝している。帰路は、大渋滞に捕まり、何やかんやで帰神は明朝の5時であった。山行を共にした仲間に感謝しつつ、夢の人となる。 Home > 山行報告 > 平成14年度春合宿(穂高、岳沢) |