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大峰 下多古川 下部ゴルジュ 2002年6月9日 迫田、橘(記) この谷は良かった。谷全体が優美で、自然の造形、苦楽の配置も良く、沢登りの楽しさが凝縮されていると感じた。 前夜22:00、JR西ノ宮駅に集合。阪神高速の入口に迷いながら今回は5号湾岸線を経由して大浜ICで降り、中央環状から丹南で国道309号に右折し、水越峠を経由して御所市から吉野に入るルートを取る。初めての道で金曜夜の仕事疲れとワールドカップ観戦疲れが重なり、吉野へ着いた頃にはヘトヘト状態であった。下多古川の中ほどの取水口には午前0:30頃に到着し、ビールで乾杯した後2:00頃に就寝。 翌6:00迫田さんがもう朝飯の用意を開始している。しかし私はまだレアだ。 お年寄りの早起きとはこの事かと驚きながら、しかしアマゴ君の朝のお食事タイムを逃すとまずいという目算が働き、夢遊病者のようにシュラフから潜りだし、朝のお勤めを行なう。 7:00出発。 取水口の右側から沢に入り、10分程歩くといきなり左岸ゴルジュの頭に出る。 空中懸垂の支点を探す。と、細い木にトラロープが結ばれ下まで伸びている。細い木はグラグラだ。別の太い木にザイルを回し細い木を絡めながら約10メートルを懸垂で下りる。そこから遡行を開始する。 魚の匂いがする。この川には居そうだ。早速竿を出す。迫田さんにまず初ヒット。ウグイのような魚だ。寝ぼけ眼にも魚が見えるので私も辺りにミミズを垂らす。ここのウグイ君は素直で、どんどんとエサに食いつく。そして上手にミミズだけを食べて針を残して帰っていく。 7センチ程のウグイの後、おもむろに滝の落ち口の泡にエサを垂らすとやっと待っていました!大きなのが掛かり、泡の中の深場で動いている。しばらく運動させた後、竿を上げにかかる。オオーッと出てきたのは25センチのアマゴだ。ばらさないように必死で手元の岩の上までクレーンで釣り上げる。可哀相ではあるが、これも運命、この中年の山屋に釣り上げられた事をしかと受け止めよとアマゴ君に言い聞かす。(大袈裟な。) その後も次々と現れる好ポイントで山の神のご機嫌を伺いながら登り上がる。 渓相は明るく、赤木沢を小さくしたような感じで、出てくる滝もお猿さんでもあまり恐怖感を感じずに登れる。ゴルジュというと構えてしまいそうだが、実際にはそれほどでもなく、本当に秀渓といった感じだ。 最後にやや大きな10メートル程の滝が現れ、左岸にトラロープが下がっている。無粋といえば言えるが、ザイルがないときには有り難いと感じるだろう。我々は出だしの懸垂下降で頼りないトラロープの支点を見ているので、ここはトラロープは使わずにザイルを出して迫田さんトップで登る。 ハーケンが二個所入っていた。難所を抜けると辺りはこの世の楽園かと言うような蕩けそうな河原となった。 気も緩み、さあ、釣り再開じゃあと竿を垂らす。 んが、今まで無邪気にミミズを突ついていたウグイ君が何故か岩陰で引きこもっている。ん?なんでや?・・と思っていたら目の前10メートルほど上を車が通過した。なるほど、魚がスれている原因が分かった。 林道がすぐ上に来ている。ここが潮時と、納竿し、林道へ上がる。(13:00) 林道を今日の成果に満足しつつ歩くこと約30分で車のデポ地点迄戻る。 NOTES:下多古川下部は出だしと林道合流直前滝が共にロープが必要。 しかしその間は流麗な小滝の連続する秀渓であった。 もう一日をかけて上部を遡行し、大峰を横断すると真の山伏へと得度できると考えられる。もちろん一日目のおかずは魚と、付け合わせの蕗(フキ)味噌であった。 (完) Home > 山行報告 > 大峰下多古川 下部ゴルジュ |