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会津駒ヶ岳(2132.4)山スキートレーニング                
2003年01月05日   金田 晏(記)

 2003年の初日の出は茨城県日立の久慈浜の温泉に浸かりながら太平洋の水平線から昇るのを家族で迎えた。各々それなりに英気を養い,息子は雪で新幹線の遅れを気にしながら4日の午後早く帰っていった。テレビの気象情報を見ると等圧線が立て込んで強い冬型になっている,上空の気温もかなり低いので山にはイイ雪がたっぷり降っているだろう。よし,明日は深雪の滑降トレーニングに会津の山へ行こう と決め会津駒ヶ岳登山計画書を会と所轄の田島警察署へFAXで送る。暫くすると田島警察署から電話が入り独りでの山行を気にしている様子だった。

2003.01.05  風雪
 午前3時45分自宅を出る。空は満天の星が煌めき空気は凛と凍てついている。鬼怒川温泉より小雪となり川治温泉より道路に積雪となる。栃木.福島の県境のトンネルを抜けると吹雪の中へ。途中,道路除雪車の往来で所どころで待機させられ檜枝岐村に7時に到着するも駐車場は積雪のため入れず,さてどうしたものかと車の中で朝飯を食っていると除雪車が来たので頼んで除雪して貰いやっと入れる。

 7時45分登山口の滝沢橋(標高930m)を出発。下ノ沢沿いに林道を行き直ぐ左手から合流する上ノ沢に入り左岸台地を行く。上ノ沢と離れ小さな杉林を抜けると開けた浅い沢の登りとなる,と突然前方10mぐらいの雪の中を黒い物がゆっくりと横切って行くではないか!! あツ!! 熊だ!! と思った瞬間頭をもたげてゆっくりこちらを見たら大きなカモシカだった。

 雪がパウダーで深いので背中までもぐってしまい,まるで雪の中を泳いでいるようだ。ゆっくりと一条のラッセル跡を残しながら斜面を登っていった。このカモシカとは奇しくも帰りに同じ場所で再会するのである。登行している沢も次第に傾斜を増し遅々としてラッセルがはかどらない沢の源頭には大きな雪庇が見えるので中程から左の尾根にトラバース気味に登って尾根に出る。

 9:15(1235m)。灌木帯の尾根を登って村が作ったヘリポート台地(1375m)に10:20着。ここで下ノ沢沿いの林道から尾根に取り付く夏道と合流し1本の広い尾根となり山頂へ導いてくれる。それとこの辺りから標高1800m辺りに広がる見事なブナの樹林帯は私の最も好むところでである。顔に突き刺さるような風雪も深いラッセルもブナ林の中では何故か余り苦にならない。ブナの大木にそっと寄り添ってみると樹の温もりさえ感じるのである。標高が上がるにしたがい積雪量も増し膝上から太股辺りのラッセルとなりペースが落ちる。

 1625m12:00,タイムリミットまで後1時間 少しでも標高を上げようと懸命にラッセルする。板のトップベンドが雪面に浮いてこない。潜ったままで膝と太股で雪を押して行く状態である。そのためかオーバーパンツの膝から太股辺りに体温で融けた雪が氷となって付着し始めた。急斜面を登り切ると尾根が細くなりブナに混じって針葉樹が目立ち始めた。高度計を見ると1700m13:00だ。ここまでと風雪をさけて木陰で行動食を摂りシールを外す。

 13:30滑降開始,滑り初めは斜度を緩くとって見たがスピードがつかなくて板が雪面に浮いてこない。これでは駄目と最大景斜線に真っ直ぐ飛び込むように突っ込むとスピードがついて大回り,小回りが快適に出来爽快感が体中に広がる。しかしいいことばかりではない,回り込んだとき水しぶきならぬ雪しぶきが顔を覆い視界が利かなくなり転倒してしまう。ザックを背負ってパウダーの中での転倒は一瞬雪崩に巻き込まれたような体感である。それと立ち上がるのが大変だ。緩斜面は板が滑らず歩きと同じである。登りのシュプールはほとんど消えかかり降雪量の多さを実感する。

 14:30下山,会と警察に下山した旨連絡して帰路に着く。 標高1700mまでしか登れなかったが充実感を味わえたイイ山行であった。山スキーをやりたい方へ ゲレンデばかり行っててはあかんで!! 山をすべって実感を身体で体得しましょう。

タイム:
 檜枝岐滝沢橋7:45〜尾根上1235m9:15〜ヘリ台地1375m10:20〜最高到達地点1700m13:00〜13:30〜滝沢橋下山14:30


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