南蔵王 山スキー
- 山行日
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- 山域、ルート
- 南蔵王 刈田峠避難小屋ベース
- 活動内容
- 山スキー
- メンバー
- L 金田 晏 宇塚有友 大矢紀一(以上友人)
南蔵王 山スキー 山行記録
1/18(土) 快晴
午前6時マイカーにて宇都宮出発,東北道白石ICより遠刈田温泉,蔵王観光道路を経て澄川スキー場に9時着(1100m)。用意を整えスキー場の管理事務所へ登山計画書を提出して9時30分出発。登山券800円を払ってリフト3本乗り継ぎ,リフト最上部9時55分着(1380m)。
滑走路を少し下って直ぐツアーコースに入り平坦な疎林の中を行く。燦々と降り注ぐ陽光に暑くて薄着になる。蔵王エコーラインを横断して聖山平の一角に立つと前方に御釜のある五色岳の大きな山容と直ぐ左隣りにこれから登る刈田岳(かっただけと読む)が良く見える。
山頂直下にある刈田岳避難小屋も遠望出来る。再びエコーラインに出て雪上車のキャタピラの跡が残る上を板を滑らしながら登っていると雪上車が2台登ってきた。労せず山頂に登って滑るスキーヤーたちを満載している。
私達は道路から離れて山頂につながる尾根に取り付く。尾根は風当たりが強く堅雪とシュカブラに覆われているのでスキーアイゼンを装着する。避難小屋直下は傾斜もやや急だが,小屋から山頂へは平坦でカリカリの雪原を登って12時に到着。刈田岳の山頂の大きな神社はエビの尻尾に覆われて白亜の殿堂だ。刈田岳避難小屋に戻って昼食をとりシールを外して刈田峠へ13時滑降開始。小屋から道路を少し滑り下って樹木の少ない広い斜面を一気に滑り平担になったところでシールを張り刈田峠の避難小屋へ向かう。高度計と地図の地形を見ながら探し最低コルの手前標高1530mの広い尾根のやや東よりの樹林の中に刈田峠避難小屋はあった。13時30分到着。
小屋は北西側はほぼ屋根まで雪に埋まり南西側の冬期入り口の天窓から梯子を伝って中に入る。鉄骨平屋建で20畳位の広さで半分は床張りにゴザが敷かれ土間の奥には大小のトイレが仕切られている。南東側には大きな2重の窓ガラスがあり内部に光が充分に入り込みとても明るい。その上備品として石油ストーブ,ローソク,チャッカマン,灯油,スコップ等がありとても快適な小屋だ。天気が良いので明日の偵察も兼ねて前山まで登り峠ノ沢を澄川源頭との出会まで滑ることにして14時小屋を出る。
最低コルから見ると前山への稜線は広いので雪庇は全く見あたらないので,尾根の東側にルートをとりピーク直下の1640mまで登り(14時40分),シールを外し滑降ルートの確認と3人がお互いを確認できるような滑りをする様に指示し大矢,宇塚,金田 の順で15時滑降開始する。
雪質は少し重いが余り板が潜らないのでいい感じで回転,小回りが出来る。下るに従い支尾根も先細りになり左右に開けた浅い谷が見え左の谷に滑り込んで下ると直ぐ右からの谷と合し谷幅も狭くなり所々谷芯にポッカリ穴があき滝のあることを示している。前方に深い谷が現れ右岸の斜面を少し上って回り込んで偵察すると現在地の標高1385mと地図から判断して澄川源頭との出会付近と判断して宇塚氏持参の赤テープを巻いた標識を斜面に立て15時30分引き返すことにする。
標高差にして僅か255mの滑りだったが,各人満足気な足取りで最低コル目指してラッセルし16時20分刈田峠の避難小屋に帰着する。今日のフィナーレは美しい山の夕焼けと奇しくも遭遇した満月の月の出であった。
1/19(日) 終日雪 濃霧 午前中風雪強
夜半用足しに起きたときは月の光でヘッドランプが要らないほど小屋の中は明るかったが,ふと目覚めると小屋の外から激しく小屋をたたく音がしている。時計を見ると2時過ぎだ。こんな時間に登山者が来る?はずがない。あ!!スコップだ。と思ってシュラフから出ようとしていると,端に寝ていた大矢さんが起きて入り口の軒下にぶら下がっていたスコップを外してくれた。お陰で音も止み朝までぐっすりと眠る。
起床5時,風はおさまったようだが霧が深い。天気は下り坂なので初めの計画を変更して屏風山から澄川源頭の右岸台地を昨日滑った峠ノ沢まで滑ることに集中することに決め必要最小限の装備を持ち7時に小屋を出発する。視界10m昨日のシュプールもすっかり消えている。前山から杉ケ峰の登りから風雪が強くなり東側の傾斜の緩い山腹を巻いて杉ケ峰の南の肩に出る(8時30分)。
現在地の確認できるこの地点でコンパスと地図で屏風山の方位は130度に全員合わしシールを着けたまま慎重に下る。滑り初めは決めた方位に進んでいるが緩傾斜になってくるとスキーヤーというものは最大傾斜線の方向に自然とスキーが向いてしまう。視界の利くときは問題ないが今日のように視界不良の時は特に注意しなければならない。自分がどの方位に向かって滑っているのか集中して滑るようにしなければならない。
1652mのコル付近はだだ広いので進行方向の方位に注意しながら屏風山を目指す。屏風山の山容は南北に長くその稜線を境に今登りつつある西面の山腹はなだらかであるが東面は絶壁となっている。恐らく稜線には雪庇が張り出しているだろう。風雪が一段と強くなり稜線の一角に出る。東側には3~5mの雪庇が張り出している。
稜線を南に進んで視界の利く範囲で自分のいる位置より高いところはないので高度計を見ると1825mを指しているので10時15分山頂着とする。いよいよ峠ノ沢迄ダウンヒルオンリーだが視界不良と雪庇に沿って滑らなければならないので山頂から北にのびる尾根上の1689mピークまでシールを着けたまま滑ることにする。
屏風山山頂出発10時20分,シュカブラ ギャップ 吹き溜まり等で滑りずらく1689mピーク手前の台地(1700m)まで意外と時間を食って10時50分着。大きな樹氷で風雪をさけて熱いお茶と行動食をとりシールを外す。地図を良く確認して滑降ルートを澄川源頭の右岸台地の中央部に滑り込み1450m辺りで沢へ下るルートファインデイングのためストップと決めて11時05分 金田 大矢 宇塚の順で滑降開始。斜度は緩いが視界が良くないので慎重に滑る。時々止まってはルート確認を繰り返す。
1550m付近より視界も良くなり台地の中央部を快適な滑りで沢への降り口でストップ,3人揃ったところで10mぐらいの滝は右岸の樹林帯を高巻き気味にトラバースして谷芯に滑り込み左岸の台地に一気に上がる。時間は11時40分だ。高度計を見ると1380mを指している。
峠ノ沢との出会も近いはず,ここでシールを張って11時50分出発する。トラバース気味に登っていた宇塚氏が斜面の上に昨日残した標識を見つけてくれる。昨日のラッセルもきれいに消えた峠ノ沢を登って12時40分小屋に帰着する。
小屋で昼食休憩をとり,お互いの健闘をたたえ合って備え付けの宿泊者日誌に記帳し,小屋の掃除を済ませて14時刈田峠避難小屋を出発。30分でエコーラインに出て振り返ってみたが杉ケ峰 屏風山は厚い雲の中だった。15時15分メンバー全員澄川スキー場の駐車場に無事下山する。登山届け提出先関係者に下山連絡を入れて帰路に着く。ー完ー