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芦廼瀬川本流遡行   2004年8月13日-15日  記録  山田
 
  山域  大峰山脈(十津川)
  メンバー 岡島(L)、大西(SL)、田中、池内、高場、山田(記)

13日 西宮(22:00発) → 十津川村森林公園(21世紀の森)(2:00着)
      四日市(22:30発) → 同上公園(3:00着)
14日 森林公園(8:00発) → 沢に下降(9:00) → 
      ヒイラギ大淵(12:05) → 下竜宮谷出合付近(12:25)→
      トビワタリ谷過ぎた辺りのサイト場(16:30着)
15日 サイト場(6:00発) → 林道(国道425号)(9:00) → 
      森林公園(12:00着)


13日 十津川は遠い。吉野川を越えてから2時間。昔、戦国の時代にあっても、あまりの山深さにどこの支配も受けなかったというが、なるほどと思える。その夜は自分が着いた頃にはみんな寝ていたので、翌朝合流。

14日 8:00森林公園を出発。天気は気持ちの良い晴天。早く沢につかりたい。公園の案内地図があり、上流方面、七泰の滝、ダムに延びる道があるのでそれをたどり、滝のあたりに降り立つつもりで行く。ジャングルジムみたいな遊具を右手に歩くと道が二手に分かれる。
 坂を上っている右の道を選び、通せんぼしてあるネットを乗り越えてなおも進む。道はだんだん細くなるが、踏み跡はあり、トラバース気味に続いている。国道425号が右手に位置しているが、それが大崩壊しているのが見える。
 その土砂崩れを慎重に越えてしばらく行くと東屋に着く。はるか下方に芦廼瀬川がある。東屋から前方に踏み跡があるが、岡島さんが確認したところ斜面が急で降りられない。逆戻りして先の大崩壊地の下部の杉植林斜面を下ることとし、無事沢まで達する。(9:00)

 上流には別パーティが右岸を巻いており、下流にはキャンプしている人たちがいた。我々も沢支度を整え出発。先行パーティと同様、最初の滝は右岸の岩場に釘、鎖を手がかりに乗り越す。次は、七泰の滝10m。少し斜めで太く真っ直ぐ落下する瀑流は豪快。
 左岸から2段80mの滝となり合流する付近。(11:15) 
 そして、最初の瀞である。ヒイラギ大淵。(12:05)中庄谷さんの文献では「腰までの渡渉」とあったが、ここは泳いで左岸に渡りへつる。ここ最近の豪雨で水量が普段より多いのだろう。
 下竜宮谷出合(12:25)
 遂に核心の焼狽フ淵入り口に到着。大西さんが流れに入りつつのぞき込むと「ずっと続いてる。」200mの大瀞だ。今回は池内、田中、山田はライフジャケットを着けている。泳ぐとき体力を消耗しにくい、泳ぐのが億劫にならないなど、役立っていると思う。さらに僕はシュノーケルを持参、美しい渓谷の底まで存分に楽しめた。これはお得です。

 池内君の先行(泳ぎ)でザイルを延ばし、田中、大西はゴボウで、岡島、高場は引っ張って続く。山田はシュノーケルで泳ぐ。
それを2回繰り返し、次は山田が瀞の出口の滝壺のすぐ左の岩までザイルを持って泳ぎ後続も泳ぐ。岩場は5mほどだが岩肌がつるつるしており登りにくい。池内、高場をザイル確保する。しばらく行くと、また大瀞。左右は立っており、へつりもできず泳いでもザイルを切るところもなさそう。ここは仕方なく大高巻きする。

 左岸の急斜面を立木をつかむなどして50mぐらいは登ったと思う。沢筋に降り立ち、滝の右側を乗り越すとゴルジュがやっと終わる。16:00近かった。トビワタリ谷出合を過ぎた辺り、右岸の砂利河原を今夜のテン場とする。(16:30)

 最近の大雨で上昇した水面にゴミなんかが引っかかっている。その高さはこのゴルジュや河原の全面を覆い尽くすもので空恐ろしくなった。着くとすぐに岡島さん、大西さんが脱出用のザイルをフィックス。本当は脱出した後を考えて、林道(国道)のある左岸に張りたかったとのこと。

 当然、立木も豊富で薪もすぐてんこ盛りになった。田中さんは釣りでハヤを何匹かつり上げそれを焼いて食った。うまかった。ぜんぜん臭みもなくあっさりとした味だ。高場さんの食当でマーボ茄子が出来上がり焼酎を飲みつつ、暮れゆく山間でたき火を囲み四方山話をする。星も見える。完璧な沢泊まりだ!!久しぶりでとても幸せな気分。僕と田中さんはたき火の隣で眠る。
 
15日 翌日は明け方小雨が降ったり、曇天である。6:00出発してすぐ淵に出くわす。ビシャコ淵だ。ここは腹まで浸かって突破。続いてアワタマリ淵。僕は泳いで突破。出口の滝は3m斜瀑。滝の左を登る。巻き道は右岸にある。

 その先は河原歩きとなりさしたる困難なところもない。途中人ひとり歩ける程度の吊り橋が現れるがどこへ通じているのかは不明。空模様が怪しくなり、雷雨となった。沢の音であまり気にならないが稲光は凄い。しばらく北に東に向きを変える流れをたどりつつ、ガスで煙る趣のある風景に溶け込む。が、このまま林道に上がって終わってしまう沢ではない。右側から合わさる廊下が笠捨谷だ。人ひとり程度の幅の細い壁の間に5m以上の滝を2,3懸けている。そして狼返しの滝3m。巻き道は右岸に。5分ほど行くと右側に広い緩やかな沢が入ってくる。それを5分ほど登ると林道(国道)が見えてくる。林道に出て終了とする。(9:00)

 そこから、車をデポしてある森林公園まで3時間。皆だるい足を引きずりつつ歩いた。疲れはしていたが充足した気分だった。
林道に着いたとき、本当にほっとした。それほどスケールのでかい沢だった。普段より水量が多かったと思う。それにより豪快な滝、岩盤をうがって流れる激しい流れも凄さを増していた。台湾の沢かと思うほど、美しい渓谷だった。縞模様の岩肌のナメ。微妙なへつり、泳ぎ、強い流れの渡渉もあった。

 やっぱり沢はいい。とくに泊まるのは何にも代え難い。東の川はあれでいい沢だと思っているけど、こちらはすっきりとしていて楽しみが凝縮している。これは買いです。十津川温泉もいい。300円の公衆浴場があります。





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