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堂倉谷遡行 2004年9月19日-20日 (前夜発) メンバー 橘、須川、山田(記) 1日目 7:20 駐車場発 10:20 堂倉滝着 11:00 同発 12:00 斜瀑30m上 13:30 アザミ谷出合(テン場) 2日目 6:00 出発 7:20 堰堤 8:20 ミネコシ谷出合 8:30 二股 10:00 直瀑12m 12:10 2段25m上 13:00 奥の二股 13:40 1641mピーク付近(登山道) 大台ヶ原駐車場に着くと、2時30分頃となっていた。天空一面に星が見える。天気予報では前線が来て雨模様と聞いていたのにうれしい誤報となった。暗い駐車場の中に灯りの点ったテントがあり、須川君が顔を出していた。今回は橘さんのおNEWのテントで3人で寝るには広く快適。ビールなんかを飲みながらも、二人は眠そうだ。須川君が北斗七星はどれ?と聞くが星がありすぎてよくわからんかった。 翌日、身支度を整えて、駐車場発(7:20)。大台ヶ原は遊歩道がわかりにくい。前などシオカラ谷に行くと言って逆の方角に行ってしまったこともあった。昭文社の地図で確認して、案内標識でも確認。日出が岳に向かう。登りは木道である。頂上には展望台があり、見晴らしはいい。休憩して大杉谷方面の道をたどる。自然の杉は植林のものとは違い不格好であったりもするが、生命力にあふれている。少し荒れている道もある。 堂倉小屋は無人の避難小屋。コンクリート造り。結構快適に過ごせそう。林道もすぐそこで、栗の谷小屋も見える。こっちは大きくかなり立派に見える。林道をヘアピンカーブまで50mぐらい歩き、また登山道にはいる。急な下りを終えるとようやく谷底に着く。(10:20) 堂倉滝は堂倉谷入り口にあり、まるで門番のように立ちはだかっている。直径20mはある滝壺の深さは、推し量れないほど。長かった下りが終わって一同ほっとして腹ごなし、ハーネスを着けたり沢靴を履いたりしている。一般のハイカーもいて、橘さんは年輩ご一行の記念写真を頼まれていた。天気は曇りがちで、せっかく持ってきたライフジャケットの出番はあるのか心配する。 11:00吊り橋を渡り、中庄谷さんの記録のとおり行ってみる。右のブッシュに踏み跡を見つけたどってみる。岩壁にぶつかるが弱点があり木の根っことかも使って登ることができる。踏み跡の斜面が崩れていたり、なんだかんだで20分ぐらいはかかって上までたどり着くと、階段付きの道が左側から登ってきているのを発見。橘さんがインターネットで入手した記録にあるものであった。右のブッシュ入らずに、そのまま行くと吊り橋がありその辺りから階段が付いているそうだ。記録にも、旧い記録、新しい記録、間違ったルートの記録等あるので、参考にするほうも難しいなぁと思う一件だった。 さて、上に着くと林業用のモノレールがあって、辿ること20mほどで右側に堂倉谷に向かって落ちていくルンゼがある。降り口にはロープがある。笹付きでザイルがいるほどではないが、所々残置ロープに頼ってしまう。下の方はガレ場だ。石を落としながら何とか下ると谷の幅いっぱいに岩盤を流れる本流に降り立つ。瀬滝である。本流ならではの水量でゴウゴウと流れている。岩には意外と所によっては黒々と苔が付いている。全体として苔が多く、ナメやスラブが多いので足下に注意が必要だ。入渓して足元ばかり見て歩いていたら、すぐこの谷で一番の落差を誇る30mに出くわす。今まで見た斜瀑で一番凄い奴だ。とりつくしまもない感じ。その前衛みたいにある7m滝のそばまで行くが、これはまとめて巻くことにする。右側に青いビニールテープでマーキングしてある巻き道があり、ぐんぐん高度を稼ぐが、なかなか大滝の高さにならない。落ち口を過ぎ、流れに戻るところは、スラブっぽくて場所を選んで降りる。 12:00沢で最初のダウンをとる。天候は気持ちよく青空なんかも見えてきてご機嫌だ。続いてどの滝か忘れてしまったが、斜瀑3mがあり、滝壺は左から泳いで突破、橘さんは右からへつって越す。僕は、気持ちよさそうだったのでその斜瀑をウォータースライダーにして遊ぼうと滑り降りたが、滝壺は白く泡立っており、気泡により浮力がなくて少し焦ってしまった。ライフジャケットを着ていたのでまだよく浮いていたほうだったと思う。 次に中七ツ釜の通過で側壁がスラブで不安定な要素もあり、右側を巻いたところもあった。なにせ落ちたら凄い水量の本流に呑まれてしまうのだ。その巻きから戻るところは、例によってスラブ状で、ハーケンに何本もロープやらシュリンゲやらいろいろ継ぎ足したものが垂れ下がっていた。橘さんがそれを頼りに下ってみるが、危ないとのことで。ザイルを使用し懸垂下降する。進むと中七ツ釜は終了して、左側から大きなルンゼが合流する。 付近は巨石の溜まり場で、迷路のように縫うように通過する。そして、豪壮な斜瀑10mが現れる。まるでユニバーサルスタジオのジュラシックパーク・ザ・ライドみたいに加速をつけた奔流が滑り降りている。ここは右側スラブを登り、落ち口付近は残置トラロープ等が何本もぶら下がっている。不安はあるが複数本まとめて持って越える。 程なくアザミ谷が合わさる。ここで、時間は13:30。記録ではサイト適地である。この先そんな場所があるのか、はたまた釣りができるところがあるのか、しばし思案する。この先横切る林道で泊まるのは少し風情がない気もする。結局明日日の出とともに行動するということで、アザミ谷出合にテントを張る。立木は湿っていて、 いい火床ができなくて銀マットで仰ぎまくることになってしまった。 橘さんは早速釣り竿を取り出し、仕掛けを作り釣りに出掛けた。遅れて須川、山田もトライする。しかし、なかなか釣れない。魚影も全く見てこなかったので、いるのか半信半疑だったが、せっかくのイクラは半分人間のおかずとなってしまった。5時にはすっかり暇になってしまい、晩ご飯を作り出す。キムチ鍋は食欲がわいておいしかった。6時には橘さんは横になってしまい、雨もぱらつきだしたのでテントに入り、7時には床に入ってしまった。蚊もいなくて、暖かく快適だった。 翌朝は、あまりにも早く寝過ぎて、朝方は早く朝が来ないかと思うほどだったが、橘さんも3時には起きていたそうだ。5時前に起き、朝飯の納豆を食べ、支度、6時出発。奥七ツ釜の登場である。いきなり刺激的な遡行で、岩盤を穿って流れる奔流、その造形美を眺めつつ、絶対に足を滑らせられない、落ちられない渡渉など連続し緊張する。ザイルなどは出さずに通過できたが、初心者などがいれば、ザイルがほしくなる所だらけだ。 幅広のナメを歩き、流れが緩やかになってくるとそこはバックウォーターであり、奥七ツ釜最後の斜瀑15mが左に方向を変える沢の突き当たりに立ちはだかる。記録では左岸をのぼるらしいが、長い淵を泳いで流れを横切らなければならない。それに普段より少々増水しているようなので、条件が悪い。ここは右岸のブッシュの中に巻き道があった。上から見ると行けそうな気がする。次回の課題だ。気の抜けない、しかし美しい流れはまだまだ続く。長い淵を過ぎ、低い滝を右からへつって、そのまま踏み跡を辿ると、沢から離れてしまうようだ。あくまで沢筋を行って岩をつなぎながら進むのがいい。 7:20堰堤に着く。右岸の岩場から巻き上がり広い河原に降り立つ。休憩。 ここより、長い河原歩きが始まる。林道を過ぎ、ミネコシ谷(8:20)、二股(8:30)、すこし両岸が立ってきてミニゴルジュ、中には3m、4m斜瀑、シャクナゲ谷出合。 いよいよ連瀑帯の始まりだ。ほとんど沢身で行ける。大きなルンゼを左に見て、本谷は右に折れ、狭そうな4m滝をかける。倒木が横倒しになっている。 12m直瀑(10:00)は、左岸のブッシュに挟まれた岩場を登り木の根を頼りに右にトラバース。滝上はザイルを出した。6m、3m、4m滝は滝身で、しぶきを浴びながら、ホールドも豊富、快適に登る。そして右からガリーの入る2段25m滝。下部はホールド、スタンスともにあり、フリーで登る。巨木の突き刺さる上部滝は、右は立木が2,3本生えている立った壁。左は傾斜の急なルンゼ状で上部ほど立っている感じだ。 須川君のリードで右の壁に活路を見いだそうと、這い登る。ブッシュに入るところでザックが引っかかり、難儀している。時間を掛けようやくコールがかる。2番手山田はプルージックで登る。両手が離せないところは歯も使いながら、プルージックを引き上げる。須川君のビレイしているところは、背よりも高い笹のブッシュの中だった。ビレイ解除し、山田はその先を偵察に行く。岩場を登り、沢筋に下降するところを探すが難しい。懸垂下降するにも30mザイルなので、15mで行けるか目測するが、ぎりぎりだ。 というわけで、もう一度元来た道を懸垂下降して、左側のルンゼ状を登ってみる。すると案外容易に巻けるではないか。こっちも偵察すべきだったと反省する。あれだけのブッシュに人が通れば、踏み跡があるはずで、それが見つからなかった時点で引き返すべきだったと思われる。(12:10) その先は、この宮川の源流、堂倉谷も、もう源頭の様相を呈してきて水線通しに登りザイルは出さなかった。が、高度感のある斜瀑18mや25mもありメンバーによってはザイルかシュリンゲによる確保が必要かもしれない。ナメ30mとか40mとかこの辺はほとんど山頂付近の岩盤の上を流れている感じで、シャクナゲや杉(木の皮を鹿に食べられないように、金網が張ってある)の原生林で地面は笹に覆われており美しい。もうすぐこの谷も終わるというので、ほっとして疲れが出てきてえっちらおっちらとしか歩けない。 奥の二股に13:00。1641mピーク付近?に13:40着。一般ハイカーがうろうろしている登山道と案内看板のあるところに着いた。疲れて一同言葉少なし。しかし、橘さんの頭にはアマゴの顔しか浮かばなかったのかも知れない。現在地をつかむのにハイカーに訪ねたり、しかも駐車場周辺を周遊しているパーティと間違われて「まだまだ先ですね」と気遣われたりで、七ツ釜を越え奔流と格闘してきた私たちもタジタジであった。 シオカラ谷の枝谷で1時間ほどのんびりと釣りをして4:00頃駐車場着。無事でよかった。釣果はといえば、坊主であった。ハングリーに生きているアマゴ君は高級食材には関心がないらしい。 今回の山行でも、普段からロープワークに不安があるなぁ、と思っていたがやはり間違っていたり、スムーズでなかった。実践できる機会をもっと持たなくては、と思うのだが…。 次なる山行を想うとともに、目標を掲げ、それに向かうような山行を心がけていきたい。今の気分的なものもあると思うが、次は是非、南紀の黒蔵谷、立合川、池郷川ゴルジュに向けた山行をしたい。 Home > 山行報告 > 堂倉谷遡行 |