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南会津 大戸沢岳(2089m)山スキー (敗退の記)    
 
 05.01.09(日)      金田 晏(単独行)
 
 一昨日来,今冬一番の寒気団の影響で山にもたっぷり雪を降らせてくれるだろうと期待して大戸沢岳に行くことにした。

 友人を誘ったが所用があるというので単独行になった。大戸沢岳の所在地は百名山で名の知れた会津駒ヶ岳と吊り尾根で繋がり三岩岳へと連なる奥只見湖の源流部の山々の一つで,会津駒ヶ岳から縦走してくると何処が頂上なのか判らないほどだだ広く平で標石のない標高点のある山である。頂上から東に派生する主尾根(東尾根,私が勝手に付けた名称)は山スキーに適し頂上付近には純白の広大な斜面を持ちアルペンやテレマーカーを有頂天にさせてくれる。今回は東尾根の末端の登山口から標高差1240mの登りだ。単独でのラッセルとなると思うのでタイムリミットまで少しでも高みを目指したい。

 午前4時,自宅を出発。県境のトンネルを抜けると雪になった。道路はテカテカのアイスバーンでワゴン車がスリップして横転して渋滞していた。R352の下大戸沢スノーシェッドを抜けたところが東尾根の登山口(標高848m)で7時35分に着く。路肩に駐車し腹ごしらえと用意を調えて8時05分出発。天候は風雪,気温−3℃。尾根の末端を回り込むようにして下大戸沢に出る。右岸段丘をつめて最初の小さな枝沢に入る。

 沢が右に屈曲する地点で対岸の尾根に取り付く。ミズナラの樹林帯でブッシュの密度の濃さにがっかりする。ブッシュに遮られてこまめにキックターンを強いられる。深雪用のストックリングを付けていてもストックのグリップまで潜ってしまうので新雪は1m以上積もっているのだが根雪になる降雪量が少なくブッシュが雪の重みで寝ていないのか,やたらと板に引っかかりまくって実に厄介だ。それに今シーズン新調した板に傷がつきそうで気がかりだ。ほとんど休まず登高を続けたが尾根が痩せたところ1386m地点まで急登が続いたので4時間30分もかかってしまった。

 一息入れてタイムリミットまで1553mピークを目指す。ブナ林の広い斜面は気持ちがいい。今日は天気も悪いしラッセルのトレーニングにはもってこいの天気だ。今こうして深い雪の中を登れる身体の健康に感謝しなければなどと考えながら黙々とラッセルをするが遅々として捗らない。少しでも高いところから滑りたいという助平根性を発揮して時の経つのも忘れて?ラッセルを,ふと時計を見るとタイムリミットを過ぎているではないか。標高は1540m,めざすピークの直下まで来ている。あと1時間いや30分でピークに着くだろう,しかし計画書にはタイムリミット14時と届けてあるので,まあ今シーズンの初戦だから余り無理もすることはないと変な妥協?をして降ることにする。

 板でよく踏み固めてシールを外すがちよっと踏み外すと腰まで潜ってしまう。板の長さが長くなったのとシールの粘着力も良いので今までの板のように板を履いたままシールをはずせないので多少時間がかかる。14時40分滑降開始,新調したファットの板での初滑りだがブッシュが濃くて快適な滑降は出来ないが雪質はパウダーで申し分無しだ。部分的に無木立の斜面ではファットの板の浮力は遺憾なくその性能を発揮してくれて素晴らしい。2年越しで買い求めただけの値打ちがあった。15時25分登山口に下山する。帰路,南会津の素朴な名湯木賊温泉(とくさ)で冷えた身体を癒して帰途につく。

タイム:自宅4:00出発〜R352下大戸沢スノーシェッド7:35着〜
   8:05出発〜尾根取り付き8:55〜1540m(最高到達地点−8℃)
   14:15〜14:40滑降〜15:25下山〜20:30帰宅



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