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嗚呼、高見山
                       平成20年2月24日 橘、森

 初めての高見山に登ることにする。新人訓練と銘打ったが参加者が森君だけとは実に寂しい。しかし山と酒と風雪があれば男同士の宴会も盛り上がることだろう。

 前夜2月23日(土)夜9時西宮集合。二人での割り勘を考え、一番安い阪神高速三宅出口を経由するルートを取る。吉野町を過ぎる辺りから雪となり、高見山登山口に着くころには路面は氷でツルツルになっていた。夜11時30分、テント場を探すが手ごろな場所が無いので電話ボックスの横の空き地にエスパースを張って潜り込む。深夜2時30分就寝。かなり酒が回っていた。

 翌朝7時30分起床。既にテントの外では車がじゃんじゃん走っており、登山パーティの足音も賑やかい。いつ地元のおっさんが起こしに来るか分からないので急いで飯を食いテントをたたむ。朝8時30分登山開始。山吉さんがいたら怒られそうな時間帯だ。1時間ほどよく踏まれた登山道を歩くと小峠に到着。だんだんと寒くなってきた。

 林道を横切りしばらく登山道を歩くが風がきついのか雪は少ないが道が凍っているのでアイゼンを着ける事にする。次第に風は横殴りとなり、雪つぶてが顔に当たって非常に痛い。久し振りに手も痺れてきた。これは本気モードを出さないとやられそうだとほくそ笑む。30分ほどで平野からの登山道に合流。前後にパーティはあまりいない。ちらほらと下山する人にも会うので小屋はゆったりと出来るかと思った(が。。)それにしても風が冷たくて気持ちがよい。ポケットのきゅうりも凍ってきた。樹氷もきれいだ。こんなに手軽に耐寒訓練が出来るとはと興奮する。やる気モードが芽生えてきた頃、小屋が出現した。
 地獄に仏の小屋とはよく言ったものであたふたと飛び込む。が、座る場所がない。登山者で一杯だ。いったいどこからこれだけの登山客が登ってきたのだろうと不思議に思っていると場所が空いたので森君と座り込んで火を焚いて即席ラーメンをかきこむ。かきこんでいる間にも続々と登山者はやってきてついには皆立ちんぼで足もとでコンロを沸かしながら飯を作ったりしている。通勤ラッシュの電車に乗っているようだ。しかしぎゅうぎゅうに座っていた方がお互いの体温で暖かい。中にはザックをどかっと横に置き3人分くらいのスペースで陣取っている剛毅なおっさんもいる。しかしあのおっさんの心は寒いであろう。

 驚いたことに手袋なしで登ってきている登山者や、ローカットのスニーカーで登ってきている強者もいる。我々が風をよける為に目出し帽をかぶりヤッケのフードを左手で敬礼しながら登ってきたこの山に素手で登って来るとは!(ちなみに森君は気を利かしそのおっさんに自分の予備手袋を使ってくれと申し出たがそんなもん要らんと断られた。)と驚きながら小屋を後にし、山頂で拝み、記念写真を撮った後、大峠を目指して下山する。相変わらず樹氷は素晴らしい。この山は独特だ。こんなに樹氷が美しく、風が厳しくにもかかわらず人の多い山は初めてだ。下山し始めて初めて気づいたがこちら側の斜面は全く風がない。うそのように無風だ。しかも暖かい。芦屋のロックガーデンの茶店前のように人で込み合っている。こちらの斜面はハイキングだ。心も軽やかに写真を撮りながらあっという間に大峠に下山する。車が一杯だ。なるほど、避難小屋が一杯に溢れるわけだ。

 車道をしばらく歩き、また小峠から登山口バス停まで歩いて戻る。高見山登山口バス停前の「きくや」により甘酒を注文する。森君はおでん三つ注文する。安くてめさ旨い。続いて大阪名物たこ焼きも注文し、サービスで甘酒やこんにゃくの味噌田楽も頂く。店のご夫婦も気さくだし、どれもおいしくて感動する。たかすみ温泉が安くて広いと聞き、車で15分で行ってみるとこれも良かった。風にしばかれ、闘志を燃やしかけたところ、いきなりとろけそうな樹氷ハイキングとなり、降りれば何故かたこ焼き(美味)、仕上げに温泉と、インド人も大満足な一日を過ごすことができた。高見山の風と樹氷はくせになりそうだ。次回はサントリーの「樹氷」をザックに入れ、風雪の山頂での一夜を楽しみに登りたい。



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