台高 山の神~馬の鞍峰

2010年10月18日   橘

急遽月曜日が休みになたので家でゴロゴロしているのもつまらないので以前から気になっていた馬の鞍峰に行く事にする。もう10月も半ばなので山ヒル君たちも眠っているだろう。

前夜8時自宅発、夜中の11時過ぎに林道終点着。星が綺麗だ。夜中というのに鹿君たちは運動会をしているのか元気にウロウロしている。最近熊が多く出没しているらしいのでテントは張らずに車で寝る事にする。夜半、どうも普段と違和感があるなとふと目を覚ますとそこは車の中だった。

朝、車のドアがバタンとしまる音で目を覚ますと単独のおっさんが早くも登山装束で出て行った。これはいかん、単独のおっさんに先を越されたとあわてて単独のオッサン(実は私)も慌てて朝飯をかきこみ熊と山ヒル君の待つ山へと入っていく。

山の神(実に恐れ多い地名)へと上がっていく登山道はエアリアマップには載っていないが整備された道らしいのでロープは置いていく。何回か道に迷いながら登っていくが単独のおっさんはいないので恐らく別の道へ行ったのだろう。P773、P904と過ぎ、約2時間で稜線の山の神へ着く。

着くと同時に何やら獣の動きが感じられた。稜線の向こう側でモサモサと音がしているが姿は見えない。あとにはぷーんと強烈な動物臭が。この臭いは一体何だ? 鹿ではないことは確かなので残るは熊か猪か。しかし六甲山の猪でもこんな強烈な臭いはしない。とすると・・

しばらくは警戒して待機する。やがて警戒警報が解除となったので山の神の立て札の脇で寛ぐ。ここから台高の稜線だ。原生林が美しい。山容は全く険しくないのだが所々運動場のように広い地形となるので残置の赤テープを拾うのに必死だ。稜線上に右へ右へと分かれる支尾根が3回ほど 出てくるので注意が要る。2回踏みあとに導かれてトレースを外す。
間違えたトレースから戻ると突如人に出会う。熊に出会ったような驚きだ。
いや、熊の気持ちが分かったというべきか。
その後はこの4人パーティと前後しながら馬の鞍峰へと歩を進める。大人数で歩くと道を探す必要がないので楽だ。しかし楽をするためにわざわざこんな山奥に一人で来た訳ではないので馬の鞍峰の頂上でビールで一人祝杯を挙げ、距離をとる事にする。(頂上12時)

馬の鞍峰頂上からはエアリアマップには迷いやすいとの記号が打たれているが赤テープの数も多くなるので千鳥足でも問題なく降りれた。 しかし1箇所ある分岐点は見逃さない事だ。約2時間でカクシ平着。

今から600年も前の南北朝時代後期にこんな山奥のヒルまみれの地に忠義王という天皇の末裔がひそかに匿われていたとは信じられない。車で来ても遠い遠い奈良の山のその奥に、馬で来たのか歩いて来たか分からないが当時は林道もなければ整備された山道もなかったであろうことを思うと感嘆せざるを得ない。南北朝時代から幕末の天誅組まで、この奈良の天川村の郷士の活躍は歴史にその名を残す。山奥のこの地の人々の心意気が600年の時を経て私の心を打つ。

しかし奈良から来た4人パーティの足は速い。ビールを飲んで遅れを取ってから下山路は所々走って途中よろけたりしながら頑張ったが最後まで追いつけずに、最後に林道終点の駐車場でやっと追いつく。(午後3時30分)

久々に山鳩湯へ浸かり、平日でも結構混んでいることに驚きながら寛ぐ。ここの湯は有馬と色は似ているが幾ら浸かっても湯冷めが早い。 湯船も大分化学変化しているようで、長く入っていると骨も溶けるのではないかと心配する。(余計な心配か)

notes:

歩行8時間のコースでした。しかし台高主稜線は地形が不明瞭で注意が必要です。地形が緩すぎて地形図が約に立たず、唯一の手がかりは先人の残した赤テープです。今回のコースを逆に歩いた場合、午後3,4時頃に山の神周辺の複雑な地形を赤テープ便りで降りることになりますので、夕闇で目印をロストした場合、完全な薮こぎ下山となる可能性が大となり一気に難しくなります。熊鈴を2個も鳴らすと耳が痛くなり途中で止めました。熊への声掛けの方がよりナチュラルかと思われます。  山ヒルの被害は駐車場で手についた1匹だけでした。