北八ヶ岳 登山
山行日 | 2013年6月6-10日 |
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山域、ルート | 北八ヶ岳 |
山行形態 | 登山 |
メンバー | T、U |
北八ヶ岳 登山 山行記録
俗に簡単と言われる北八ヶ岳。しかし西天狗岳の登りでこけてしまい、思わぬ怪我となった。人間、何処で何があるかわからない。とりあえず今日を悔いの無いよう精一杯生きよう。
土曜日の夜9時に西宮を発ち、翌未明3時頃にとりあえず渋の湯と言う所に車を滑り込ませる。しかし登山客らしき車は一台もなく、強烈な硫黄臭と有料の看板のある駐車場だけだ。どうも様子が変だ。
ここで停めるとろくな事がないという結論に達し、しばらく戻って道端の広い所に車を停めて、酒盛り開始。歌などを唄っているうちに周りの鳥達もピーチクパーチク唄いだした。この辺の鳥は愛想がええわいと思いながらふとテントから顔を出すと夜が白々と明けてきている。今日は朝5時起きで仕事だったので、かれこれ24時間も行動している。リゲインでも飲まなければ体が持たない。慌てて布団を広げて横になる。2時間ほどすると相方がごそごそし出して起こされる。全く齢を重ねると朝が早くて困る。
この辺りは初めてなので地図を検討して、とりあえず唐沢鉱泉を目指して山道を歩く。登山届けのポストもなくケッタイなところだ。90分も歩くと車道に出てそれは唐沢鉱泉へ続く道だった。最初からこちらに来ていれば90分は早かった。がっくり。唐沢鉱泉小屋前で大休止して寛ぐ。
小屋泊まりは11700円とのこと。いい値段だ。そこからは登山道も現われ、西天狗へと続く道を登る。途中の展望台でコーヒータイム。
一日に何度もコーヒータイムがあるので大変だ。西天狗岳へと上る急な岩斜面をしゃべりながら歩いていると不意に意識がなくなり、立っていられなくなる。おっとっと!しかし加速がつきはじめた身体を支えきれない。
おっとっと!! 必死で受身をとり、岩を抱くように止まる。あー怖かった。
向こう脛を擦りむく。下手に足が岩穴に嵌っていたら骨折は免れなかった。必死で睡魔と戦いながら西天狗岳に到着し、休憩する。気持ちを静めるためにビールで乾杯する。根石山荘はすぐそこに見えるが、東天狗岳、根石岳をぐるっと回りこむので約80分かけて根石山荘に着く。(1430)
早速中へ入ってみるとボロボロのホームレス小屋のような感じだ。色んな物が散乱していて受付までも辿りつけない。
こんな汚い小屋は生まれて初めてだ。アルバイトの西君が出てきたので早速9000円を支払う。高い。今夜はどんなご馳走が出てくるのか楽しみだ。夕食の1730までは時間も有るのでワインを持って見晴らしのよい場所まで行き、あれこれ山を同定していると気が付くとワインが空となっていた。何処へ蒸発したのかワシのワインは。嘆いていても始まらないのでホテル並みに綺麗な新館に戻り、今度は焼酎を片手にホームレス小屋へ飯を頂きに行く。新館は綺麗だがハエが大量発生していて10分ほどで10匹ほど成敗した。しかしまだいる。
ホーム小屋へ戻ると客は単独のおじさん2名と我々で計4名、バイト君が2名だ。出てきた食事はまあまあのまあだった。不便を楽しむのが山小屋の極意かもしれない。我々が持ってきたケーニヒスクローネのケーキや姫路のコロッケなどを豪勢に皆に振る舞い、酒の酔いも手伝って山小屋の宵は更け行く。うーんこの感じは堪らない。見ず知らずの人たちと共通の話題「山」で盛り上がる。いつしか話題は東西文化論まで発展していた。
酒に限りがあるのでよかった。19時過ぎ外へ出てみると西の空が真っ赤だ。何やこれは! 火事か! いや、夕焼けだった。こんな綺麗な色の、濃い赤色、茜色というのか、それともフェラーリレッドというのか、槍穂高連峰を包み込みながら赤く染め上げている。しばし5名の岳人たちは見とれていた。
By sumaho camera
新館のホテルに戻るとテレビも付いているが、もう睡魔には勝てない。
横になると同時に意識が消えた。おやすみ。夜中ごそごそと言う音も聞こえたが気が付いてみると6時で、もう単独のおじさん2名は発っていた。早い。
我々も負けじと食事を食べにホーム小屋へ行くと10分待ってくれといって西君が食事を拵えている。朝食は旨かった。挽きたてコーヒーをつけてくれたら最高。
しかし私は既に下界モードが始まってしまっていた。仕事の夢は見るし、明日の仕事が気になるし、全く忙しない(せわしない)。
支度をして、一宿の礼を言い、山小屋を後にする。雨でなくて良かった。
帰りは東天狗から中山峠を経由し、黒百合ヒュッテに寄りながらパノラマコースという期待値大のコースを渋辰野旅館の車デポ地まで下りる事にする。
中山峠までの道は岩がゴロゴロ、右側は絶壁で、妙な緊張感のある道だった。
中山峠から黒百合ヒュッテに下りると小鳥のさえずりの中にほっこりした小屋が建っていた。しかし入り口には休憩料250円也の張り紙が。
金を払ってまで中へもと思い、外のベンチで寛ぐ。ここは外のキャンプ場でも十分に雰囲気を味わえる。だが夜の宴会には参加できないであろう。
この、金を払うか否かによって、山小屋での団欒ができないと言うのが残念だ。テントからでも夜になったら酒を片手に小屋へ入れてもらいたいものだ。
ついでに小屋の中で寝てしまおう。ラッキー
そんな妄想を考えながら、全く展望の利かないパノラマコースをひたすら下りる。
やがて見覚えのある風景に出合い、しばらく熊笹を漕ぐと渋辰野旅館だった。
そこから少し車で下りた所にある明治温泉で熱い湯に浸かり、日焼けした肌に悲鳴をあげながらえっちらおっちらと神戸に戻ったのは21時過ぎだった。
今回も楽しく登れた相方に感謝。今度はテントがいいかもね。
notes:
根石山荘は平成25年6月10日現在水不足でトイレの水にも事欠く状況。当然風呂は入れない。これで料金は据え置きの9000円。ちと高い。
北八ヶ岳はあちこちに山小屋があるため、途中で別の小屋に入ってしまう登山者もよくあるらしい。還暦を迎える前に全小屋制覇したい。テントもいいが。
山小屋の楽しさは食後の談笑にある。これだけはテントでは無理だ。