大台ケ原 堂倉谷 遡行 沢登り
山行日 | 2013年9月22-23日 |
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山域、ルート | 大台ケ原 堂倉谷 |
山行形態 | 沢登り |
メンバー | A木(L♂)・A木(♀)・Y山(記) |
大台ケ原 堂倉谷 遡行 沢登り 山行記録
京丹後の100㎞ウルトラマラソンを台風による大雨の中無事完走して1週間。完全回復に丸5日間を要した。
体力が回復したところで、昨年8月に増水の為遡行できなかった堂倉谷を沢中1泊3人パーティで遡行してきた。
今回の概念図↓
9/21(土)時点での気象庁発表の天気図を見ると、ここ4週連続で週末雨天だったのがようやく解消されて好天に恵まれそう。
当日早朝に大台ケ原駐車場に到着し、30分ほど仮眠をとり、気温約13度で肌寒い中出発。
予報通り快晴で、順調に日出ヶ岳に登頂。
山頂からの景色を堪能。ここから長い下りが始まる。
昨年はストック1本を使用したが、この長い下りで疲労し、膝がガクガクなった。今回はダブルストックを用意し、万全の態勢で長い下りに臨む。
ひたすら長い下りを黙々と歩き続け、堂倉無人避難小屋着。
昨年来た時も綺麗に片付いていたが、今回は清掃が行き届いており更に綺麗になっていた。ここに泊まるのも快適だろうな。
堂倉小屋で一休みした後、更に40分ほど下ると堂倉滝吊り橋に到着。
昨年水量が多いということで遡行断念したが、通常の状態を見るのは今回が初めて。確かに昨年と比較して水量が少ない。それでも迫力のある滝だが、見た目は昨年より水量は半分ほどに感じる。
ここで役目を終えたダブルストックをザックに仕舞って登攀装備を身に着け、吊り橋を渡って堂倉滝上部へ高巻いていく。
架線跡からフィックスロープ沿いに下降していき、堂倉滝上部の沢に入渓。
昨年はこの下降路が前日の雨で滑っており、かなりの悪場と化していたが、今回は先週の台風以来降雨もなかったらしく乾いており、昨年悪場と感じたのがウソのようだった。
昨年、この入渓地点までは来たが、やはり昨年と比べると明らかに水量が少ない。
昨年遡行断念したのは仕方なかったと改めて確認できた。
沢登りは通常遡行終了後に長い下りがあるが、この堂倉谷は最初に長い下りがあり、入渓までに疲労するが、一旦入渓してしまえば遡行終了したら下山する必要が無いので後のことを考えると気が楽だ。
快晴の気持ちいい天候の中、遡行開始。
チョット肌寒いが、天候がいいお蔭で快適に遡行できる。
しかし、沢のシーズンも9月が限度だと感じるほどの肌寒さ。
今回天候に恵まれて良かった。
迫力のある滝を眺めたり、エメラルドグリーンの美しい釜に癒されながら、時に泳いで滝に取り付き、ロープで確保をとりつつ楽しく遡行していく。
日当たりのいい岩場でランチタイム。今日はサッポロ一番みそラーメン。
奥七つ釜の自然の造形は一見の価値がある。
秀麗な滝の連続。
またまた美しいナメ滝。
だんだんと穏やかな沢になっていき、静かな流れの廊下に出る。
河原歩きの様相になり、しばらく行くと堰堤が出てきた。
左手に高巻き、林道に一旦出て、再度河原歩きをしていくと初日の幕営予定地に到着。
早速リーダーにタープを張ってもらい、幕営準備。
枯れ木を集めてたき火もおこす。
たき火にあたって濡れた服を乾かしつつ、暖まる。たき火ってありがたい。
担ぎ上げた酒を飲みつつ、たき火にあたっている内に日も暮れ、本日のささやかな晩餐。
満点の星空の下でたき火を楽しみつつ夜は更けていく。
翌未明3時半頃に少し小雨が降ってきたが、タープで十分凌げた。気温は13度ほどで思っていたほど寒くもなく、快眠できた。
日が登り、辺りが明るくなったところでゴソゴソと起きだして朝食を摂って7時過ぎに2日目の遡行開始。
朝も早く、沢になるべく浸からないように遡行していく。
それにしても清んだ水やね~。
気持ち良く遡行していき、9時半過ぎに遡行図に無い滝が出てくる。
どうも地形を見ても直登するしか無さそうだ。
A木(♂)リーダーが登攀した後、3番目で登攀。1段目の滝を登って2段目の滝を登りかけた所でA木(♀)が右腕に体重をかけた瞬間に肩に激痛を感じて動けなくなる。
どうやら肩を脱臼したようだ。えらいあっさりと脱臼したので、脱臼癖があるのかと思って聞いてみたら脱臼したのは初めての経験らしい。筋力不足かな?
登攀して姿の見えなくなったリーダーを笛で呼び戻し、遡行続行は不可能と判断。
リーダーがクラックにカムで支点を作り、僕がムンターヒッチを使用してロワーダウンでA木(♀)を吊り下ろし、リーダーが下から補助しながら今登った滝を下降する。
滝の取り付きに戻り、とりあえず落ち着く為小休止。お湯を沸かし、A木(♀)に温かい飲み物を飲ませる。応急処置として、リーダーが脱臼したと思われる右腕をスリングと手拭いで体に固定した。
地形図からベストなエスケープルートを探る。現在地は標高1,200mで、左手がルンゼの二股。
ここから遡行してきた林道まで戻ることも考えたが、距離が長過ぎる。
地形図を見ると、現在地から左手の尾根に何とか登れそうだ。尾根を詰めていくと登山道にも出られそう。
リーダーが地形を偵察し、初っ端の急傾斜をザイルで補助してA木(♀)を登らせれば、その後は歩いて登山道に出て駐車場まで歩けると判断。
二人でA木(♀)の荷物を分担してザックに積め、A木(♀)には空身で歩いてもらう。
序盤の急傾斜を二人で補助しながら何とか登り、傾斜の緩くなった尾根を3人で歩いて登っていく。
視界が開けた所で、登る予定だった堂倉谷の本流の滝がよく観察できた。
A木(♀)は脱臼した肩がずっと痛いと言いつつも歩いてくれ、ゆっくりとした歩みで長い行程となったが、何とか駐車場に無事帰着できた。
「岳」の島崎三歩じゃないけど、「よく頑張った!」。
今回、3人パーティだったこと、負傷した地点がエスケープしやすい地点だったこと、負傷したA木(♀)が自力で歩けたことから救助を呼ばずにセルフレスキューで何とか乗り切れた。
不幸中の幸いと言えるが、一歩間違えば大惨事。万が一登攀中に肩を脱臼してたら滑落して救助要請が必要となったかもしれない・・・
次の日曜日は2週間ぶりに100㎞ウルトラマラソン!今回の山行で調整もバッチリ。
今のところ最高気温27度で天候も良さげなんで、楽しみ♪