大峰 中ノ川 遡行 沢登り

山行日2014年8月30-31日
山域、ルート大峰 中ノ川
山行形態沢登り
メンバーA木×2、H野、T(記)

大峰 中ノ川 遡行 沢登り 山行記録

今年の夏は雨ばかりでほとんど晴れた試しがない。今度こそはと意を新たにし8月最後の土日に休みを取って山行に加わった。しかし山行前夜、またしても奈良県南部地方は曇り時々雨の予報だった。

前夜23時伊丹の我が家に集合し、車一台にまとまって一路十津川へ向かう。

猿池ダムの駐車場に車を停め、屋根のある場所でテントを張るが、今日はも既に午前2時近くなのでそそくさと寝る。翌朝目を覚ますとダンプカーの音がやかましい。災害復興工事が行なわれているらしいので文句も言えない。

ダム関係の方が来られて、早くテントを撤収してくれとのことなので荷物をまとめ。旭口から中ノ川出合を目指す。釈迦岳分岐のY字地点に車を停め、朝飯を食べながら遡行準備をする。出発は9時。少し遅くなった。

中の川林道を小1時間歩くと、噂のぼろい吊り橋に到着した。一人ずつ渡る。
大峰 中ノ川 遡行 沢登り IMGP2313_吊り橋_往き
オットット

寝ぼけた頭で渡る。うん、楽勝だ、と、真ん中あたりまでくると歩くリズムに吊橋が共振を始め、揺れが増幅しだす。あー恐! 思わず腰をかがめ、リズムを崩しながら対岸へと渡る。4人目出度く対岸に渡れたが、すぐハシゴが現われ、結構痛んだ梯子なので緊張する。トラロープで進入禁止されている箇所より沢の右岸に合流し、下降用のトラロープが残置されている箇所から持参の登山ロープで懸垂下降で降りる。そこから遡行を開始する。
大峰 中ノ川 遡行 沢登り IMGP2319_フォロー大峰 中ノ川 遡行 沢登り IMGP2323_極楽滝

まず出てきたのは地獄滝だ。しかし残念ながらどうやって越したかを忘れてしまった。この辺はLのA木君に頼りすぎていたか。次に出てきたのは今度は地獄から極楽滝に宗旨変えだ。極楽とは言うものの、見た感じ登れそうにもなく、こちらも地獄の閻魔滝といったところだ。経験者のA木君と、ガイド本のコピーがあったので右岸を高巻けたが、情報無しではかなり乗り越すのに苦労するだろう。右岸を巻いて滝の落ち口近くまでは行けるが、そこから微妙なバランスでスラブをトラバースしていかねばならない。滑ったら20m下の滝つぼなので緊張感はかなりなものだ。ここはロープを出して慎重に通過する。
大峰 中ノ川 遡行 沢登り IMGP2332_極楽2大峰 中ノ川 遡行 沢登り IMGP2339_極楽の巻き大峰 中ノ川 遡行 沢登り IMGP2342_極楽のまき2
なかなかの高度感

ロープを固定し、4人が通過するには結構時間がかかる。なんとか極楽滝を越え、しばらくすると牛鬼滝が現れた。滝そのものは15mくらいで大きなものではないが、周りの地形が悪く、容易に滝に近づけそうにもない。左右に大巻きもできそうだが大巻きは危険も高まるので出来ればしたくない。残置のトラロープが左岸に垂れるがA木君は以前右岸岩壁を小さく巻いた気がするとのことで、判断に迷う。

しばらく逡巡したが今までトラロープはルート上に残置されていたのでこの滝の残置ロープも信頼できるだろうと判断して左岸岩壁を這い上がり、尾根を大きく巻きながら、やがては滝音を頼りに下降し、最後は懸垂1Pで沢へと戻る。このあたりではA木君の野生の勘が冴え渡り、ルート判断にほとんどミスもなく流石だ。
大峰 中ノ川 遡行 沢登り IMGP2349_牛鬼巻きの懸垂?大峰 中ノ川 遡行 沢登り IMGP2328_巻きからの懸垂大峰 中ノ川 遡行 沢登り IMGP2315
懸垂も多い

私が行ってたら適当に右往左往を繰り返し、最後は全員猿のようなクライムダウンを強いられていただろう。巻きの踏み跡は薄く、あたりは倒木と朽木、巨大なキノコだらけで、図鑑を持ってこなかったことを後悔する。かなり食用があったはずだ。
大峰 中ノ川 遡行 沢登り IMGP2346_きのこ1_1_1

自分の舌で人体実験を繰り返しながら有毒か食用かの素人判断を繰り返すがかなり怪しい。しかしイグチ系のキノコで1個だけはかなり苦かった。苦くなくても有毒もあるので安心はできないが。帰って図鑑で調べると、「ヤマドリタケモドキ」と「アカヤマドリ」は確認できた。前者は近似種が多いので確定までは自信がないが後者は図鑑そのものの形・特徴なので間違いない。1個で家族4人分の炒め物が出来ただろう。

さて、牛鬼滝の大高巻きが終わり、再び沢床へ戻ると時刻は既に13時を過ぎ、計画では黒滝上部で幕営だったがまだ1/3も来ていない。このペースで遡行していては谷中で幕営必至で、幕営適地もよく調べていないので、いつゲリラ豪雨に見舞われるかも分らない天気の中、安全策をとるか突入策をとるか判断しないといけない。そのうちに、モジケ小屋が見えてきた。泊まれるかと思ったが、完全な作業小屋で、快適ではない。時刻は14時過ぎ、あと行動できても2時間だし、小屋のある場所は平坦な河原も多い。ここは安全策を取る事に決定する。

小屋から少し下った河原を整地し、タープを張って焚き火の準備をする。この小雨の中、焚き火は無理だろうと思ってビールをちびちび飲んでいると、流石に野生人のA木君はガムテープひとかけらから濡れた木を燃やし始めた。
大峰 中ノ川 遡行 沢登り IMGP2351_焚き火名人大峰 中ノ川 遡行 沢登り IMGP2354_河原で寛ぎタイム大峰 中ノ川 遡行 沢登り IMGP2359_焚き火
焚き火に和む

うーむ、また感心。やがて大きな火の塊となった。目出度し目出度し。晩飯は焼き豚丼と蒸し野菜。これがまた旨い。感謝。20時過ぎ、タープの下で就寝。今日は寒いので虫もいない。シュラカバでは少し寒くて夜中に3度起きる。

翌朝は計画も縮小したのでゆっくりと7時過ぎに起床。朝ごはんにアルファ米雑炊を頂く。アクセントの唐辛子がピリ辛く、食欲が沸いた。

9時、モジケ小屋から登山道(林業作業道?)に入り、蛭の総攻撃に耐えながら歩く。やがてハシゴ場が多くなり、出合の吊橋が近くになるとハシゴ場の急下降の連続となり転落すると危険なので全員ヘルメットを装着しての下山となる。
大峰 中ノ川 遡行 沢登り IMGP2365_帰りのハシゴ場1大峰 中ノ川 遡行 沢登り IMGP2377_帰りの吊り橋_た
不安定なハシゴ下り

大峰 中ノ川 遡行 沢登り IMGP2380_帰りの吊り橋_は
帰りはやや余裕

11時、出合の吊り橋に到着。12時、車のデポ地点に到着。腹ごしらえをして、温泉に立ち寄ってから帰神する。

NOTES:

  • 中ノ川は中級の沢ということで遡行図やガイドブック無しでは判断に迷って時間がかかる。また、下山までの距離も長いのでパーティの足並みも考慮する必要がある。
  • ロープを出すと時間もかかるがないと危険が増す。技術と体力が要求されるタフな沢で、挑みがいもある。いわゆる「癒し渓」ではなく「登攀渓」であると感じた。