赤岳 主稜 冬季アルパインクライミング

山行日2015年12月12-13日
山域、ルート赤岳 主稜
山行形態冬季アルパインクライミング
メンバーL三浦、橘(記)

赤岳 主稜 冬季アルパインクライミング 山行記録

約3年前から、行こう行こうと決めていた赤岳主稜についに行ける日が来た。仕事と体調のスケジュール管理が大変だが何とか1週間の仕事を乗り越え、金曜の夜21時に集合し、美濃戸を目指して出発する。前日に食当のA君が不参加となったので予定していた朝飯と晩飯を持ってきてもらう。全部レトルトで、若干拍子抜けする。

翌朝3時に美濃戸着。雪は全然ないが早速仕事の疲れをとるため仮眠する。朝7時を過ぎると続々と車がやってきて目が覚める。

朝8時、行者小屋を目指して出発。この道を歩くのは何年振りだろうか。何故か懐かしく感じられる。南沢のだらだらとした登りを睡眠不足の体を一歩ずつ引き上げていく。やがてだらだら坂ににも飽きたころ、突然行者小屋が現れる。平らなテントサイトを探してうろうろした後、適当なスペースを見つけてテントを張る。
赤岳 主稜 冬季アルパインクライミング PC120597

まだ12時過ぎなので、早速レトルトを開けて昼飯とする。

しばらく酒などを飲んで寛いでいたが、もうやることもないのでとりあえず明日の取り付きを見に行こうということで装備を整え出発する。酒が入っているので異常に息が上がる。心臓も止まりそうだ。

文三郎道も階段や鎖場があって、なかなか手ごわい。やがて黒い遭難碑が現れ、暫く迷った後、左に伸びるルンゼの道を発見する。

中間部には岩にアンカーも打たれていて確保に使えそうだ。あとは明日の天気次第ということで取り付き分岐点にマークを付けて引き上げる。テントに戻って、晩飯のレトルトの準備をする。

あーレトルトはわびしい。行者小屋のBCで栄養をつけて疲労回復する予定だったが。それでも何とかデザートも作り、お茶などを飲んで18時過ぎ、寝ることにする。隣の学生テントがうるさいので思わず「静かにしてくれ!」と叫んでしまった。まだ時間も早かったが・・・

それでも夜中の12時過ぎ、小便をしにテントを出るとまだ遠くのテントでわいわいガヤガヤとやっている。さすがは八つの行者小屋だと呆れて怒る気にもならなくなってしまう。鉱泉もさぞ賑やかいことだろう。

気温は高いが朝4時に起きてみるとうっすらと雪が積もっていた。

朝飯の棒ラーメンではなく、またもやレトルトを食べ餅を7個ほど食べてカーボロードしてから、5時過ぎに出発する。1時間ほどで分岐に到着するとすでに1パーティが暗い中取り付いている。真っ暗な中、よう行くわと感心する。我々も負けじと薄明かりが差してきた来た中をトラバースを開始する。朝なので体も固い。2ピッチでチョックストンに到着し立派なビレイ点も整備されているので登攀を開始する。雪は少ないので石の下を潜って取り付く。適度にガばがあるのでそう難しくはない。しかし中間支点はほとんどないので落ちたら大変だ。その後は釣瓶でピッチ交替しながらひたすら頂上を目指す。

なんか足がグラグラするなとよくアイゼンを見てみたら、愛用のグリベルエアーテックの2列目の爪がちびて丸くなっている。このアイゼンはもともと爪が短いので先が丸くなったら致命的だ。前爪で登るところはまだよいが、草付きの斜面になると足を置くたびにぬるっとずれる。これはいかん、アイゼンを研いでくればよかったがちびていて研ぎようもない。帰ったらほかすことにしてなんとか今日一日頑張ろう。

思えば不動岩でもよく足が滑ったが、原因はこれだったか・・相方はクオーク2本とペツルのモノポイントアイゼンで頑張っている。
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今回こそは忘れ物をしないと心に決めていたが、結局カメラとアイゼン研ぎを忘れていた。その他にも久々の釣瓶登攀なのでどうも動作もちぐはぐする。天気は曇りで視界は悪いが明日は回復傾向なのでこれ以上は悪くならないだろうと推測する。風は弱くて助かる。しかし常用のモンベルの冬靴が底が割れたので修理に出したため、約27年前に買ったハンワグの革靴を引っ張り出して履いてきたがやはり昔の靴は保温性が悪く、靴下1枚では冷えてきたので急いで靴用のカイロを入れる。あー極楽。歳は取りたくないものじゃのう・・。靴は27年前の青年だが履く本人がお爺さんになっていたとは!。しかし革靴の耐用年数はすごい。もうすぐ抜かされそうだ・・

分けのわからんことを考えながら合計10ピッチほどを越え、ふと見ると縦走路を歩く登山者が見える。あー着いたと最後の簡単な道を進んで縦走路で相方のM君と握手をする。いつになっても完登後の固い握手はいいもんだ。縦走路を少し歩くと突如赤岳頂上山荘が現れ登山者をがっかりさせる。そこから少しで赤岳頂上着。

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写真をとり、行動食を食べた後、文三郎を目指して出発。すぐに分岐着。急傾斜の一般路も鎖や梯子がないと非常に危ないので慎重に下りる。階段をアイゼンで慎重に踏みしめながら樹林帯まで下り、少しで行者小屋着。11時30分。疲れた体をテントで寝転んで癒したいがそうもいかないので行動食を食べ、テントを撤収して下山を開始する。美濃戸着14時。

登山者専用の温泉「もみの湯」で二日間の汗を流してから、長い道のりを神戸まで戻る。

NOTES

  • ビレイ点は以前登った時よりも40m毎に整備されていた。(ペッツルのアンカー2個)中間支点は相変わらずハーケン。
  • キャメロットの5番手位が非常に出番が多く重宝した。
  • 風が吹くとほとんどコールもかき消されて聞こえない。聞こえないときにどうするかの意思疎通も必要。
  • 撤退はさらに困難。アクシデント時は縦走路まで登り切るかエアーレスキューを要請するしかない。
  • 八ヶ岳西面は独特の雰囲気がある。