荒島岳 雪山登山
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- M田、T(記)
荒島岳 雪山登山 山行記録
土日をかけて、雪洞泊で経ヶ岳に行く予定だったが、うっとおしい低気圧が居座り、雨が止まないので最新の天気予報とにらめっこした挙句、天気の回復しそうな日曜日に前夜発日帰りで荒島岳に目的地を変更する。
単独ならテントを担いで経ヶ岳に突入したかもしれないが同行のM田君は雪山泊の経験がないそうなので無理はできない。雨の名神~北陸道を愛車ジムニーでひた走るがお尻が振られて非常に怖いので80キロで大人しく巡行する。4時間かけてやっと勝原スキー場跡に到着するが相変わらず霧吹きでかけられたように小雨が降っており、テンションが下がる。明日も雨なら温泉でも入って帰ろうということにしてビールを飲んで寝る。
翌朝目を覚ますとなんとか雨も止んで、これは行くしかない。8時出発。
スキー場跡の石のゴロゴロした道を歩いて登る。1時間ほどで最終リフト跡に到着。なかなか雪は出てこず、代わりに泥道が出てきて靴がドロドロだ。
そうこうするうちに今日唯一の入山先行パーティが引き返してきたので道でも間違えたのかと話を聞くと、泥道でテンションも上がらないので今日はこれで引き返して温泉でも入って帰りますとのことで、我々もますます下がる。
雨が強まったら引き返すことにして尚も進むとシャクナゲ平に到着し、この辺りより雪も出てきて、我々の汚れた心を白く清めてくれる。(私だけか?)
雰囲気のよいブナ林をキツツキと鶯の奏でる二重奏を聞きながら登るとあー春ハズカームと叫ばずにはいられない。しかし相変わらず空は不安定で視界が突然開けたり一瞬でガスの帳が下りたりと目まぐるしく変わる。
途中人間の足跡に混じって熊の足跡も見えだしたので鈴やガチャの音を鳴らしながら進む。なんせ山中我々だけなので心細い。そのうちに餅が壁と呼ばれる鎖場にかかり、雨で溶けだした雪が不安定なため難儀して登る。
急坂を過ぎたら上はどんなんやったかなーと進むとますますガスが深まり何も見えなくなる。何も見えないが地面と雪庇の切れ目が左側に延々と続くので用心して進む。振り返ると緩い斜面が270度くらいに広がり、ホワイトアウト時のこの山の難しさが理解できる。何度か通うと土地勘もつくが、前回は初めてでしかもニュースで言う爆弾低気圧通過中の吹雪の中を必死で下山したことが記憶に蘇る。あの日は我々が下りた6時間後あたりにバリエーションから登ってきた2名の若者が山頂付近で疲労凍死した。やはり冬の荒島岳は舐められない山だ。今回も雪道と雪庇の間は短い所で1.5m位しかないから間違って踏み抜いたら終わりだ。さてそんなこんなで何とか頂上には12時30分位に着き、山の神様に登頂のお礼と下山の安全を祈願して、腹ごしらえをしてから下山にかかる。今回はトレースも残っているので慎重に歩いて降りる。
前回は頂上の向こう側で雪洞泊の後、1mほど積もった新雪と吹雪の中を初めての山域に迷いながら降り、何度か枝尾根に乗りかけて肝を冷やしたものだ。
今回は二度目で気温も高いので比較的余裕があった。しかし雪庇の踏み抜きには神経を使う。餅が壁の腐った雪に手こずりながら、ようやっとシャクナゲ平に到着。大休止する。なんやかんや言ってもやはりガスの中ではGPSは絶大な威力を発揮する。安全のためには使わない手はないだろう。
午後を過ぎ、回復するはずの天気がますます重苦しく真っ暗になってきた中を、雪と泥にまみれながら勝原スキー場跡に戻り、途中フキノトウを採って帰る。疲れた身体で運転する愛車がまた疲れを倍増させ、疲労困憊して2人で運転交代をしながら21時過ぎ、やっとのことで西宮まで戻ってきた。
今度はベンツかロールスロイスで行こう。レクサスも。
冬の荒島岳は何度訪れても飽きない、いい山だった。その名の由来か、天気が荒れる程、登りごたえがあるように思う.