飛騨沢 - 槍沢 - 横尾本谷右俣 バックカントリー 山スキー 滑降
- 山行日
- -
- 山域、ルート
- 穂高岳 飛騨沢 - 槍沢 - 横尾本谷右俣
- 活動内容
- バックカントリー 山スキー
- メンバー
- 藤本、三浦 (記)
飛騨沢
飛騨沢は槍穂主稜線の飛騨側にある沢である。槍ヶ岳や大喰岳を源頭とする飛騨乗越の西側の沢であり、蒲田川右俣谷とも呼ばれる。飛騨側から槍ヶ岳への唯一の登山ルートであるとともに、積雪が豊富な山域のためバックカントリー、山スキーのルート1としても人気がある。新穂高温泉から日帰り可能なルートとしてもよく滑降されている。新穂高温泉で左俣谷と合流し、鎌田川、高原川、神通川を経て富山湾から日本海に注がれる。
槍沢
槍沢は槍ヶ岳東側の沢である。飛騨沢と同様槍ヶ岳と大喰岳を源頭とし、横尾で横尾谷と合流し梓川となる。信州側からの槍ヶ岳登山ルートであり、槍ヶ岳山荘から直接信州側にドロップできる山スキーのルートとしてもよく滑降されている1, 2。
横尾本谷右俣
横尾本谷右俣は横尾谷の支流である。南岳東面を源頭として屏風岩の北側で涸沢と合流し横尾谷となる。横尾本谷右俣を滑降し涸沢を登り返せば、槍から穂高まで最短で移動するダイナミックなバックカントリールートが描ける1, 2。広くフラットで適度な斜度があり、南岳や前穂北尾根を眺めながら爽快な滑降が楽しめるため、お気に入りのルートの一つである。
槍沢-横尾本谷右俣-滝谷D沢滑降の山行計画
前年に断念した滝谷D沢滑降3を遂行すべく、山行計画を立てた。滝谷滑降が最優先の目的であるが、涸沢までのアクセス手段として久しぶりに槍沢と横尾本谷右俣を滑りたくなった。しかし近年の雪不足により横尾本谷右俣と涸沢の出会いで雪が繋がって通過できるか懸念された。昨年5月、涸沢から下山の際登山道から見た沢の出会いは割れていた。今年も割れているのか、割れていたとして通過できるのか、という不安がある一方で、出会い付近の斜度はきつくないし右岸は北斜面なので、右岸に張り付いてトラバースしていけば何とかなるだろうという思いもあった。
飛騨沢 - 槍沢 - 横尾本谷右俣 バックカントリー 山スキー 滑降の山行記録
飛騨沢登行
新穂高温泉からスキーとブーツをザックに固定してアプローチシューズで歩き始めた。白出沢には全く雪がなくチビ谷付近でやっと雪が出て、滝谷まで来ると谷は完全に雪で覆われていた。滝谷でスキーブーツに履き替えアイゼンを装着したが、雪は途切れるためまだシールは使用できない。
槍平小屋まで上がると完全に雪に覆われていたため、シール登行に切り替えた。槍平付近から滑降予定の滝谷を見ることができた。下部は雪が繋がっているのが確認できたが、上部は岩が露出しておりこの槍平からは雪が繋がっているか確認できなかった。
槍平からは飛騨乗越の登山道までひたすらシール登行し、登山道を歩いてこの日宿泊する槍ヶ岳山荘に到着した。
槍沢
朝起きると酷い高山病で、何とか口に入れた小屋の朝食もすべて吐いてしまった。前日の夕食以降何も食べていなことになるが、今日はたいして登らないし何とかなるだろう、ということにして行動開始。雪のゆるみ待ちがてら、槍の穂先まで空身でピストンした。
槍ヶ岳山頂から滝谷D沢が見え、槍平から確認できなかった上部でも雪が繋がっているのが確認できた。雪が繋がっているので滝谷D沢滑降は何とかなるだろう。滝谷滑降の不安が一つ解消された。
槍沢上部は多少硬かったが快適な滑降を楽しめた。途中から右にトラバースして大喰岳のカールを横切った奥の岩壁の末端から登り返す。登りだしの急登を越えると天狗原という平坦な場所で、その先の横尾尾根のコルまで登り返して滑降準備した。
横尾本谷右俣
横尾本谷右俣は広く、快適な滑降を楽しめた。一気に涸沢との出会い付近まで滑っていった。近づいてみると雪は繋がっていそうだ。そのまま出会いまで滑り降りてシールに履き替えた。
出会いから上の涸沢は完全に埋まっており沢芯をシール登行できた。後は涸沢ヒュッテまで登るだけだ。高度が下がったせいか高山病も回復した。ゼリーでエネルギー補給して登り返し、涸沢ヒュッテで乾杯した。この日はリラックスして快適な滑降を楽しむことができた。